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僕たちが生きていく場所をずっと守り続け続けたい。愛沢絢夏、ツアーファイナル公演をレポート!!
愛沢絢夏が3月に東名阪を舞台に行なった、60分間にすべてを集中させて挑む無料ワンマンツアー「愛沢絢夏 入場無料60min東名阪ワンマンツアー『OVER LIMIT 2021』」。そのファイナル公演を、愛沢絢夏は3月28日(日)に渋谷 CHELSEA HOTELで行なった。1月より無料で希望者に届けてきたシングル「OVER LIMIT」。この曲と、今回のツアーの関係性も含め、ツアーファイナルとなった公演の模様を、ここにお届けしたい。
気持ちを嬉しく昂らせるロックンロールナンバーがSEとして流れだす。その音を聞き、フロア中から熱い手拍子が響きだした。その音色へ誘われるように、メンバーたちが舞台へ。最後に姿を現した愛沢絢夏が叫び声を上げると同時に、ギターの音が熱く唸りだした。冒頭を飾ったのは、このツアーの中、いや、今の愛沢絢夏自身が大切に歌い続けている「OVER LIMIT」だ。
唸りを上げて駆けだしたロックンロールに身を預け、揺れ動く気持ちへ素直に声を預けながら歌う愛沢絢夏。エモーショナルな歌声に刺激を受け、フロアからはマスク越しの熱い声と数多くの拳が付き上がる。愛沢絢夏自身も腕を真っ直ぐに伸ばし、心の中に渦巻く熱い想いを力強く歌いあげていた。
「イケるところまでイコうぜ!」。熱した空気へさらに熱を加えるように、愛沢絢夏はハード&パンキッシュな「HELLO」を突きつけ、観客たちの気持ちをさらに滾らせる。一度上がった拳は、もう下げられない。サビでは誰もが心の中で「HELLO×3」と叫びながら、沸き立つ想いを愛沢絢夏にぶつけていた。もちろん彼女はその熱を全力で、全身で受けとめていた。覚悟を背負って舞台に立つアーティストが発する熱量は、本当にハンパない。彼女は「もっと来いよ!」とずっと熱を求め続けてゆく。
間髪入れずに、楽曲は「もしも今日世界が終わるとしても」へ。たとえこの世界がどんな歪んだ道へ進もうと、音楽の力を信じた僕らの心は誰にも曲げられない。「もしも今日世界が終わるとしても」と歌う愛沢絢夏に向かって、大勢の人たちが左右に大きく手を振り、ときに拳を熱く突き上げていた。熱を求めたい気持ちは、魂と魂で繋がりあっているこの絆は、誰にも奪えない。世の中が繋がることを邪魔しようとも、ライブハウスという繋がる空間を手にした以上、僕らはここで固く解けない絆を結びあえる。突き上がり続ける拳と絶叫が、それを示していた。
「今日が東名阪ワンマンツアーのファイナル。ずっとやりたいと思っていたワンマンツアーの夢が叶った瞬間に、みんいながいてくれてありがとうございます。今日ソールドしました、ありがとう!!
1年前からコロナが流行りだして、ライブハウスが悪い場所のような見方をされてしまって。わたしはそれがすごくすごく悔しくて、しかもわたしは3月にポリープ手術から「復帰するぞ!!」という矢先だったので、より悔しくて。ライブハウスはぜんぜん悪いところじゃないのにさ、こんなに素敵なみんなが集まる楽しい場所なのに、感染してしまう場所という見方をされてしまったのが、すごく悔しくて。1年経った今だから出来る形として、無料ワンマンを東名阪で組ませていただきました。無料で開催するのは、少しでも愛沢のライブを通してみんながライブハウスに戻ってくるきっかけになれたらなと思って、そうしました。こうやってみんなが集まって、少しでも笑顔の場所を増やせているのなら…。一人一人今日は思いきり楽しんでください、いいですか!!」
その日の人生を後悔なく笑顔で過ごせることを願いながら、愛沢絢夏はバラードの「Days」を、一人一人の心へ向け想いを届けるように歌っていた。彼女自身が心にずっと抱き続けている想いを、愛おしい大切な人たちの心へ寄り添うように優しく、でも確かな力強さを持って歌っていた。その言葉のひと言ひと言が、胸に残る言葉として染み渡っていた。
ふたたび熱を上げるように、愛沢絢夏は「To NEXT」を通し、気持ちのアクセルペダルをグッと踏み出した。軽快に駆ける開放的な楽曲に乗せ、彼女自身少しずつ熱を加えるように歌っていた。一気にギアをトップに入れるのではない。少しずつシフトアップしながら、見ている人たちの気持ちも一緒に心地好くアゲてゆく。とはいえ、ときに熱した声を張り上げてゆくところも、感情のブレーキのかけ方が苦手な愛沢絢夏らしい姿。彼女の場合、自分で制御出来ないそのポンコツな姿こそが“らしさ”。その“らしさ”へ、僕らもまた嬉しく共鳴してしまう。
「かかってこいよ!!」。愛沢絢夏の昂る感情のエンジンが、一気に咆哮を上げだした。「この声が枯れるまで」と愛沢絢夏は、沸き立つ気持ちのままに「優しい人よ」を歌っていた。胸に渦巻く気持ちを、けっして終わることのない夢や生きざまを。何より、支えてくれる仲間たちへの想いを、愛沢絢夏は力強い声に乗せ「届くように」歌っていた。この声が枯れてさえも、きっと愛沢絢夏は想いを届け続けるだろう。その熱さに共鳴し、たくさんの人たちが愛沢絢夏の下へと集まり、想いを叫びに変えていたんだもの。
この会場に春の風を運ぶように、愛沢絢夏は「HARUKAZE」を歌いだした。彼女は、眩しい光を会場中へ振り注ぐように歌う。気持ちをウキウキと沸かせる歌に触れ、フロア中の人たちが大きくタオルを振り回し、春の嵐のような熱風と絶叫を会場中に巻き起こしていった。心地好いこの風を、もっともっと熱くしていこうか!!
「さぁ、思いきり狂っていこうぜ!!」。飛びだしたのが、会場中に熱いコール&レスポンスの景色を作り上げる「Be crazy」だ。身体を突き刺すエモーショナルな楽曲に乗せ、フロア中の人たちが高く拳を突きあげ、思いきり跳ねだした。愛沢絢夏の煽る声へ熱した想いをぶつけるように、誰もが「For Crazy!!」と心の声を上げ、我を忘れ、夢中ではしゃぎ続けていた。魂を開放させるとか、そんな生ぬるいもんじゃない。理屈めいた言葉など一発で砕け散るくらい、無我夢中で騒ぎたい気持ちが身体中を支配し続けていた。
「私たちの大好きなライブハウスが、この先もずっと存在し続けますように」。僕たちが生きていく場所をずっと守り続けようと、愛沢絢夏は晴々とした気持ちで「僕のいる場所」を歌っていた。世の中のしがらみをすべて脱ぎ捨て、10代の頃のような無邪気で、わがままで、無敵な自分に戻れる場所は、やっぱりここ(ライブハウス)なんだよ。それを知っている人たちが、ここに集まり、熱い手拍子を返しながら、この場所で、くしゃくしゃの笑顔で、愛沢絢夏を見つめていた。やっぱりここが大好きなんだよな。だから、ここに居るんだよ。ともに歌を交わしあう、この瞬間が最高だ!!愛沢絢夏は、「ここはまだまだ小さな場所だけど」と歌っていた。でも、大好きな人と一緒に過ごすこの空間は、どんな巨大な会場以上にどでかい、自分を自由にしてくれる最高の聖域だ。
最後に愛沢絢夏は「wake up」を届けてくれた。何度躓き、挫けようと、何度想いを違おうと、そこで学び続けながら、人は成長という道を歩み続けてゆく。いろんな経験を重ねながら、それでも気持ち揺るぐことなく信じた道を進み続けていけば、その道には何時かたくさんの人たちが追いかけるようについてくる。ゆっくりと、時間をかけながら築いてきた愛沢絢夏の道の上にも、こうやって本気で彼女の歌や意志に共鳴した仲間たちが歩き続けている。愛沢絢夏の歌が、想いが、一つ一つの言葉が、声が、もっと大勢のもとへ届けば、その道はさらに大きな道となって輝き続けてゆく。そんな想いも感じさせた、とても胸を熱く揺さぶるライブだった。
やはりもう一度この曲を届けたかった。アンコールで愛沢絢夏は「OVER LIMIT」を熱唱。ここに立つ意味を改めて教えてくれた仲間たちへ向け、彼女は声の限りに歌い叫んでいた。ここで生きていることに本気で喜びを覚えながら、たくさんの拳のエールを全身で受け止めながら、愛沢絢夏は力強く歌っていた。
この日、愛沢絢夏は新しいアクションを発表した。彼女は、6月20日にシングル「Real」を発売する。同日には、吉祥寺SHUFFLEを舞台にリリースイベントを開催。7月からは、「Real」を手にした全国ツアー「Real answer tour」がスタートする。さらに、今回東名阪で行なった60min無料ワンマンツアー「OVERLIMIT 2021」の東北編を、同じく7月に仙台・郡山・青森で行なう。加えて、昨年4月に行なうはずが、コロナ禍で延期になっていた「NEO CHAPERT」TOURの未開催だった仙台と郡山での公演も7月に行なうことを発表した。この夏、愛沢絢夏は東北で熱いライブを噛ましてゆく。
PHOTO:大川茉莉(@MariOokawa)
TEXT:長澤智典
★インフォメーション★
■2021年6月20日
ニューシングル「Real」リリース決定!
■6月20日(日)吉祥寺SHUFFLE
愛沢絢夏ニューシングル レコ発イベント 「Real answer」
■2021年7月〜愛沢絢夏ニューシングル レコ発ツアー Real answer tour 決定!
■入場無料 60min ワンマンツアー
「OVER LIMIT 2021 東北招致」
・7月03日(土) 仙台 MACANA
・7月04日(日) 郡山 PEAK ACTION
・7月18日(日) 青森 某所
■愛沢絢夏 復活ツアーこの夏、ついに完結!
「NEO CHAPTER 2020」
・7月03日(土) 仙台 MACANA
・7月04日(日) 郡山 PEAK ACTION
セットリスト
「OVER LIMIT」
「HELLO」
「もしも今日世界が終わるとしても」
-MC-
「Days」
「To NEXT」
「優しい人よ」
-MC-
「HARUKAZE」
「Be crazy」
「僕のいる場所」
「wake up」
-ENCORE-
「OVER LIMIT」
FEATURED
- 現在はデジタルアーティストとして活動する元音楽プロデューサーの月光恵亮氏が無観客配信トークライブ
- 音楽家として高い評価を受け、書き手としても注目を集める寺尾紗穂。これまでの集大成となる待望のエッセイ集が発売。
- タイラダイスケ(FREE THROW)【生活と音楽 Vol.10】× OSAWA17(I HATE SMOKE RECORDS / THE SENSATIONS)(後編)『シーンへの危機感から掴み取った「生活」と「音楽」を続けて行く意味』
- タイラダイスケ(FREE THROW)【生活と音楽 Vol.11】×竹澤浩太郎(Wanna-Gonna)(前編)『「音楽」を長く続けるにはどうしたらいいか?から導き出される「生活」』
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タイラダイスケ(FREE THROW)【生活と音楽 Vol.1】× 安孫子真哉(KiliKiliVilla)
「家族との生活」と「音楽の場所に戻る覚悟」(前編)