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情熱とアイディアを持って「生活」と「音楽」を両立させている人にフォーカスを当てる対談連載「生活と音楽」。
第12回目となる今回はロックバンド・キイチビール&ザ・ホーリーティッツのソングライター兼ギターボーカルキイチビールくんに話を聞いた。
以前Sawagi/まぼねんのnicoくんにこの対談で話を聞いたときに、文字にはしなかったけれどキイチビールくんの話になった。彼は自身の現生活について「自分の人生をかけた実験みたいなものですよ」と言っているという。その言葉がずっと自分の中に残っていて、彼の価値観をぜひいつか聞いてみたいと思っていた。
前編は彼の音楽原体験からミュージシャンを志すまでの話。このエピソードの中にも彼の人生観が滲み出ている。
Interview & Text:タイラダイスケ(FREE THROW)Photo:石崎祥子
ずっと一人で音楽を聴いていた学生時代
タイラダイスケ(以下タイラ):今日はよろしくお願いします。まず簡単な生い立ちだったりとかを聞いていきたいんですけど、キイチくんて今何歳ですか?
キイチビール(以下キイチ):3月で26になります。
タイラ:生まれは確か東北の方でしたよね?
キイチ:そうです、岩手です。大船渡市っていう港町でした。
タイラ:結構田舎だったんですか?
キイチ:結構田舎っちゃ田舎っすねぇ。そこらへんは割と陸の孤島なんて呼ばれて、新幹線とか通ってる盛岡市とか一関っていう内陸の方から2時間とかかかっちゃうんで。割と遠いっすね。娯楽が何もなかった。
タイラ:大船渡には中学校まで?高校まで?
キイチ:高校までですね。
タイラ:音楽の目覚めとかはどうだったんですか?
キイチ:音楽はすごい好きで、親の影響もあって、子供の頃からゆらゆら帝国とか…
タイラ:おお!すごい。子供の頃ってそれ具体的には何歳?
キイチ:4歳か5歳くらい。
タイラ:4歳でゆらゆら帝国聴いてたの!?すごいね!笑。
キイチ:ずっと親が流してて、まぁ結構ゆらゆら帝国とか、じゃがたらとか家で流れたりしてて、結構音楽聴く環境としては良かったんですね。
タイラ:じゃあお父さんお母さんが元々音楽すごく好きな人だったんだね。3歳4歳でゆらゆら帝国聴いてるっていうのは「ゆらゆら帝国だ!」っていう意識して聴いてるというよりは家でずっと流れてる音楽っていう感じ?
キイチ:はい、そうです。小学校6年生くらいの時にちょっとした反抗期が来て、「もうゆらゆら帝国なんか聴きたくない!誰も知らないんだもん!ORANGE RANGE聴く!」みたいな時期もあったんすけど(笑)、中学校でちゃんと戻って来て。
タイラ:普通の反抗期は逆に「ORANGE RANGEなんて聴かないぜ!俺は人と違ったもん聴くぜ!」ってなると思うんだけどね(笑)。みんなが聴いてるものを聴きたいっていう(笑)。逆反抗期。面白い。
キイチ:中学校くらいの時に戻って来て、中学校、高校はずっとロックを聴いてたんですよね。日本のロック。The ピーズとか村八分とか外道とか、そういう音楽に出会って、でもそんなの気の合う、話の合う友達なんかいないんすよ。
タイラ:しかも田舎だったら余計にねぇ。
キイチ:そうです。で、高校は隣の市の陸前高田市ってところにある高校に通ったんですけど、友達もあんまり出来なくて、最初のうちは。尚更孤立、孤立っていうか…まぁ高校は結構つまんなかったんすねぇ。音楽の話出来る友達もいないから、ずっとひとりで音楽を聴いたりしてたんですけど。
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