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バンドマンとして、行政書士としての目標
タイラ:嬉しい話だね。じゃあちょっと最後の締めの話なんだけど、思い立って行政書士になって3年経った今、「バンドマンとして」と「仕事として」の今後の夢とか希望みたいなものがあれば教えてもらえますか?
武田:LITEを14年続けてきて…すごくよかったと思う。年々その思いは強くなってるかな。それはもう結成当初の時よりも今の結成14年の方が圧倒的に「続けてきてよかった」って思えていて。これからもLITEは20年、30年って続けていきたいなと思ってる。続けていけば、転がってどんどん大きくなる雪だるま式じゃないけど、そこに関わる感動とか、自分の経験が雪だるま式に増えてくる。だからそれは絶対に転がしていきたいなっていう風に思ってるんだよね。俺の目標とか人生っていうのはそれをいかに続けていくかってところに集約されてて。
でも続けるためにはやっぱり生活が大事で、生活もただアルバイトで生活するんじゃなくて、やりたいことをやるために、お金と時間を生み出していく仕組みをいかにうまく作れるかっていうことに注力していきたいなと。多分最終的には「好きな仕事、好きなやりたいことだけをする」っていうところに行き着くんだと思う。
<LITE / Bond>
タイラ:そもそも行政書士だって興味がある仕事ではあったんだもんね。行政書士自体に興味があって、今はもうちゃんとそれが「好きな仕事」になってるんだと思うんだけど。
武田:でも、行政書士の仕事の中でも、やっぱり生活のためにやることってあって。そういうのをいかに排除して自分の本当に好きなことだけをやれるかってのはテーマだよね。ただ辛いだけのことをやりたくなくて、楽しいことをいかにやっていくかっていうことに注力したい。辛くても楽しめることをやりたいっていうか。そのためには具体的に自分が何かビジネスを興したりとか、ビジネスに投資してみたりとか、それこそ投資をやってみたりとかっていう、色んな種を植えて時間とお金を実らせていきたい。
タイラ:なるほど、武田君の考え方とかすごく色んな人のモデルケースになるような気がするな。
武田:うん、本当にモデルケースになれればいいと思っていて。失敗したら失敗したでいいと思うし、成功したらこういうやり方あるよっていう風にどんどんやっていきたいなと思う。
タイラ:やっぱりバンドマンでそこまで発想出来る人は少ないよね。「バンドをいかに頑張ってやるか」っていう部分だけでいっぱいいっぱいになっちゃうっていう理由もあるかもしれないけど。
武田:起業してみて、俺は視野が狭かったなって思ったんだよね。バンドって結局自分が事業をしてるっていうのに似てるな、と。でも、ビジネスをしてるっていう意識って希薄じゃん。バンドを成り立たせるためにはビジネスと一緒で、お金をちゃんと考えていかなきゃいけないし、プロモーションしていかなきゃいけないし。それを周りのスタッフがやってくれているだけで、結局自分たちはそこに対して結構無知だったりする。それを広い視野で見た時に、やっぱり自分もこれやらなきゃいけないとか、例えばバンドによってはマネジメントもやっぱり自分たちでやった方がいいな」とか「ちゃんと確定申告した方がいい」とかっていう選択肢もあるかもしれないし。視野をもうちょっと広げることで、意識自体がすごく変わると思ってるんだよね。
で、視野を広げるためにはチャレンジが必要だと思う。例えば俺は全く別のジャンルで起業ってチャレンジをして、それが音楽に予想以上にいい影響があって、それによって「こういうやり方もあるんだ」って視野が広がったんだよね。視野が広がればまたさらに新しいアイディアも沸くし、新しいチャレンジもしていける。
タイラ:なるほど。まさに今の武田君は「バンド」と「ビジネス」の両面でそれぞれに違う視点をもっているし、その両方の考え方が有機的に組み合わさっているから、そこがオリジナリティになっていっているんだね。
武田:そうだね。そのオリジナリティって話でいうと、LITEを何で始めたかって言ったら誰もやってないことをやりたいっていうのが全部のはじまりだったんだよね。で、誰もやってないことって何かって言ったら「組み合わせ」なのかなって思っていて。ギターを1から作りたいっていうことじゃなくて、ギターの音色を組み合わせることで新しい音楽を作りたいっていう話しで。色んな要素を組み合わせることでオリジナルになれるっていうか。だから俺が音楽に行政書士を組み合わせることもオリジナルになれるのかなって。
タイラ:そうだね。例えばDJってオファーを基本的には待つと思うんだけど、俺はライブハウスで働いてたから、ライブハウスとかクラブを借りて、こっちでイベントを組んだり出来るんだよね、主催が出来たら単純にDJの本数も増やせるし、逆にDJとは別の仕事にも繋がってきたりするんだよね。このインタビューだってそうだしさ。だからやっぱり「自分がやりたいこと」と、「自分が出来ること」を組み合わせる相乗効果っていうのはあると思う。
武田:うん。自分の強みを考えて、音楽と、そういう音楽以外のところまで広げて繋げてやってくといいんじゃないかって思うな。
あとがき
武田くんがバンドを続けるためにチャレンジした「起業」という道。
そして働きながらバンド活動をより充実させていく方法論。
文中で彼が言うように、それはこれからのミュージシャンにとっての一つの大きな「モデルケース」になるかもしれない。
バンドと行政書士という一見何の接点もない二つの分野に対して同じような情熱を傾けて活動する武田くん。
多角的に自分のアイディアをシーンに還元していこうとする彼の姿はとても眩しく、自分にとって頼もしく見えた。
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PROFILE
武田信幸
1981年生まれ。
LITEのギタリストとして国内外で活動中。2013年に行政書士の資格を取得し行政書士事務所を開業後、行政書士法人GOALに合流。
スタートアップ期の資金調達のエキスパートとして銀行融資や補助金申請のサポートを行っている。
新代田FEVERにて「ミュージシャンのためのお金のセミナー」を年一回ミュージシャン向けに開催するなど、「ミュージシャン×行政書士」のパラレルワーカーとして活動中。
LITE WEB:http://lite-web.com/
GOAL WEB:http://www.takeda-gyosei.jp/
PROFILE
タイラダイスケ(FREE THROW)
DJ。
新進気鋭のバンドと創り上げるROCK DJ Partyの先駆け的な存在であるFREE THROWを主催。
DJ個人としても日本全国の小箱、大箱、野外フェスなど場所や環境を問わず、年間150本以上のペースで日本全国を飛び回る、日本で最も忙しいロックDJの一人。
レギュラーパーティー
毎月第二土曜日@新宿MARZ「FREE THROW」
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