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ATATAが開催するフリーライブツアーについて
タイラ:今のATATAの活動についてもちょっとお話を聞かせてください。ライブDVDを出して、また入場無料のツアーを周りましたよね。
奈部川:そうだね。今までだって無料でワンマンもいっぱいやったし、前回のミニアルバムのツアーは全部無料でやったし、今回も3カ所全部無料でやったんだけど、なんかね、前回のミニアルバムのツアーが終わった時にあんまりこれやりすぎると価格破壊になっちゃうかもっていう意見もあったり、やめた方がいいのかなとも思ったけど、でも去年の9月に今回のDVDを作る理由になったワンマンをやって。それはお金をちゃんともらってやってそれで満員になったんだよね。そこでいい意味でふっ切れて。「もう金関係ねえ!」ってなって(笑)。
それまでどこか不安だったの。タダじゃないと来てくんないのかなとか。でも「お金とってもみんな来てくれんだ!」みたいな。で、それがもう実証出来てわかっちゃった以上「もう関係ねえ。それよりみんなが楽しいことやる。」って。
タイラ:すごく素朴な疑問なんですけど、無料でやっても色々交通費だったりとかがかかるわけじゃないですか。そういうのは物販とかでうまくやってるってことですか?
奈部川:うん。全部物販。
タイラ:お客さんがそれは協力をしてくれてっていうか、粋に思って買うってことですよね。
奈部川:なんかね、物販について投げ銭みたいな感じで誰かに施されて買ってもらうのも嫌だから。物販は物販で人が欲しいと思うものを作らないとお金はもらえない。お金をもらう資格がないというか。だからかっこいいものを作ろうとずっと初めから思っていて。
タイラ:こだわりも感じますし、アイテム数もすごいですもんね。
奈部川:でもね、自分のそのプライドでやってきたんだけど、別に俺らのこと言ってるんじゃないんだけど、ある日誰かが「物販ってそのバンドが好きだから買ってる」って言ってて。そのときになんかちょっと鼻がへし折られた気持ちになって。それまではプライドもあったわけ。俺らは施されてない、いいもの作ってるから買ってくれてる、って。かっけーから、おしゃれだから買ってくれてるって思ったんだけど、あ、そうでもないんだと。
タイラ:それはどっちもあるような気はしますけどね。好きなバンドでも悩むじゃないですか。どれ買おうかなぁとか。逆にどんなにデザインがかっこよくても、そのバンドのTシャツを来ている自分を自分で許せないときとかもあると思いますし。「おしゃれだけど、このバンド好きだと思われたくないな」とか。両方兼ね備えてないとって感じですけどね。
奈部川:うん。だから本当に物販だけでやっていけるこの状況があるということはみんな自信をもって俺たちのロゴなりバンドの名前を背負ってくれてると思うと、すごくありがたいなと思うよ。 やっぱ自分がThe ClashのTシャツ着るときってここぞってときじゃん。
タイラ:音楽的なものだと特にそういう主張はありますよね。フリーライブはライブハウス的にもメインの夜じゃなくて、いつも稼働がない昼間にやってくれてるからオッケーっていう事なんですが?
奈部川:そうなんだよね。それももちろんあるよ。だからぶっちゃけていうとものすごく(ホールレンタルの)料金が安いし。最初はそれこそライブ組む時に東京では昼やってるところがあったから話も早かったんだけど、地方に関してはやってないところがほとんどで、逆に「値段設定いくらにすればいいんですか?」とか聞かれるような状況でほとんど手探りでやったんだ。で、イベントでフリーテキーラにしたいって相談したら「そんなことしたらお酒売れないじゃないですか」っても言われて。「いやいや!一回やってみて!馬鹿みたいに酒出るんで!」ってやったらやっぱりみんなよくお酒飲んでくれて。やっぱりテキーラ一発飲むとみんなエンジンかかるみたいで楽しい感じになって(笑)。
タイラ:地方だと特に車で来ちゃったりとかするんで、「テキーラタダで飲めるんだったらそれ用に準備してこようかな」みたいなのもあるのかもしれませんね。一杯目を飲むか飲まないかは心構え的にちょっとでかいかもしれないです。
奈部川:まぁ昼間だからね。みんな終電も気にしないで電車で来る率も多いし。だから昼やっても、最初想定したデメリットは何もなかったの。逆に良いとこしかなかった。それで、想定もしてなかった一番の驚きは昔ライブに来てた人も来るようになったの。脇には嫁さんも子供もいて。それで全部分かったんだ。あぁ別に興味がなくなったわけじゃないんだって。ただ単純に生活があって家族がいて子供が出来て来にくくなっただけなんだ。それが昼にしてみた無料にしてみたら「来た!」っていう。
タイラ:俺がやっているFREE THROWもやっぱりオールナイトにはこだわってやってるんですけど、夕方のパーティーになると来れる人いますよね。
奈部川:だから俺、今回具体的にやってみて得た結果っていうのは大きいなって。だからこれからも昼のライブはやっていきたいかな。基本自分たちも昼の方が楽だし。もちろん夜も楽しいし、雰囲気がやっぱり違うしね。でもなんかね、昼間の方が不思議とマジックは起こるような気がする。なんかさ、異空間になるんだよね。外は真昼間じゃん?でも中に入ると真っ暗。でまた出るとき真昼間。なんか時空がゆがむというか。
タイラ:どこか悪いことしてる感じがでるんですかね?明るいうちから酔っぱらっちゃった、みたいな。しかもまたそこから一日は長いですからね。
奈部川:昼間だし、みんな仕事終わってから来てるわけじゃないから超元気なの。
タイラ:ATATAのライブの後にも飲み行っちゃったりとか(笑)。
奈部川:そうそう。だから地方でも、東京から来た人がそのまま観光したりとかそういう光景もあっていいなあとか。
タイラ:元気だったら夜のライブもはしごできちゃいますからねえ。
奈部川:はしごできちゃうし、時間帯が違うから誰かとバッティングすることもない。だから悪いことなんもなかった。
タイラ:しかもフリーですもんね。
奈部川:今まで見たいなぁって思ってきっかけがなかったくらいの子も気軽に来れるし、本当に良いことしかないよね。だからもっと浸透すればいいなぁと。で、またそこで音楽とお金の話になってくると思うけど、方法論はあるから手探りでやれば必ず見えてくるし、だからみんないろんなこと試せば?って。
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