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その道のエンターテイナーが集結。一つ一つのライブがドラマを筒繰り出すイベント「Unlimited You」公演の模様をレポート!
11 月 13 日(土)、新宿 club SCIENCE を舞台に Hexa Beat presents による多様なエンターテイナーたちが集い、それぞれの魅力を存分に発揮したイベント「Unlimited You vol.3」が行われた。当日は生配信も実施。出演したのは、Hexa Beat/Yo-Yo Entertainer TOMMY/狐火/カラフルパレット/ILLUSION FORCE/士魂流水/GeeSLY/主謀者翔馬/華野ルイの全 9 組。当日の模様をダイジェストで紹介したい。
華野ルイ
イベントのトップを飾ったのが、シンガーの華野ルイ。彼女は艶めいた歌声を魅力に、華やかな楽曲へあえて濃密な色を深く深く塗り重ねてゆく。華やかさへ同じ華やかさを重ねるのではなく、対極にある色を塗り付けることで楽曲に深いグラデーションを与えてゆく。それは他の楽曲にも言えること。
天へ駈け上がるようなテンポ良い楽曲でも、気持ちは速いビートにシンクロしながらも、歌声は聞き手の心にねっとりと絡みつく。むしろその濃さが、華野ルイというシンガーの歌声に惹かれる要素になっている。いわゆる昭和歌謡やムード歌謡などの艶めいた楽曲に乗せるとハマりそうだが、あえてそこではない華やかな色を求め、異なる色を加えて生まれる化学反応を華野ルイは楽しんでいた。その歌声、耳にこびりついて離れない。最後に歌ったトリップホップ系の楽曲に乗せ美しい声を響かせたときの艶やかさも、とても心地好かった。
華野ルイ
https://twitter.com/louis_kano_rui
https://www.youtube.com/watch?v=hCSp8ngQJ44
主謀者翔馬
「音楽家にして思想家。演説家にして偏執家」と名乗るのが、主謀者翔馬。ハード&メタル寄りのサウンドも、主謀者翔馬自身の歌声や姿勢も、共に挑戦的だ。楽曲の中へアジテートしてゆくように言葉を突きつける場面も挿入。常に挑戦的かつ、挑発するような姿勢を彼は示してゆく。
主謀者翔馬は、自らを演説家と名乗っている。同時に彼は、浪漫に溺れる詩人でもある。だから主謀者翔馬の歌は、ただ煽動したり、哲学的な問答をぶつけるだけではなく、ロマンチストな面も見せてゆく。もしかしたらナルシスト?!もちろん、そうだろう。だからこそ、自身の世界へ没頭しながら、伝え、届けたい思いを何倍にも増幅した輝きに変えていけるのだろうから。
他者を自身の世界へ巻き込み、思いを共有したり共鳴させてこそ、自らも恍惚に浸れる。自他共に満たされてこそ悦楽に浸れれば、聞き手にも深い感銘を主謀者翔馬は与えてゆく。激しいサウンドで観客たちを跳ねさせながらも、心を論理と浪漫が共存する世界へと連れ出す主謀者翔馬。とても色濃く、癖の強い煽動者だ。
主謀者翔馬
https://twitter.com/shubousha_shoma
https://www.youtube.com/watch?v=yMg_QKqn0vg
士魂流水
NHK 大河ドラマ「麒麟がくる」、映画「文禄三年三月八日」等にも出演。殺陣パフォーマンスを見せる士魂流水。今回、 佐藤友春と遥の 2 人が出演。ライブでは、彼らの最大の持ち味でもある殺陣/剣舞を披露する形で進行してゆく。
最初は佐藤友春が一人で殺陣を披露していたが、途中より女流剣士の遥も登場。厳かな和の音色に乗せ、それぞれが。その後は、互いに刀を交える形で、剣舞を披露していた。2人が刀を交えるうえでも、互いの存在感を生かしたうえでのやりとりを、最初はゆっくりと円舞。その後、実際の勝負に見立て、早い動きで、互いに刀を交える姿を見せてゆく。殺陣の講習を受けながら、それを徐々に実践へと発展させてゆく流れを士魂流水はパートナーを交える形で示していた。
時代劇映画やドラマでよく見る戦いの場面の真剣さを、舞うというパフォーマンスを交えた形で士魂流水は見せてゆく。後半には扇子を用いた円舞も登場。その一挙手一投足から目が離せなかった。
士魂流水
https://twitter.com/shikonryuusui
https://www.youtube.com/watch?v=uZRdb6cvQao
ILLUSION FORCE
日・韓・米 多国籍メロディックメタルバンドとして活動している ILLUSION FORCE。この日は、ヴォーカルの Jinn とギターの Yuya Shiroumaru、2 人による初のアコースティックスタイルで演奏。メロディックなメタルバンドのヴォーカリストだけあって、たとえアコギの音色の上だろうと、Jinn の歌声は激しい音を背負っているときと同じような存在感と迫力を出してゆく。確かに演奏は、掻き鳴らされるアコギの音のみだ。それでも、2 人の演奏から激しい楽曲が響き渡る中で朗々と歌いあげる姿が見えていた。それだけ Jinn の歌声が、抑揚を持ちながらもドラマを描きあげてたということだ。
MC では、Yuya Shiroumaru がとにかくよくしゃべっていた。ギターの卓越したテクニシャンぶりもさることながら、卓越した?話術も備えているギタリストだ。
メロディックなメタルバンドの特筆すべき点を示すかのように、アコースティックなスタイルにしたことで、よりメロディーの良さやヴォーカリストとギタリストのテクニシャンぶりが露になったのも嬉しい見どころであり、聞きどころ。細かい変拍子繰り出す展開もさらに明瞭に見えてきたのも、この編成だからこその特色だ。北欧系の香り見える民族音楽的な要素を折り込んだ勇壮な曲調も示せば、最後はオケを背景に Jinn が熱唱。このライブを見たことで、ますます ILLUSION FORCE としてあるべき姿でのライブが見たくなった。
ILLUSION FORCE (Acoustic)
https://twitter.com/ILLUSIONFORCE
https://www.youtube.com/watch?v=1OtnunJi-M4
GeeSLY
EXILE やTUBE、欅坂 46、まふまふなどのバックダンサー歴のある NATSUKO を中心に結成。テレビ朝日系「トゲアリトゲナシトゲトゲ」 10 月度エンディングテーマも担当していたガールズダンスヴォーカルグループの GeeSLY が登場。
実力派のパフォーマーたちが集結したグループというのを示すように、一人一人の動きがとにかくダイナミック。細かい様々なフォーメーションを見せながら、目にも鮮やかな一体化したダンスパフォーマンスを彼女たちはドラマチックに描き出す。もちろん歌唱面でも、激しい動きにも関わらず音程乱れぬ歌声を響かせれば、とても挑発的かつ魅惑的な歌としても心を騒がせる。楽曲も、耳心地好いメロディアスさを持ちながらも、低音ビートも効いた強烈で刺激的なスタイル。ライブを見ていると、とてもセクシーで大人っぽいが、MC では可愛らしいアイドル然とした面も見せてゆく。そのギャップも GeeSLY の魅力だ。
かなりレベルの高いダンスを見せながらも、真似しやすい振りもしっかり組み込んでゆくように、どんな人でもすぐに彼女たちの動きを真似ながら、一緒にライブへ参加していけるのが嬉しい。どの楽曲も、身体を騒がせる刺激を持ちながら。同時に、キャッチーな歌も魅力にしているように、とても身近な存在として接していける。
後半には、タオルを用いた楽曲も披露。見せるだけではなく、常に観客たちとの一体感を大切にしたライブを GeeSLY は作りあげてゆく。最後に披露した「DESTINY LOVE」のようなチャーミングな楽曲を通し、彼女たちの等身大さを感じていた。格好いいから愛らしいまで、多様な表情を見せる GeeSLY。彼女たち、まだまだ奥が深そうだ。
GeeSLY
https://twitter.com/GeeSLY_official
https://www.youtube.com/watch?v=UkzAPdlhHFU
狐火
「サマーソニック」や「B BOY PARK」への出演歴も。斎藤工が監督・企画・原案・共同脚本・撮影を担当した映画「COMPLY+−ANCE コンプライアンス」の劇中歌も担当しているラッパーの狐火。
物腰柔らかいトークも魅力的。でも、一度音楽に乗せ始めたとたん、狐火は人生という物語を語るように、早口で次々と思いをぶつけだす。嬉しいのが、とても言葉が明瞭なこと。思いを伝えたいからこそ,ラップという思いをたくさん詰め込んだスタイルを狐火は選んだんだと思う。あとで歌詞を読めではなく、その場で、初めて触れる人にも、しっかりと思いを伝えるラップを彼は見せていた。狐火はラッパーであり、メッセンジャーだ。自分の不格好な生き方を、狐火は赤裸々にぶつけてゆく。届ける楽曲に込めた思いも MC で語りつつ、30 分という与えられた時間の中、狐火は自分の生きざまを吐き出していた。どんな人にも、人生というドラマがある。決して人生に秀でた存在ではない。でも、自分を光らせるラップという術を得たことで、彼は自分の人生に輝きを当てることが出来た。どの楽曲も、とても生々しい。だからこそ、彼のひと言ひと言を寸分も聞き漏らしたくなかった。
狐火がライムしているのは、とてもプライベートな人生だ。でも、そこへ自分の人生も重ねて耳を傾けてしまうのは、彼が”その他大勢”の人たちの生き方をリアルに歌の中へ映し出しているからだ。狐火のライブを見ながら、いつしか狐火の姿が滲んで見えていたのは、きっとそういうことだ。 自ら涙を流しながらライムする姿が、とても格好いい。心を揺さぶる言霊が、狐火のライブにはたくさんあふれている。その言葉をすべて零すことなく受け止めていたかった。
狐火
https://twitter.com/kitune_bi
https://www.youtube.com/watch?v=ognxYXyMwCQ
Yo-Yo Entertainer TOMMY
ヨーヨー世界チャンピオンで、「シルク・ドゥ・ソレイユ」の登録メンバーでもあり、「マッスルミュージカル」のメンバーとして紅白歌合戦にもパフォーマンス出演し ているYo-Yo Entertainer TOMMY。
ライブでは、自らヨーヨー技法の様々な技の説明し,技の名前を連呼しながら、目にも鮮やかで卓越したヨーヨープレイを実施。Yo-Yo Entertainer TOMMY は、競技用のヨーヨーはもちろん、木のヨーヨーを用い、普通の人なら難しいプレイも難なくこなしてゆく。しかもプレイしながら、さりげなく笑いを取ってゆくところがエンターテイナーな面。
最初はオーソドックスな、でも、素人からすると驚異的なプレイから始まり、どんどんプレイの難度を上げてゆく。どのプレイもすごい。すごすぎて、圧倒されっぱなしだ。特に、難易度の高いプレイを音楽に乗せ立て続けにプレイしてゆく面では、誰もがその技へ釘付けになっていた。人は不思議なもので、自分の理解の範疇を超えたプレイを次々目撃していくと、何を驚異的な基準にして良いのかわからず、ただただ圧倒されるまま目の前の世界へ見入ってゆく。 Yo-Yo Entertainer TOMMY は芝居仕立てのプレイとして見せてゆくこともあり、いわゆるマジックショーと同系列の驚異的なエンターテイメントショーとして楽しめたのも、見ていて嬉しいこと。中でも、タワーにしたグラスを上に置いたテーブルクロスを、ヨーヨーでテーブルクロスだけを引き抜く技には、場内からもつい「おーっ!」と声が漏れていた。ヨーヨーの両刀使いなど、終始、視線が舞台に惹きつけられていた。
Yo-Yo Entertainer TOMMY
https://twitter.com/tommy_yoyo
https://www.youtube.com/watch?v=yMg_QKqn0vg
カラフルパレット
日本テレビ系「スッキリ」を始め、各種TV 番組のテーマソングを担当。アポロシアターにも出演しているカラフルパレット。ライブは、アコギの演奏に乗せ、2 人が美しいハーモニーを響かせ始まった。とても爽やかな曲たちだ。夢や希望を胸に覚える歌の数々を、彼らは美しい声を時に重ねあわせ、時にメンバーそれぞれが空へ溶け込むような輝きを持った声を魅力に届けてゆく。ソウルフルな楽曲など、曲調は様々なれど、人の心が前を向くときに必要な思いの数々を、カラフルパレットは汚れ泣き真っ直ぐな思いで伝えてゆく。だから、その歌や言葉に込めた思いを全力でしっかりと受け止めたくなる。
途中、三線とアコギとのデュエット演奏も登場。誰もが日々心の中に抱えている小さな悩みにこそ、カラフルパレットの歌は寄り添ってくれる。歌に必要なことは決して壮大なテーマではない。むしろ、弱い心にそっと手を伸ばしてくれる身近な相談相手のような歌にこそ安心を覚えるし、気持ちが救われる。だから、カラフルパレットの歌を耳が、心が追いかけてゆくのかも知れない。楽曲に込めた思いをMCで聞きながら、そのうえで曲に触れると、さらに一つ一つの歌が心揺さぶるドラマとして胸に響いてきた。しかも 2 人のハーモニーが、人生のドラマに美しい色を寄りそえてゆく。いつしか瞼が潤っていたのも、彼らの真っ直ぐな思いに心打たれていたから。今日は最高の日だ!!
カラフルパレット
https://twitter.com/calapale_info
https://www.youtube.com/watch?v=e11BbLRumBM
Hexa Beat
タップダンサー兼ミュージカル俳優の宮下恵一が主宰するタップダンスチームのHexa Beat、今回は石川実乃里と望月はなの両名がチームに参加。そしてダンサーの上口采香をゲストに迎え、イベントのトリとして登場。軽快な楽曲に乗せ、4人のタップダンサーたちが、巧みな足裁きでリズムを一つに重ね、気持ち騒がせるタップを打ち鳴らす。ライブは、曲ごとにメンバーや編成を変えながら進んでゆく。流れる音楽とタップシューズが打ち鳴らす音が、どうシンクロし、より音楽として華やいでゆくのか、そこが楽しさのポイントだ。とても驚異的なプレイを見せているが、それを「凄い」ではなく「楽しい」として届けてゆくところが Hexa Beatの実力。傘を差した女性たちが「雨に唄えば」に合わせ、ミュージカル劇のようにタップを行うパフォーマンスにほっこりすれば、ジブリ映画の音楽を用いることで、見ている人たちを親しみやすい世界へと導き、お馴染みの楽曲へタップダンスが加わることで、どんな風に曲の世界がドラマ性を増すのかも Hexa Beat は伝えていた。
後半には音楽を用いず、タップダンスのみのハーモニーで楽曲を作り出すパフォーマンス面も登場。タップダンスという魅力を、いろんな角度から Hexa Beatは伝えてゆく。「紅蓮華」など、様々な人気曲を用いながら、タップダンスはとても身近にある音楽表現であり、見ている人たちの心をほっこりさせるエンターテイメントなショーであることを Hexa Beat は伝えてくれた。
Hexa Beat
https://twitter.com/Hexa_Beat
https://www.youtube.com/watch?v=Os1fQS3Y_mQ
「Unlimited You」は、今回が 3 回目の開催となる。次の開催も、楽しみにしていてもらいたい。
PHOTO: Hideaki Yamamoto
TEXT:長澤智典
【概要】
2021 年 11 月 13 日(土) 新宿 club SCIENCE
https://club-science.com/
Hexa Beat presents
「Unlimited You vol.3」
※有観客&生配信
<出演者 Teaser 動画>
https://www.youtube.com/watch?v=h0rKmQJ1_k0
配信 3,000 円(ツイキャス プレミア配信)
https://twitcasting.tv/c:clubscience/shopcart/105446
(公演後、2 週間アーカイブ視聴可能)
※文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業
主催:Hexa Beat
制作:株式会社レゾナンスクリエーション協力:胎動LABEL
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