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映像演出家・スミスの人生相談【きょうもスミスがかんがえた Vol.21】スミス、「夜」についてかんがえた
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こんにちは。映像演出家スミスです。
数少ない趣味のひとつにゲームがありまして、最近は手が腱鞘炎になってしまうほどやっているのですが、恐ろしい早さで時間が過ぎていきます。いったいどうしてこんなことをやっているのか不思議に感じるのですが、つまりは心を空にしておく時間な気がします。ゲームをしているとき、心は自分の肉体から少し離れてプレイしています。ゲームのなかの主人公に預けているのです。そうしているあいだに、精神活動が止まって、汚れが流れていく気がします。なかなか心を肉体から外すことは難しいです。だからゲームはあんなに刺激的に作られているんでしょう。
夜は、夢の時間だ。眠っている間、幼い頃から、夜闇の中で起こっている出来事を想像することほど楽しいことはない。そんな夢想の記憶から幾つもの企画は生まれてくる。
真夜中、いつもの線路沿いの帰り道も少し違って見えていると見知らぬ三人が道を塞いでいる。感覚的に危険を感じるが、じっと見つめられていると身動きがとれない。その瞬間、快速列車が風をきって、通り過ぎていく。窓の光が横顔を舐めていく。踵を返して、逃げ出すと、やはり三人は追いかけて来る。そんな物語がどんどんと浮かび上がって来る。
フジファブリック「銀河」
現実では見えているあらゆる世界のディテールが、夜の闇によって薄ぼんやりとして、場合によってはその存在も消えている。重要なのは、映したいものを写し、映したくないものを写さないことだ。夜は、それを容易に叶えてくれるシチュエーションだ。画面の中をコントロールすることが、演出の重要な仕事である。
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