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KENZIらしい、はちゃめちゃに祭り上がった還暦を祝うイベントだった。ほんと、けんちゃん!お前って奴は。。KENZI(THE DEAD P☆P STARS/∀NTI FEMINISM)「続・元祖ビジュアル系かまいたちKENZI伝説還暦生誕祭~けんちゃん!お前って奴は。。~」公演レポート。


7月3日(木)に還暦(60歳)を迎えたKENZI(THE DEAD P☆P STARS/∀NTI FEMINISM)。以前からSNS上でも話題を集めてきたように、KENZIは、誕生日当日の7月3日(木)にZepp Shinjukuで「続・元祖ビジュアル系かまいたちKENZI伝説還暦生誕祭~けんちゃん!お前って奴は。。~」公演を行った。出演したのが、THE DEAD P☆P STARS/アンチフェミニズム&HIZAKI(Versailles)/死んだパンダ噛んだズ/April in 85/AURA/ガチンコバンドクラブ/新宿心音会板谷祐/覇叉羅/メリー/BALZAC/SEXX George/MOGWAI/SHINTANI/DEN/ C’Z(ちぃたん☆&いっちゃん)/ぴぱんくぅ/猫ひろし/斉藤勝宣(TRACY/ONE NIGHT STAND)/橘高文彦(筋肉少女帯/X.Y.Z.→A)/森重樹一(ZIGGY)/KIBA(Gargoyle)。司会をKENZIとSEXX GEORGEが担当。ここでは、当日の公演の中から、KENZIが出演したTHE DEAD P☆P STARS/∀NTI FEMINISM/ぴぱんくぅ/セッションの模様をピックアップしてお届けしたい。

∀NTI FEMINISM
イベントのトップバッターを担う形で、∀NTI FEMINISMが登場。いきなり真っ白なドレス衣装を身につけた女装姿なのが、奇抜なことが大好きなKENZIらしい。60歳になろうと、気分は10代なのもKENZIらしさ。
荒々しい音が轟き渡る場内。スタンドマイクを強く握り、身体をぐっと前へ突き出す姿でKENZIが絶叫しだす。ライブは、KENZIが早口で次々と言葉をぶち噛ましグロウルする、ハードコアパンクナンバーの『ストリートファイティングマッチ』からスタート。スタンドマイクを強く握りしめ、今にもフロアへ飛び下りんばかりの姿勢と勢いでKENZIはがなり続ける。HIZAKI(Versailles)を筆頭とした楽器陣も、今にもフロアへ襲いかからんばかりの姿で挑むように演奏を繰り出す。途中からKENZIは、みずからの頬に注射器をぶっ刺して貫通!その姿で観客をドン引きに!それは、KENZIにとって当たり前の姿勢。ステージの上から狂気と興奮というエナジーを全力でぶつけてこそ、観客たちの理性もぶっ飛んでいく。その姿勢を、KENZIはみずからが先頭に立って示していた。
立て続けに、∀NTI FEMINISMは『くらげ』をぶち込んできた。バーストしたハードコアナンバーに乗せ、白いドレスを脱ぎ捨てたKENZIは下着姿で絶唱。上にブラジャーをつけ、下はパンティー姿なのが、ヤバいくらいに変態じみている。途中、KENZIはみずからの額へ画鋲でアイドルの写真を打ち、その姿で観客たちを煽り続けていた。身体を張ったパフォーマンスを見せてゆく??いや、みずからの身体を傷つけることで、さらに感情を滾らせ、より狂気の世界へKENZIは観客たちを引き込んでゆく。痛みを介して狂気をぶつけてこそ∀NTI FEMINISMのライブ。だから、観客たちも狂ったように暴れ続ける。最後に「火気厳禁」の立て札を掲げて去ってゆく、その姿もKENZIらしいじゃない。


ぴぱんくぅ
ぴぱんくぅは、猫ひろしを引き連れ、C’Z(ちぃたん☆&いっちゃん)のライブに乱入する形で参加。 いっちゃんの弾くギターの演奏に乗せて、ぴぱんくぅが『学園天国』を猫ひろしを引き連れてジャック!一度、袖へと引っ込んでいたちぃたんだったが、ぴぱんくぅがノリノリで歌いはしゃぐ姿を見て、ぴぱんくぅへ殴りかかりながらふたたびステージへ。ここからは、ぴぱんくぅとちぃたんが「ヘーイヘイヘイヘーイヘイ!!」と『学園天国』をデュエットすれば、観客たちとも「ヘイ!」「ヘイ!」と熱いやりとりを交わしていた。その横では、猫のかぶりものをした猫ひろしがはしゃぎまわる。3体のゆるキャラたちが、ステージの上でわちゃわちゃした姿を見せながら楽しいひとときを作りあげてゆく。フロアからも、ゆるキャラたちの名前を呼ぶ声が響くなど、いい感じで盛りあがっていた。最後、なぜか「猫ひろし」の大コールが巻き起こっていたのも、ゆるーいライブらしい様だった。


THE DEAD P☆P STARS
イベントのトリを飾ったのが、THE DEAD P☆P STARS。熱狂的な声援を浴びながら、ライブはスタート。彼らはド頭からガツガツと荒ぶるロックンロールな演奏をぶつけてゆく。なんて、刺激的な始まりだ。ライブの冒頭を飾ったのが、これまでの生きざまを歌詞に熱く刻んだ『当たり前のことなんて』。どこかフォーキーな香りも携えた歌系の楽曲だ。「これが、俺たちの生きざまだ」と言うように、ここまで自分らが貫いてきた生き方や姿勢をTHE DEAD P☆P STARSは最初に突きつけた。その姿や思いに向け、フロア中から無数の拳と声が上がり続ける。軽快に駆けるロックンロールのビートに気持ちを煽られながら、Akiの歌う”強い意志を示した生きざま”を記した言葉の数々に触れて心が震え、そして奮えてきた。「あたり前のことなんて」と歌う声が胸を打つ。終盤には、フロア中の人たちを巻き込んでシンガロングしてゆく様が、そこには生まれていた。
この日のKENZIの衣装は、赤いちゃんちゃんこならぬ、赤い風船を使った衣装姿。そこがKENZIらしいじゃない。Akiは、「けんchanだから、まぁいっかと思ってしまう」と語っていたが、ほんとその通りだ。
THE DEAD P☆P STARSも、ここへ至るまでは本当にいばらの道だった。もちろん、これからもTHE DEAD P☆P STARSはいばらの道を歩き続けるだろう。Akiは、リーダーのKENZIに向けて「どんな苦しいことがあっても泣き言いわず進み続けてきた」と感謝の思いを述べていた。そんな愛おしき相棒のKENZIへ送るように、Akiがギターの旋律に乗せて「いばらの道の向こうにあるという まだ見ぬ世界を夢に抱いて」と、『いばらの道』を朗々と歌いをあげる。その声に向けて突き上げられた、たくさんの拳・拳・拳。THE DEAD P☆P STARSは、いばらの道の向こうにある世界を信じて、ここまで走り続けてきた。あえて彼らはいばらの道を選び、遮るものすべてをなぎ倒す勢いで全力で走り駆け、そこへ刺激的な刺々の道を新たに敷きつめてきた。その姿勢を、その道のりを、ここに集まった大勢の人たちが知っているからこそ、熱いエナジーを込めて届けたこの曲をくしゃくしゃの笑顔で受け止め、「いばらの道の向こうにあるという まだ見ぬ世界を夢に抱いて」と心で歌いながら、メンバーに共鳴の絆とも言える思いを送り続けていた。Akiの動きにあわせ、フロア中で左右に大きく揺れる手の動きも印象的だった。これからも、THE DEAD P☆P STARSと一緒にいばらの道を力強く踏みしめていこうじゃないか。傷だらけの道ほど、いろんな印象深い想い出が身体中に刻まれてゆくからこそ…。
THE DEAD P☆P STARSは、最後に『WAR』を叩きつけた。彼らのDEADの面を長く支え続けてきた楽曲だ。テンポと歪むギターの音が、一瞬で速度と激しさと圧を増した。メンバーらは、観客たちへ噛みつく勢いで荒ぶる音を叩きつける。フロアでは、ヘドバンや逆ダイに興じる人たちが大勢誕生。暴れまくってこそ、騒いでこそ、頭をからっぽに全力で楽しんでこそTHE DEAD P☆P STARSのライブ。その姿勢を、彼らは最後にしっかりと見せつけていった。KENZIの叩き出す速いテンポの上で、気持ちを自由に解き放つ歌と演奏を繰り出し、THE DEAD P☆P STARSはこの場をはちゃめちゃな楽しい宴の場に染め上げていった。演奏の終わりに合わせて場内中に響いたサイレンの音も、さらに胸を荒ぶらせた。
ライブを終え、最後にKENZIが挨拶を述べていたところへ、突然、花束を持った大仁田厚が登場。KENZIは感動のあまり涙を流していた。大仁田厚は「けんchan、何時までも頑張れよ」と語り、会場中のみんなと「1.2.3ファイヤー!!」と叫びながら、KENZIへ熱いエールを送っていた。



セッション
ここからはセッションのコーナーへ。KENZIがギタリストとして呼び入れたのが、地元,京都時代からの先輩になるTRACY/ONE NIGHT STANDの斉藤勝宣。ベースには、元かまいたちの盟友MOGWAI。そしてヴォーカルには、ジャンルの垣根を超えた絆友として心の支えになってきたRAPESのSHINTANI。もちろん、ドラムはKENZIだ。選んだ楽曲が、KENZIが初めてドラムを叩いた、甲斐バンドの『きんぽうげ』。KENZIのルーツとなる楽曲を、長年友情を育んできた絆友らと一緒にセッション。そこからも、KENZI がこのメンバーを選んだ理由と愛情が伝わってきた。いつもの自分たちの持ち味を生かした楽曲とは異なる雰囲気ながら、4人とも歌声や演奏へほとばしる熱いエナジーを注ぎ、より荒々しさと豪快さを増した楽曲にして、熱情した思いのままにぶつけていた。シンプルな演奏だからこそ、一人一人の滾る感情がダイレクトに伝わってきたのも嬉しい。
続いてKENZIが呼び入れたのが、関西で活動をしていた頃からの盟友であり、SISTER’S NO FUTUREでもベースを弾いていたtest-No.のDEN。彼はBY-SEXUAL時代のヘアメイクやスタイルで登場。そのインパクトに、フロア中の人たちも興奮していた。ギターには、かまいたち時代にデビューしたレコード会社でレーベルメイトだった筋肉少女帯/X.Y.Z.→Aの橘高文彦。そしてヴォーカルには、KENZIがインディーズ時代からずーっと憧れてきたZIGGYの森重樹一。このメンツで届けたのが、もちろんZIGGYの『GL;ORIA』だ。熱を撒き散らすように、ドラムのビートが一気に駆けだしで演奏が始まった。そのとたん、フロア中の人たちの感情も一気に急上昇。森重樹一の超絶エモーショナルな歌に振れ、身体中からエネルギーが沸き上がる。気づいたら、フロア中の人たちも大きく手を振り、一緒に「GLORIA I NEED YOUR LOVE お前の熱いHEARTで」と歌っていた。ザクザクとした、攻撃的でハードエッジ&エモーショナルなビートロックに乗せ、ここにいる人たちみんながハートを熱く滾らせ、心の翼を大きく広げ、共に歌いながら高く空へと力強く羽ばたいていた。いや、そんな気持ちで、このセッションを抱きしめていた。最後に、森重樹一から着ていたデニムベストをプレゼント! KENZIはまた涙を流していた。
最後の最後にKENZIは、ベースに、この日、司会として大活躍してくれたLADIES ROOMのSEXX GEORGEを。ギターに、DEFLOWER時代からの盟友であり、この日もガチンコバンドクラブとして登場したTHOGOを。ヴォーカルには、同じく長年の絆友であるGargoyleのKIBAを呼び入れた。もちろん演奏したのは、アナーキストレコードの社歌でもある、SEX PISTOLSの『アナーキーインザUK』だ。やはり最後は、この曲ではちゃめちゃになるまで騒がないとKENZI主催のイベントらしくない。ステージ上のメンバーたちも、フロアに足を運んだ大勢の観客たちも、無邪気な少年や少女に戻って騒いでいた。このぐちゃぐちゃ感こそが、KENZIのライブらしい。何事にも縛られない、自分が信じた道を自分で切り開いて正義にしてゆく。その姿勢こそが、KENZIらしさ。途中から、ドラムを離れ、KENZIがマイクを手にフロントへ。そこからは、ドラムをCASCADEのHIROSHIへバトンタッチ。さらに、この日出演した大勢の絆友たちがステージへと集まり、みんなでぐちゃぐちゃになりながら、この会場をはちゃめちゃに狂いまくった宴の場に染め上げていった。




60歳になっても、相変わらずはちゃめちゃなKENZIらしいバースデーイベントだった。演奏後 、みんなで「HAPPY BIRTHDAY」の歌を、観客たちを交えてKENZIにプレゼント。でも、ここで終わらないのがKENZIのイベント。最後の最後に用意したのが、断髪式。「還暦が新たなスタート」ということから、KENZIは頭を丸刈りにする断髪式を実施。観客たちの目の前で、バリカンで坊主頭にしたKENZIは、ここから生まれ変わって新たな一歩を踏み出す姿と、その姿勢を、みんなの前にしっかりと見せつけていった。
KENZIは最後に、0歳に戻った。いや、60歳という経験を背負った0歳の赤ん坊に戻った。ここから彼が何を吸収し、どんな人生を描き、どんな刺激を伝えてゆくのか。新たに成長し続けてゆくその姿を、しっかりと見ていこうじゃないか。最後にKENZIが見せた感動の嬉し涙も、印象的だった。ほんと、最凶の誕生会だった。
ちなみに、KENZIいわく「来年の7月3日には59歳になる。年を重ねるごとにカウントダウンしてゆく」そうなので、その認識でいてもらいたい。ということは、120歳で0歳になるということか…。


PHOTO: メトロ。
TEXT:長澤智典

SNS
KENZI
X https://x.com/Antikenzi2000
SHOP https://kenzi-shop.stores.jp/
YouTube https://www.youtube.com/@kenzichannel3880
THE DEAD P☆P STARS
https://deadpopstars.site/
∀NTI FEMINISM
http://www.anti655321feminism.jp/menu.html
STAR★CAFÉ
https://starcafe.crayonsite.net/
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