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また少し音楽から離れてみましょう。
最近では大手住宅メーカーが、実際には土地の権利を有しない地面師に騙されて巨額な土地代金を騙し取られるというニュースがありました。改ざんに強く、オンラインでの照会が容易なブロックチェーン技術は土地の権利のような公的記録の管理にも有効といえます。海外では選挙に活用している例もあると聞きます。
ああ、なんて素晴らしいんでしょう。ブロックチェーン。ブロックチェーン万歳!
しかし少し冷静になって考えてみなければいけません。
音楽の再生数に応じた支払いはすでにApple MusicやSpotifyなど各サービスで行われていますし、ライブ演奏などに関してはJASRACがデータベースを一元管理してしっかり分配すれば済む話です。しかし「小さなバーや音楽教室での演奏に使用料を支払うべきなのか」といった話が着地しないことにはままなりません。
また、盗作の問題が出た際に「どちらの曲が先に作られたか」は照会できても「それが盗作かどうか」を判断するのは最終的には人の耳。オマージュと盗作の線引は?ブロックチェーンが直接トラブルを解決してくれるわけではありません。それでも情報の正確な管理、照会において社会に役立つ技術になることに変わりはないでしょう。「良い音楽をつくり多くの人が聴いてくれれば、それが自分に還元される」と多くの人が信じることができるのは素晴らしいことです。
結局どの分野の話をしても「優れた道具も技術も使う人次第」というところに落ち着いてしまうのかもしれません。そもそもの「良い音楽つくる」という部分で誰もが楽しみながらも悩み、苦しんでいるわけですからね。そこには暗号化も分散型管理も関与できない部分です。
やっぱ自分次第か~。
がんばります。がんばりましょう。
【関連記事】
音楽プロデューサー・RAM RIDERの【朝までに送ります Vol.4】ブロックチェーン=ビットコイン?先端技術と音楽の意外な関係について(前編)
PROFILE
RAM RIDER
96年にダンスミュージックやJ‐POPのブートリミックスの制作を開始、自主レーベルからリリースした作品が一部で話題となり、数多くのトップアーティスト達のリミックスを手がける。
2000年代からはDJ、リミキサー、アレンジャーとしての経験を活かし楽曲提供や作詞、編曲、プロデュースへの道を進み、2004年自らもヴォーカルをとる形でデビュー。
スマッシュヒットとなった1st Album「PORTABLE DISCO」、ソロボーカルと豪華ゲスト参加の2枚同時という形でリリースされた「AUDIO GALAXY」などオリジナルアルバム3枚に加え、シングル6枚、リミックスアルバム2枚をリリースしている。
現在は自身のリリース、ライブ、DJと並行しソロシンガーからバンド、アイドルと数多くのアーティストのプロデュース、TV、舞台への楽曲提供、雑誌での執筆など活動の幅を広げている。
WEB:http://ramrider.com/
Twitter:https://twitter.com/RAM_RIDER
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