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タイラダイスケ(FREE THROW)【生活と音楽 Vol.1】× 安孫子真哉(KiliKiliVilla) 「家族との生活」と「音楽の場所に戻る覚悟」(後編)
タイラ:ほんとDJも同じですね。「タイラさんは何のDJなんですか?」って言われたら、俺は「ロックのDJです」って答えるんですけど、一晩でかけるものはヒップホップもあればダンスミュージックもあれば、邦楽だって洋楽だって何でもかけるんですけど、そこには自分の中の筋があって、一般的ではない自分独自の縦軸と横軸が噛み合ってやっているっていうところはあって、それって言葉じゃうまく説明できないんですけどフィーリングみたいなもので。
安孫子:例えば友達の家で「次このレコード聴こう」ってあるハードコアバンドを聴いてた時に「このレコードのジャケット、はっぴいえんどの風街ろまんのオマージュをこのイラストレーターでやってるのヤバイよね」とか、そういう事を共有してるやつとはものすごい辻褄が合ったりとかしますよね。更に掘り進めていくと「あ~あれもあった~!」みたいな。音楽ってよほど面白いんだなっていうのがすごいあるんです。
一度は「今まで音楽をさせてくれてありがとうございます、もう俺家族のために生きていきます、もう音楽は十分です、さようなら」って気持ちになったのに、半年一年で手のひら返したように「やっぱり音楽最高!」って(笑)。あのタイミングでCAR10とか、NOT WONK、SEVENTEEN AGAiNなんかに出会って、「あれ?なにこれ??あれとあれが繋がって??あ~~~!そして全く新しいものに生まれ変わってる!」みたいな。色んなところが混じり合ってる、でもこれは全然知らないみたいな。またサウンドだけでなくもっている価値観もとても新鮮に感じました。その掻き立てられる感じがやっぱり面白いんですよね。
タイラ:SEVENTEEN AGAiNってヤブさんがライブで来てるTシャツとかにルーツのヒントがあるじゃないですか(笑)。
安孫子:ドマニアックですけどね(笑)。
タイラ:どこで買えるんだっていう(笑)。NOT WONKのアレンジ一つ取っても「ただパンクが好き」とか「ただインディーが好き」っていうだけじゃないんですよね。
安孫子:そうですよね。僕が本当にラッキーなのは、僕のワクワクがはじまった時に一斉に多くのバンドに出会えた事です。みんなのネットワークの力を借りながら、早いペースで色々なところと繋がれた事は非常に幸運でした。あの時期僕が群馬に引っ越してから遊びに行ったSEVENTEEN AGAiNの企画にCAR10が出ていて、「群馬なんですか!?俺も群馬なんで一緒に帰りましょうよ!」って言ってもらったときとか…ほんとに自分が掻き立てられたって以前に、ものすごい偶然のタイミングがあった気はしますね。
タイラ:それは必然なのか偶然なのかわからないですけど、結構ラッキーというか、すごい出会いですよね。
安孫子:かなりラッキーだと思いますよね。だから大事にしたいなとも思うし、いいおっさんがこの3年相変わらずドキドキさせてもらってて。でも、これをずっと続ける為には生活と音楽がある中で、もっと先の「何か」を探さないとダメなんだべなと。
KiliKiliVillaの「今まで」と「これから」
タイラ:俺も今回のインタビューは今までの話しというよりは、最終的には先の話しで終わりたいっていう気持ちがあります。でもそういう風に思えるのはやっぱり3年間やったからこそですよね。
安孫子:本当そうですよね。もう少し足掻けば何か掴めそうな感じもするんですよね。
タイラ:例えばよく言われてるように、ストリーミングがどうだとかCDが売れないとか、そういうことだけじゃなくて、もっと抜本的な何かがあるような気がするんですよね。そういうものとももちろん上手く付き合っては行くんですけど、もっと本質的なところに何か次の答えがありそうだなーっていう気はするんですよね。
安孫子:そうなんですよね。辿り着きたいんですよね。「あの場所って最高だね」みたいなのがもう少し風通しよく自然と出来る空気っていうか。うーん…。
タイラ: FREE THROW(※2)もそういうのを作りたいって気持ちでやってた部分はあるんです。
※2 タイラが神啓文、弦先誠人、cabbage boyと共に主催するDJパーティー。
安孫子:あの空間を体験してみたいな、とか、気になるなとか。
タイラ:でもそのムードはKiliKiliVillaには確実にあるような気がしますけどね。
安孫子:そう信じてます。KiliKiliVilla を3年やってきたんですけど、当初は2年くらいでFEVERとかソールド出来るんじゃないかなと思ってたんですよ。でもそれが全くそういうことにはならなかった。それで、この3年で「なるほど、今は昔より過酷な状況なんだな」ってことが改めてわかって(笑)。でも(信念を)曲げる気も、曲がるはずもがないなともやっぱ思いますし。だから本当にわかりやすい新たな価値観とか、周りのみんなが嗅覚として感じられるものがもうちょっとだけ形になったときに、みんなの理想の先があるんだろうな、未来があるんだろうなって感じは本当にするんですよね。
タイラ:それがないと、さっき言ったようにそれこそ続けられなくなっちゃう。
安孫子:飽きちゃうと思うんですよね。
タイラ:同じ刺激はずっと食い続けられないですからね。
安孫子:みんな本能と好奇心で、自然に変化はしてるんですけどね。
タイラ: DJのパーティーとかをやってるとよく思うのが、DJだけバチッとやってたらいいわけじゃなくて。お客さんに求めるものもすごいデカいんですよね。お客さんからお金もらってやってるから、良いDJがいて、フロアの環境も整えて、お客さんを楽しませて、っていうのが自分たちの仕事なんですけど、DJが最高にクールでもダメなパーティーっていうのはあって。それは色んな要因があるんですけど、その要因のひとつがお客さんという場合もあるんですよね。お客さんは「お金払ってるから楽しませろよ」っていうスタンスで来ても全然俺は構わないんですけど、お客さんが受動的じゃなくて能動的になった瞬間に何かがひっくり返るっていうことは往々にしてあると思うんです。
やっぱかっこいい踊り方をしてる人とか、かっこいい飲み方をしてる人とか、立ち振る舞いがかっこいい人とかがいることによって劇的にその一晩が変わるみたいな。だから「金を払ってまでそんなこと気にしたくない」って思う人もいると思うんですけど、そこを同じテンションでお客さんとDJが一緒に出来たら最高だよなぁっていうのはずっとありますね。お気に入りの服で行こうとか、そういうちょっとしたことだけでも結構劇的に変わるっていうか。
安孫子:「あそこに集まってる人達かっこよくね?」っていうことですよね。
タイラ:そうですね。ちょっと青臭い意見かもしれないですけど「自分も一緒に一晩を作るんだ」ってお客さんも一緒に思えたら最高なんですよね。だから取り巻く人たち、それはお客さんだけじゃなくて裏方の人たちとかも含めてですけど、そのムードみたいなものが共有できる人が増えていって、「この人たちとは一緒に出来る」っていうフィーリングの人が色んなジャンルで増えていったらいいですよね。
安孫子:本当僕もそう思います。みんな自分達を常に更新しようと努力してるので、イベントをオーガナイズするときも「ここにすごいマンパワーかけてんな」とか、「こいつらこの場所を作るのにすごい気合い入ってんな」とか、そういうことがお客さんにも伝わるとより素晴らしい空間になりますよね。
タイラ:それこそを苫小牧で企画をやるNOT WONKの加藤君のやり方(※3)みたいなことも含めてですよね。
※3:2017年4月に行われたNOT WONKの苫小牧での自主企画PURE PARKは高校生はおすすめの曲を入れたCDを持って来てくれたら1000円で入場できるなど、普段はなかなかライブハウスに遊びに来ない地元の人たちを巻き込んで行われた。
安孫子:そうですね。努力を続けるのはもちろんだし、「自分の理想を求めて本当に探してる」っていうのがものすごい伝わったじゃないですか。僕は本当に足掻くのはいいと思うし、加藤君のあの足掻き方はものすごいカッコ良かったと思うんです。どんどん面白い事したいですね。フリーイベントとかやりたいんですよね。やりたいことは沢山あります。
あとがき
2017年5月19日、KilliKilliVillaと下北沢THREEを中心に開催されている「入場完全無料イベント」BLOCK PARTYのカップリングパーティーに遊びに行ってきた。
NOT WONK、JAPPERS、SUUEAT.、すばらしかという出演の4組の音楽性は見事にバラバラで、それはDJがセレクトする曲にも、遊びに来ているお客さんの雰囲気にも同じことが言える。しかし、多様性を持った満員のフロアは、サウンドを超越した「パンク」の通念で繋がりながら、最高の雰囲気で朝まで盛り上がりを続けた。
「ここには何かがあるかもしれない」という空気感が満ち溢れたライブハウス。
ここからまたKilliKilliVillaの新しいチャレンジが始まる確信を感じた夜だった。
▶タイラダイスケ(FREE THROW)【生活と音楽 Vol.1】× 安孫子真哉(KiliKiliVilla)「家族との生活」と「音楽の場所に戻る覚悟」(前編)
EVENT INFO
KiliKiliVilla presents『不安と遊撃 vol.6』
9月16日(土)大阪編 @十三FANDANGO
17:30 open 18:00 start
前売 2,500円 当日 3,000円 ドリンク別
出演:CAR10、NOT WONK、JAPPERS、すばらしか、odd eyes、チッツ http://www.fandango-go.com
※8月4日よりチケット発売予定
9月17日(日)東京編 @新代田FEVER
17:30 open 18:00 start
前売 2,500円 当日 3,000円 ドリンク別
出演:CAR10、NOT WONK、JAPPERS、すばらしか、Tomato Ketchup Boys
http://www.fever-popo.com
8月4日よりチケット発売
e+ URL 購入ページURL (パソコン/スマートフォン/携帯共通)
http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002233395P0030001
ローソン L:70795
ぴあ P:340-795
RELEASE INFO
NOT WONK『Of Reality』
2017.07.03 (Mon) on sale
LABEL:KiliKiliVilla
FORMAT:Digital
TRACK LIST:
- Of Reality
※Apple Music、iTunes、Spotify、OTOTOY等の音楽配信サイトにて配信中
RELEASE INFO
LEARNERS『IN THE CUTUP STUDIO AND MORE』
2017.07.26 (Wed) on sale
PRICE : ¥3,240 (tax in)
PRODUCT NUMBER:KKV-057D
FORMAT:DVD
LABEL:KiliKiliVilla
TRACK LIST(ライブ収録予定曲):
- CUPS (いろんな場所)
- FOOLS FALLIN’ LOVE (TOWER)
- LEARNERS YEAH (TOWER)
- I WANT TO BE MY BABY (FEVER)
- TEENAGE KICKS (FEVER)
- GO AWAY DON’T BOTHER ME (TOWER)
- LET ME IN (TOWER)
- HEATWAVE (LOFT)
- YOU WONDERING NOW (LOFT)
- WATER THE FLOWERS (FEVER)
- LOVE YOUR MONEY (FEVER)
- I WANT CANDY (FEVER)
- GOTTA LOT OF RHYTHM (LOFT)
- SHAMPOO PLANET (FEVER)
- WHY DO FOOLS FALLIN LOVE (FEVER)
RELEASE INFO
GEZAN『Absolutely Imagination』
2017/07/12 (WED) on sale
PRICE : ¥1,400 +tax
PRODUCT NUMBER : KKV-051VL
LABEL:KiliKiliVilla
FORMAT:7inch+Download Code
TRACK LIST:
- Side A. Absolutely Imagination
- Side B. Ambient Red
RELEASE INFO
SEVENTEEN AGAiN『スズキ』
2017/07/12 (WED) on sale
PRICE : ¥1,700 +tax
PRODUCT NUMBER : KKV-052
LABEL:KiliKiliVilla
TRACK LIST:
- Come & Through
- Dancing In The Trush
- Fuck Forever Too
- Scrap & Craps
- わずかな光
- 絶対君じゃ嫌なんだ
- パーティーは終わったんだ
- Shitty Lights
PROFILE
安孫子真哉 / あびこ しんや(KiliKiliVilla)
山形出身、1999年GOING STEADYのベーシストとしてデビュー。GOING STEADY在籍時よりSTIFFEEN RECORDSでレーベル活動を行う。2013年銀杏BOYZ脱退、2014年10月に自主レーベルKiliKiliVillaを立ち上げる。群馬在住のサラリーマンとしてパンクを基軸にインディー、ギター・ポップなど様々な現場に出没中。
WEB:http://kilikilivilla.com/
Twitter:https://twitter.com/KiliKiliVilla
Facebook:https://www.facebook.com/kilikilivilla
Instagram:https://www.instagram.com/kilikilivilla/
PROFILE
タイラダイスケ(FREE THROW)
DJ。
新進気鋭のバンドと創り上げるROCK DJ Partyの先駆け的な存在であるFREE THROWを主催。
DJ個人としても日本全国の小箱、大箱、野外フェスなど場所や環境を問わず、年間150本以上のペースで日本全国を飛び回る、日本で最も忙しいロックDJの一人。
レギュラーパーティー
毎月第二土曜日@新宿MARZ「FREE THROW」
毎月第四金曜日@渋谷OrganBar「Parade」
毎月第一&第三水曜日@赤羽Enab「Crab」
<Twitter> https://twitter.com/taira_daisuke
<FREE THROW> http://freethrowweb.com/
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