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タイラダイスケ(FREE THROW)【生活と音楽 Vol.1】× 安孫子真哉(KiliKiliVilla) 「家族との生活」と「音楽の場所に戻る覚悟」(後編)
前編では安孫子さんのこの3年での生活の変化と、その変化とともにまた音楽の場所に戻った決意の話を聞いた。
後編ではシーンに戻ってからの話、そしてこれからのKiliKiliVillaの未来の話を聞いてみた。
Interview & Text:タイラダイスケ(FREE THROW)
仲間や友達がみんないい顔出来ないことには幸せな事だとは思えない
タイラ:ここまで話を聞いてきて、安孫子さんがとても楽しそうなんですよね。歳は違うにせよ、一緒にレーベルをやる仲間や友達がいるっていうのはやっぱりデカいですか?
安孫子:ずっと思ってるんですけど、例えばどれだけ人気が出て世間的な成果が出たとしても、結局周りで仲間や友達がみんないい顔出来ないことには幸せな事だとは思えないんですよね。これって誰しもみんな気付いてることじゃないですか?
タイラ:気付いていてもできないっていう。でもやっぱりそういう繋がりが一番強いというか。
安孫子:本当にそう思います。GEZANが今度リリースする『Absolutely Imagination』という曲の一節に「どうしても忘れたい記憶よりも どうしても忘れたくない記憶の方が多いから 今日もオレらの勝ちなんだ」という歌詞があるんですが、心の奥底から勇気付けられてもう泣きましたね。
<GEZAN-Absolutely Imagination>
タイラ:それこそ過去のインタビューで、一緒にレーベルをやっている与田さん(※1)が言っていた「バンドに対して後ろめたいことをしないレーベルでいたい」というのにも通じることですよね。それは結局「音楽さえあればいい」って話しではなくて、人間関係も含めた繋がりがある。
※1:与田太郎。安孫子氏と共にKiliKiliVillaを主催。パンクだけではなく、ダンス・カルチャーにもDJ、Partyのオーガナイズ、レーベル運営という形で深く関わっている。
安孫子:KiliKiliVillaでリリースさせてもらってるバンドも、音楽の素晴らしさはもちろんなんですけど、結構(リリースするかどうかの)基準は「自分が友達になれるか」とかなんですね(笑)。もちろんそれだけではないのですがざっくり言うと。音だけ聴いてかっこいいなって思うバンドは沢山いますけど、僕的には「友達になれるかなれないか」は大きいです。音楽ってやっぱり、「この人がこういう事をやってるから面白いんだ」っていう側面があるじゃないですか。自分にジャストフィットして恋におちるような。そういう仲間を増やし続けたいっていう。
タイラ:「仲間になれる、友達になれる人をリリースしていこう」っていうコンセプトっていうのは、レーベルの一番最初からあったんですか?
安孫子:そうですね、でもデカいコンセプトっていうよりは…
タイラ:「結果それじゃなきゃ意味ないよね」って自然とそうなっていったっていうのが正しいですかね?
安孫子:そうですね、自然と本能のままにですね。例えばですけど、「こいつは今はポップに振舞ってるけど、マジで普段はめちゃ暗いんだろうなー」とか、でもそいつが「音楽やパンクでこう変わったんだなー」とか勝手に想像してしまうような人間が僕はどうしても好きなんですよね。
そう言えばちょっと前のwebの記事で、パンクに関するエッセイがあって、ものすごい共感したんです。曖昧な引用で申し訳ないんですけど、服飾産業が始めた「そっちの意味でのパンク」っていうのはもう終わってて、でもBuzzcocks(バズコックス)とかああいう普通のやつが悶々としたベッドルームからなんかのワンクッションで外に飛び出す、そういう意味のパンクロックっていうものはずっと続いてる、って書いていて。僕にはまさにそういう事がドンピシャで。だから僕、パンク以外も普段聴くんですけど、でもわざと「パンク最強」って言いたいんですよ。そんな感じに自分が妄想して掻き立てられたり、気になっちゃったりするバンドや人がすごい好きなんです。
タイラ:それが滲み出ているバンドというか。
安孫子:自分がキャッチしちゃうんだと思うんですけどね。そういうやつがどうしても好きなんですよね。
タイラ:そういう人って実際話してみても、やっぱりフィーリングが合うことが多いんですかね?
安孫子:「ほっとけない、気になる、好きかも!」そんな感じですかね(笑)。年齢も離れた若い友人達と会っても「最近どう?ガンガンシコってる?」みたいな感じのテンションですよ(笑)。ほんとに自分でもどうかと思うんですけど(笑)。いつまでもこんな感じというか、そういうテンションでいられるのが自分の特技なんじゃないのかなってちょっと思っていて(笑)。クソしょーもないです(笑)。だから変に大人ぶるんじゃなくて、ずっとリラックスしてやりたい。この感じで今友達100人いるとしたら1000人作りたいです。
タイラ:なるほど、そういう意味ではめちゃくちゃポジティブですね。
安孫子:いろんな葛藤を抱えてるのも分かってるんです。せっかくみんなやりたくてバンドやってるんだから、金銭的なことも含めて、なんとか生活とかの負担が軽くなるようにとか。でもやっぱりかっこよくずっとやり続けないと。どっかで簡単に尻尾ふっちゃった人間って、そのあざとさがバレちゃったら取り返すのが困難になっちゃうじゃないですか。そんなんじゃなくて「あの感じってなんないいよね」っていうのをやっていかないと、ずっと自分達が楽しめないと思うんで。
でももう少し状況を打破しないと…。本人たちも楽しいだけでやってるつもりもないし、みんな消耗したり現状に飽きちゃったりすると思うんで、(レーベルが)3年目になってきたときに、「もうちょっと何とか出来ないかな」って考えてます。
FEATURED
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