タイラダイスケ (FREE THROW)【生活と音楽 Vol.9】× モリタナオヒコ (TENDOUJI) (前編)「何にもなかった生活に寄り添い続けた音楽」

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「このまま家出するか、ハーゲンダッツ食って帰るか」

タイラ:話を戻すと、その東京の高校に行って、大学も東京?

モリタ:大学はそれこそケンジ追っかけて、青学入って。でもケンジが辞めちゃって。あいつはドロップアウトしちゃったんで、結局俺ひとりで青学通うことになって。で、俺も挫折するんすよ。

タイラ:ナオ君も途中で辞めちゃった?

モリタ:いや、結局卒業するんですけど、6年通いました。

タイラ:なるほど、そういう挫折の仕方ね。

モリタ:1回も学校行ってなかったっすもんね。で、バンドもまだやってないし。

タイラ:それに大学の時はサッカーももうやってないんでしょ?じゃあその時は何やってたの?

モリタ:そうっすねぇ。ほんと何もしてなくて…大学の時にケンジと1回家出とかしましたね。家出って何だよみたいな感じですけど(笑)。

タイラ:旅行じゃなくて家出なんだ(笑)。

モリタ:二十歳近いくらいの時に、ケンジが親と喧嘩して。で、俺もそん時親と反り合わなくて。ケンジが「家出しねぇ?」みたいな。俺も「今ちょうどそんな気分なんだ!」って (笑)。その時は俺2万、ケンジは1万持ってて、3万円でとりあえず家出するぞー!みたいになって。「家出っつったら東京駅だろ?」「なるほどなぁ!」とか言って(笑)。

タイラ:やばい話だね。

モリタ:で、東京駅からなんとなく渋谷まで歩いて「夜泊まるとこ探そう」って漫喫泊まるんですけど、二人とも当時バイトすらしてなかったんで、住み込みで出来るバイト探そう、って事になったんですね。そしたら「見つけた!」ってケンジの声が聞こえて。ケンジが探してきたのは沖縄で住み込みで働くみたいな感じだったんすけど、俺が「それはちょっとさすがに無理じゃね?」みたいなこと言ったら、「そっかなぁ?」とか言って。
で、朝になって、結局良い感じのバイトも見つからず表参道トボトボ歩いてたんすよ。そしたらハーゲンダッツの店舗があって、横通った時にケンジが言ったんですよ。「このハーゲンダッツを食って帰るか、このまま家出するかどっちにする?」って(笑)。俺が「うーん…」って悩んでたらケンジが、「ハーゲンダッツじゃね?」とか言って(笑)。ハーゲンダッツ食ってそのまま家に帰ったっていう…家出でも何でもない!

タイラ:むしろ小旅行くらいな感じだよね(笑)。

モリタ:ちょっとオールしたくらいの。

タイラ:そうそう、旅行でもないっていう。

モリタ:その時期は何するでもないんですけど、ヨッシーもケンジも毎日一緒にいて。

タイラ:ちなみにその時ケンジくんとヨッシーも、特に何もやってるっていう訳じゃなくって?

モリタ:ケンジはバイトしてて。ヨッシーは大学行ってました。でもヨッシーも行ってるっつってもサボってて。

タイラ:フワッとしてる大学生活?

モリタ:そうです。だからやっぱりみんな「何したいかわかんない」みたいな。就活とかもしてないし。

タイラ:音楽は大学生をしていた6年間の間もずっと好きで聴いてたの?

モリタ:聴いてました。もうホントに聴いてました。ムチャクチャ聴いてました。でも日本の音楽は全く聴いてなかったです。日本のインディーシーンとかも全然知らなかったし、古い60年代、70年代の洋楽をずっとヨッシーと聴いてましたねぇ。


<TENDOUJI/Mayonnaise>

音楽業界に進んだ根底にあった、「俺がバンドなんて出来るはずがない」

タイラ:じゃあ大学はなんとかかんとか6年通って、卒業したんだよね?

モリタ:僕とヨッシーは卒業しましたね。

タイラ:その時に24歳くらいってことだよね?で、大学卒業してそこからどうしたの?

モリタ:俺はどうしても音楽に関わりたかったんですよ。

タイラ:でもそれまでバンドはやってないんだよね?

モリタ:やってないす。自分がバンドをやるなんて、恐れ多くて。バンドってすごい…何だろう、神様じゃないけど。

タイラ:分かるなぁ。俺もその気持ちある。俺も1回もバンド組んだことないよ。

モリタ:あぁそうかぁ。まぁでも俺は今でもその感覚あるんですけど。バンドに対しての憧れっていうのがその時は特に強くて。「俺なんかが出来るわけない」っていう。みんなすごい才能を持っててやってるから、俺がやるなんて絶対無理だと思って。だから音楽に関わりたいと思ったら「音楽関係の仕事に就く」っていうのが自分の中での精一杯だったんです。

タイラ:なんとなく漠然と、「メチャクチャ音楽好きだから、音楽の仕事に就きたいなぁ」と思ったわけだよね?

モリタ:まさにそうです。

タイラ:じゃあ24歳で大学卒業して、音楽の仕事にいきなり就けた?

モリタ:えーと、就けましたね。

タイラ:おぉーすごい。

モリタ:まぁ言っても、メチャクチャ良い会社ってわけじゃないですけど。

タイラ:それはどういうことをする会社だったの?

モリタ:レコード会社です。A&R(※6)ですね。

※6 レコード会社のアーティストの発掘・契約・育成を担当する役割。

タイラ:それは正社員?契約社員?

モリタ:正社員です。正社員で普通に働いてました。

タイラ:すごいね!レコード会社で夢だった音楽関係の仕事に就けて、A&Rの仕事は長くやったの?

モリタ:もうめっちゃ居ましたよ。

タイラ:っていう事は働きながらTENDOUJIのツアーとかまわってたの?

モリタ:まわってましたね。

タイラ:それはだいぶ長く働いたね。音楽の仕事をやりたいと思って入れたわけだから、レコード会社での生活は楽しかったでしょ?

モリタ:地獄でしたね。これは俺にとっては地獄でしたね。

タイラ:え!それはどういうところが?

モリタ:1回も感動しなかったっす。

タイラ:えぇー!何で?

モリタ:わかんないっすね…。

タイラ:それはやっぱり、自分の好きな音楽性じゃなかったからっていうのがある?

モリタ:いや、やっぱり自分でやりたかったんですよね。どうしても。28手前くらいの時にケンジとデモテープ交換して、曲作り始めた時期くらいから、もう(裏方の仕事に)全く興味なくなっちゃって。

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