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【MOVE FES. 2017】特別対談 – 武藤将胤(WITH ALS)とRAM RIDERが好奇心と情熱の眼差しで語る「アート×テクノロジーのこれから」
いよいよ今週末9月9日(土)に開催を控えた「MOVE FES. 2017」。
MOVE FES.は、難病ALS(筋萎縮性側策硬化症)の啓発や治療・支援制度の向上のための活動を行うWITH ALSがプロデュースする音楽フェス。そしてそのWITH ALSを主宰するのが、自身もALS患者でありながらコミュニケーション・クリエイターとして、EYE VDJや電動車椅子のカーシェアサービス、ハンディ・キャップの有無に関わらずスタイリッシュに快適に着られるアパレルブラントのプロデュースなど、様々な活動を行い、本サイト上でもコラムを連載中の武藤将胤(むとうまさたね)その人である。
本サイトがスタートして以来、彼と度々会うようになり、その度に彼の内側から湧き出てくるエネルギーと行動力に驚かされるばかりだ。
今回はMOVE FES. 2017の開催に当たり、武藤がファンを公言し、同イベントにもメインDJとして2年連続出演し、同じく本サイトで連載を持つRAM RIDERを招いて対談を行った。
「テクノロジー×アート」の最先端を行く2人に、MOVE FES.についてはもちろん、テクノロジーとアートの今後の可能性について語ってもらった。2人の情熱と好奇心に心が動くのを感じた人は、ぜひMOVE FES. 2017に足を運んでほしい。
Interview&Text:Sam’s Up Photography:ともまつりか
“NO LIMIT, YOUR LIFE.”を体現する、EVE VDJという挑戦
――まずMOVE FES.について、コンセプトや開催に至った経緯を簡単に教えて頂けますか?
武藤将胤(むとうまさたね、以下武藤):MOVE FES.は、“NO LIMIT, YOUR LIFE.”というスローガンで様々なジャンルの意志あるアーティストの皆さんと一緒に、ALSの啓発を目的に開催をしている音楽フェスです。去年は、僕自身もALSと闘病しながら、そのスローガンを体現するべく、目の動きだけでDJ・VJをする「EYE VDJ(※1)」に世界で初めて挑戦しました。実は30分以上1音目が出なくて、心臓バクバクだったんですけど、最近はようやく上手くコントロールが出来るようにまでなってきました。
※1 眼鏡ブランドJINSが開発した眼鏡型デバイス“JINS-MEME(ジンズ・ミーム)”を活用したアプリケーションを用いることで、眼球の動きによってDJ・VJの操作を行う手法。(参考記事:【NO LIMIT, YOUR LIFE. Vol.2】目の動きでDJ/VJをプレイする世界初の『EYE VDJ』としての挑戦)
RAM RIDER(以下RAM):最初に音が出た瞬間は本当に鳥肌が立ちました。音が出るまで会場全体が見守っているような状況だったんですけど、はじまった後の盛り上がりがすごくて。
武藤:内心死ぬかと思いましたね(笑)。
RAM:あれは本当にかっこよかったです。
武藤:EYE VDJは、この一年を通してチームの皆さんと一緒に改良を繰り返して来たので、今年もまたプレイさせて頂く予定です。
<MOVE FES. 2016 WITH ALS>
――ALSの啓発として音楽フェスという形を選ばれたのはどうしてですか?
武藤:僕がALSという病気を発症した翌年に「アイスバケツチャレンジ」というSNSのキャンペーンがすごく拡がったんですね。それでALSという病気のキーワードが拡がって、多額の寄付が集まったりして。そういう意味では素晴らしいキャンペーンだったんですが、まだまだALSという病気がどういった病気なのか、その症状の理解まではなかなか浸透していないなっていう感覚がずっとありました。「具体的な症状も含めてもっと皆さんに理解して頂けるような手段が何かないか」と考えたときに、僕が昔からずっと好きな音楽を通して発信出来ないかと思ったんですね。
“NO LIMIT, YOUR LIFE.”っていうメッセージをアーティストの皆さんと一緒に発信することで、すごく強いメッセージになるんじゃないか、そしてもっとALSという病気を知って頂くきっかけになるんじゃないかと思って音楽っていうシーンを選びました。ALSになってしまうと手足で楽器を弾くこともできないですし、声を出して歌うこともできないですし、そういった症状も含めて知ってもらえたらいいなと思っています。
――RAMさんは去年参加されていかがでしたか?
RAM:僕もアイスバケツチャレンジの運動でALSというキーワードは知っていたんですけど、そこから詳しく知ることはなかったので、去年のイベントに出演したことで自分も広く理解するきっかけになりました。だからすごく良かったと思うんですけど、そもそもこのイベントがALSのことをあんまり前に押し出さないで「純粋に音楽を楽しむ」っていうスタンスで、あまり啓発とかお説教染みた内容ではなくて「あくまで音楽フェスとして成立している」っていうところが僕は好きで。
僕ALSっていうのはある日急にかかって“病気”っていう状態になるものだと思ってたんですけど、段々筋力が弱っていく病気なんだということとか、それでも目の動きは残るっていうことをこのEYE VDJというスタイルを見て知ることが出来て、すごく参加して良かったです。来てくれた僕のファンの方もそういうことをブログに書いてくれたり、Twitterで感想を書いてくれたり、外に向かってアウトプットしてくれて、そういうこともすごく嬉しかったですね。
――RAMさんは武藤さんの活動やWITH ALSの活動はどういう風にご覧になってますか?
RAM:「ALSのことを少しでも多くの方に知ってもらいたい」というのはもちろん使命感としてあるんですけど、正直僕自身は、武藤さんのやられているテクノロジーを使った音楽表現とかアート表現の方にとても興味があります。自分がDJをするときに、何を見ていてどういうパラメーターを動かすかっていうのは理解しているので、合流して一緒に開発に参加したいくらい、目の動きだけで音や映像をコントロール出来るっていうことにすごく興味がありますね。
武藤:有難いですね。ありがとうございます。
RAM:だから社会的意義っていうのもあるんですけど、彼の表現活動とかアートに対する興味がすごくあるっていうところですかね。今年もすごく楽しみです。
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