－L.A.とN.Y.をメインにした１ヶ月の旅でしたよね。

大和田：大好きなアレサ・フランクリンのライヴを鑑賞すること、自分のライヴを開催すること、そして、毎月１回行っているジョンのライヴを観ること、これが最大の目的でした。つまり、ジョンのライヴで万が一、話が出来たら直談判しようと思っていたのですが、だからといって具体的な動きはしていませんでした。現地に着いて知人の音楽関係者と話をしていたら“決して無謀な事ではないし、直接お願いすればプロデュースを引き受けてくれるかもしれない”とアドヴァイスをいただき、それならやるだけやってみようと、どうにか伝手を使い、ライヴの当日にご挨拶する時間をもらえることになりました。用意しておいた資料をお渡したら帰国後に彼から連絡があり、なんと快諾していただけたんです。本当に夢のようでした。

－そして、今年の２月にL.A.でレコーディングが行われたんですね。

大和田：スタジオに入るまで細かい打ち合わせは全くなかったのですが、不安はありませんでしたね。実際、本当に素晴らしいアレンジでしたし、彼が弾いてくれたピアノの音も私が求めていたジョンならではの独特さだったんです。100年ぐらい経っているスタンウェイのアップライト・ピアノで、かなり扱いが難しいはずですが、ジョンはそのピアノを熟知しているので逆に美しい音を出せるんです。それと、アナログ・シンセサイザーを駆使して幻想的なサウンドを作ってくれました。私とジョンだけなのに物凄く厚みのある世界になったと満足しています。

－ずばり、ジョンはどんな方でしたか？

大和田：音楽も個性的ですから気難しい人かもしれないと内心覚悟していました。でも、実際の彼はとても柔らかなオーラを発した優しい方でした。とにかく、ジョンが私の曲を弾いている～！と思うだけで震えましたし、一緒に音楽を作ったという事実に今も感激しています。

－その楽曲がNHK「みんなのうた」で流れているんですから、これもまた嬉しいですよね。

大和田：オン・エアを初めて見た時、自分が描いていた世界と一致していたので、こんなことってあるのかと目を疑いました。ごく普通の家族の何気ない日常の一瞬をモチーフにしていて、見ているだけで温かい気持ちになります。子どもの頃の愛してもらった記憶は、その先もずっと支えになってくれるもの。そんな時間があったことを想い出せるような曲になってほしいと思って書いたので、映像になって流れているのを観て、自分自身の家族への想いも昇華された気持ちでした。それと、友人のお子さんがテレビを見ながら一緒に唄っていると連絡をくれたのも心底嬉しかったです！

【後編へ続く】

＜interview＞ 菅野 聖

RELEASE INFO

大和田慧『まどろみ』

2018 .7.4(Wed) on sale
PRICE：￥926 +tax
FORMAT：CD
PRODUCT NUMBER：SMU-1001
LABEL：Sam’s Up

1. まどろみ
2. Everything～どれでもない、そのすべて～
3. I’ll be there

ARTIST

大和田慧（おおわだ けい）

東京出身シンガーソングライター。瞬時に空気を捉える声はやさしく、時に力強く言葉を響かせる。Carole Kingやソウルミュージックに影響を受けた音楽性、深いまなざしをもつ歌詞で、静かにその世界へ惹き込んでいく。定期的に渡米し、NY、LAでライブやレコーディングを行うほか、NYアポロシアター・アマチュアナイトに自作曲で出演、準決勝まで進出。これまでに「5 pieces+1」「A Part Of Me EP」「touching souls」の３作品を発表。
また、様々なアーティストの作品やライブへの参加、詞曲提供、アートとのコラボレーションも積極的に行っている。
2017年にMONDO GROSSOの14年ぶりのアルバムにボーカル参加、FUJI ROCK’17にも出演。
2018年、ロサンゼルスにてJon Brionとのレコーディングが実現。６月〜７月、書き下ろしによるNHKみんなのうた「まどろみ」が放送される。

＜Official Website＞ https://keiowada.com/