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奈部川:よく言うんだけど、30越えてバンドやるのってもう2回目の結婚みたいなもんで。もう失敗例が貯蓄された上でやってるから、真剣には話すけど揉めはしないっていう感じになるのかな。
タイラ:それってATATAをやり始めて「あ、こういう風に自分が経験を積んで成長したんだな」っていうことが逆説的にわかったみたいなところもあるんですか?
奈部川:そうだね…今思うんだからそういうことなのかなって思うね。だからよくATATAのみんなで話すけど、俺たちはあのタイミングで集まらなかったら、多分とっくに解散してるなって。俺が35の時に集まったから良かったっていうのは思うかな。
タイラ:バンドはこりごりだって思っていたところから、もう一回バンドをやるぞって決めたのって結構覚悟は要りましたか?
奈部川:最初はね、俺個人は適当にやろうと思ってたの。他のメンバーも俺より年下だけどいい年になってたから。で、一回目の練習の時に、みんなどういうスタンスなんだろう?と思って、「どうやりたいの?」って聞いたら「ガンガンやりたい!」って。「そうなんだ!じゃあガンガンやるか!」って。「何か先の予定決まってるの?」って聞いたら「初ライブが決まってます!半年後にFEVER(※1)です!」って言うから「じゃあ曲あるの?」って聞いたら「ない!」って(笑)。
※1 新代田FEVER。新代田にあるライブハウス。国内外人気アーティストが多数出演し、東京内でも一際存在感を示しているライブハウスの一つ。
タイラ:ライブだけ先に決めていたんですね(笑)。
奈部川:それで、「あと半年か…。じゃあ一か月一曲作れば6曲になる」と。で、なんだかんだ半年たって6曲の目標には届かなかったけど5曲は出来て、まあ何とか形にはなったんだよね。
ATATAとしての初ライブと初音源
タイラ:その5曲での初ライブではやっぱ手応えがありましたか?
奈部川:いや、手応えはなかったよ。いっぱいいっぱいだった。だってキーボードのKentaくんとかそれこそ初心者で、ATATAになって始めたから。俺も歌うことはずっとやってきたけど、ピンボーカルは初めてだったし。他のメンバーは今までやってきたパートでバンドが変わっただけって感じだったかもしれないけど、俺とKentaくんは特に手探りだったと思う。
タイラ:言い方悪くなっちゃうんですが、奈部川さんは最初適当にやろうと思ってたわけじゃないですか?でも今のATATAまでの7年間を見てると、適当にやろうどころか他のバンドよりもよっぽど気合が入ってるように見えるんですが、どこかでギアがガッと入った感じとかはあるんですか?
奈部川:みんなで「ガンガン行こう」ってやっていくうちにやっぱり欲が出てくるじゃない?もっとライブやりたいとか、音源出したいとかってなってきたら、その昔培ったエンジンがさ、ブルルンブルルンってまた動き出して。過去の自分たちの経験から得たスキルとか、ノウハウはもう全員集まった時点であるわけじゃん?CD出すにしても、ライブの組み方にしてもみんなノウハウは持ってるから。だから自分たちが若いころバンド始めた時よりも色んなことがすごくスムーズなわけ。プレーヤーとしては手探りだったけど、バンドを動かすってことに関してはノウハウがあったから。だから、音源を作ろうと思って普通だったらどこか音源出してくれるとこはないかって探すと思うんだけど、俺たちの場合「CDなら自分達で作れるよね」って。だから最初からレーベルにCD出してもらおうっていう考えすらなかった。
タイラ:最初の音源は無料配信でしたしね。
奈部川:そうだね。無料配信をやった時点(※3)で、別に今までのやり方にのっとって出す必要もないな、とか思ったし。それにフリーだとこんなに聴いてくれんのか!と。最初にフリーで出すときに、100円のCD-Rにするって意見もあったんだけど、いい大人が100円もらってどうする?って。100円で100人にしか聞かれないなら、無料にして1000人に聴いてもらった方が良くね?みたいな。俺たちがフリーで出した7年前は、ヒップホップの世界はフリーがもう主流だったけど、ロックの世界ではまだ珍しかったからみんな聴いてくれたっていう。
※3 ATATA初の音源として「Fury Of The Year」「Recito」「General Headquarters」の3曲が無料配信された。現在でもATATAのHPからこの3曲を含むいくつかの音源がFREE DOWNLOAD可能になっている。(http://atataweb.com/download/)
<ATATA『Fury Of The Year』>
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