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「暇」を選んだキイチビールの「生活」
タイラ:大学卒業して、バンドをやって、ライブも含めた所謂バンド活動ができるようになってくるぞっていう兆しが見えてきた頃に、いよいよ大学を卒業しなきゃいけない。奨学金とかもなくなるだろうし、生きてかなきゃいけない訳ですよね。稼がなきゃいけないってなった時に、バンド活動はやりつつ、多分いきなりバンドでいっぱいお金が貰えるわけじゃないと思うんで、その時はバイトとかをしながら活動してたんですか?
キイチ:そうですね。そのかたしょが誘ってくれた3月のライブの時に、三つ峠っていうバンドが出てて、そのボーカルのはじめちゃんっていう子と仲良くなって、そいつが下北のモナレコードで働いてたんで、「俺、今月卒業するから、来月から働く所探してるんだよねー。」みたいなこと言ったら、「じゃあうちの店おいで。」みたいな。で、今でも働いてるんですけど。大学卒業した4月からはモナで、他にもバイト掛け持ちしながら働き始めて。モナレコードはライブハウスなんで、いろんなバンドマンとかと知り合えたりとか、いいなーと思って。
タイラ:実際にそれは楽しい?
キイチ:まぁ楽しかったけど、なんか…やっぱ働きたくないんですよ。
タイラ:根本にそれがあるんだね。
キイチ:根本に、絶対働かないぞっていう石碑があるんですよ。
タイラ:それは働くっていうことに、あんまり自分的にポジティブなイメージがないというか、フィットしない感じがあるのかな?
キイチ:働いて働いて、汗水たらして働いて、終わった後に飲むビールうめぇみたいな感覚があんまなくて、平日の朝とかに飲むビールの方がうめぇんじゃないかなっていう。罪悪感と一緒。うわー絶対飲んじゃいけないよな今、でも飲んじゃおう、みたいな方がうまい。
タイラ:でもそれはバンドとか、音楽やるのが楽しすぎるっていうのもひとつの理由だったりするのかな。そっちだけやっていたい!みたいな。
キイチ:多分そうですね。どっちもなんですけど、曲作って歌ってる時間に回したかったりとか、今は結構暇な日々なんでいいんですけど、2016年とかライブし始めの頃はバイト掛け持ちもしてて、ライブの予定もあるから、もう全然休みとかなくて、1日オフの日が3ヶ月に1回しかないとか。だからもう本当に辛くて、曲を作ろうにも作る時間もないし、もうヘトヘトで寝ちゃうし。それで、掛け持ちを1個辞めて、モナレコードに専念して、ちょっとずつ曲を作っていきながらやってはいたんですけど、それでもフルタイムで働く、週5で働くことに対して俺はもうアレルギー反応が出ちゃう。とにかくまずその週5をやめるっていうことを目標に。
タイラ:今は週5で働いてる?
キイチ:今、週2っす。
タイラ:おっ!だいぶ減ったじゃん(笑)!
キイチ:だいぶ減りました。今事務所に入って、給料が貰えるようになったんですけど、本当はモナで週5働いた時15万くらい稼いで、本当にギリギリの生活してたんです。今は、毎日暇なんで本当はもっと働けばもうちょい楽できるんですけど、今は週2にして計15万。同じ金額で暇を選んだんです。
タイラ:それはまぁ自分の価値観というか、そっちの方がいいじゃん、っていうね。
キイチ:絶対そうです。だから今はゆったり。で、家賃も前は世田谷に住んでてちょっと高かったんですけど、キツイし、今は小金井市に引っ越して、家賃も安くなって、部屋は畳2部屋で広くなって、築50年。もう最高ですね。スローライフって感じで。で、音楽作る時間とか聴く時間も増えて、彼女も出来たし。
タイラ:なるほど。その価値観は面白いね。将来的にもちろん音楽で食いたいぞっていう気持ちはあると思うんだけど、ニュアンス的にはどっちかというと、「週5で働かねぇぞ」っていう方が強いような気がするね(笑)。
キイチ:そうですね。どっちもあるんですけど。
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