映像演出家・スミスの人生相談【きょうもスミスがかんがえた Vol.4】スミス、脚本についてかんがえた その2

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ちなみにマスターショットを考えるにあたって、自分で大切にしていることがある。それは、理屈よりも感情を優先すること。
ドラマには「脚本」が存在する。脚本はもっともシンプルな説明書のようなものだ。それをそのまま映像にしていけば、最低限なストーリーは繋がる。そうするとカットを考えているときに頭に浮かぶのが「これで説明できているかな?」という心配だ。ほとんどのスタッフがこれを考えている。主人公がどこにいて、何をして、どうなったか。脚本に書かれていることを視聴者に伝えないと、話がわからなくなる。なのでついつい、脚本と演技を説明したことで満足してしまう。丁寧な説明イコール、良いアングルだと勘違いしてしまう。

しかし説明だけでは、マスターショットは成功だと言えない。理屈ではない、感情に訴える何かが必要なのだ。それは言葉にできなければできないほど良いと言っても過言ではない。理屈抜きで、人の心をとらえて初めて、うまくいったと言える。脚本から演出家が読みとらなければいけないのは、このマスターショットだといっても過言ではないと思う。

さて、今回の質問です。

作品を見た人から「スミスさんらしさが出ている」などと言われるのは嬉しいですか?(匿名年齢性別不詳)

あまり重要だとは思ってないですね。映像を作っているときに「自分のことを伝えたい」とは一ミリも考えてない。とにかく面白いと思ってもらえるかどうかだけが、大事です。もちろん同じ人が作っているのだから、何かしらのパターンや傾向が見えてしまうのは当然だと思う。でも僕はとにかく飽きっぽい。だから今までに作ったことのないものを作りたいなといつも思っている。だからまったく異なったテイストの作品、どちらもスミスが作ってるっていう状況になった方が嬉しい。
まあでも結局は作風みたいなものが、いつのまにやらまとわりついてしまうものなんでしょうね。お恥ずかしい。

人生、仕事、恋愛、くだらない質問まで、どんなことでも相談にのります。質問は、twitter:@smith0204へ、性別年齢ハンドルネームをそえて、お願いします。是非。

PROFILE

スミス_slide_resize

スミス

武蔵野美術大学卒業後、竹内芸能企画にてミュージックビデオの第一人者である竹内鉄郎に師事。
2000年から演出家として活動し、映像に特化したアーティストを独自の表現で撮り続けてきた。
情熱的なパーティーチューンを得意としながらも、静謐で奇妙な作品も支持されており、動と静の作風を併せ持つ。
近年では、でんぱ組.incの夢眠ねむとの映像ユニット“スミネム”を結成し、活動の幅を広げている。 コレオグラファーとしても活動中。

Web:smith0204.com
Twitter:https://twitter.com/smith0204
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