自分もクラシックをかじらせて頂いた身でして、クラシック音楽すごく好きですし、それを一生懸命やってる人を尊敬しています。で、たまたま、今自分がポップ音楽を作る側の人間になりましたので、どんなクラシック奏者を使いたいかということを書きます。傾向がわかれば対策もとれるというわけです。あくまで僕の意見ですので参考程度にしかならないと思いますが、一人でも多くのクラシックの学生が音楽で生きていけるきっかけになれば幸いです。

１）圧倒的にうまい
圧倒的にうまければ雇いたいです。しかし、ロサンジェルスは上手い人いっぱいいます。「圧倒的」にうまくなければなりません。

２）お高くとまるのはNG
時々いるんです、「私はクラシックを勉強してきたのよ、あなたみたいな薄っぺらいポップ音楽なんてものをやってる人間とは違うのよ」オーラぷんぷんの人。そうすることによって自分の凄さを知らしめたいのかも知れませんが、こういうプレーヤーはポップ音楽の理解が足りないですし、セッションの雰囲気を悪くするので二度と呼びません。

３）ポップセンスのある人
どんなにクラシック音楽をうまく弾けても、ポップのノリではうまく弾けないってプレーヤー結構多いです。クラシックでめちゃくちゃうまかったバイオリニストの友達にセッションを頼んだけど、どうしてもリズム感がしっくり来なかったことがあり、何度もやり直しをお願いしました。その後彼女は一時クラシックの練習をやめジャズバイオリンにはまったのですが、その後セッションをお願いしたら何百倍もリズム感がよくなっていて、クラシックの時の表現力も相俟って今では毎日セッションで大忙しです。彼女はその時のことを今でも覚えてくれていて「私はポップ音楽のレコーディング奏法は全てあなたから学んだのよ。あなたとセッションをしなければ自分の足りないものに気づくことすらできなかった」と言ってくれています。練習の時にメトロノームに合わせて弾いて録音し、その波形をクリックの場所と比べて自分のタイム感を目で確認する練習を取り入れることをオススメします。

４）綺麗な人
ばかやろー！と言われてしまいそうですが、見てると「これ明らかに顔で選んでるよね？」っていうプレーヤー構成の場面よくあります。しかし、それもポップ音楽ですから大切です！！また先にも述べましたが、セッションの雰囲気をよくするという意味でも綺麗な人がいると雰囲気よくなります。別にモデルみたいになれということではなく、セッションだからといってラフで小汚い格好で行くのではなく、ちょっと綺麗にして行って損はないという意味です。自分が目立ちたいから綺麗にするんでなく、まわりの気分をよくするためのオシャレですね（←うん、この着地点なら苦情はこなさそうだ）。

４）作曲＆アレンジ出来ると非常に助かる
ギタリスト、ドラマー、などポッププレーヤーを雇う場合などはコード譜くらいしか用意しないのですが、クラシックプレーヤーの場合は弾く音をちゃんと指定してあげないと上手くいかないことが少なくありません。僕は大抵の場合、自分でアレンジをするものですから、楽譜を渡して弾いてもらいますが（ストリングセクションとかになった場合は楽譜必須ですから書きます）、録音中に「XXっぽい感じの何かない？」ってアイデアを求める場合もあります。そんな時にいいアイデアをばーんと返してもらえるとすごくすごーーーく助かりますし、楽曲もよくなります。例えば、僕らの曲「No More」のバイオリンパートは僕が全部書いたのではなく、バイオリニストと一緒に録音しながらアレンジしていきました。こういったことってクラシックプレーヤーは慣れていない人が比較的多いので、これを出来るようにしておくと重宝されると思います。

と、書き連ねましたが、あくまで基本的な演奏力があっての話ですので、練習は今まで通りがんばってください！

PROFILE

Hidehito Ikumo

アーティスト/ソングライター/プロデューサー

ロサンジェルスを拠点として日米で音楽活動中。
世界のトップミュージシャン達より高い評価を受け、ビートルズのリンゴ・スターとも共演。ネットワークも広く、自身のプロジェクトにはJim Keltner (John Lennon, George Harrison, Bob Dylan, etc）、Dean Butterworth（Good Charlotte）、David J Holman（Olivia Newton John, No Doubt）なども参加している。レトロポップユニットLayla Laneとしては2010年日本でメジャーデビュー。

Layla Lane：http://www.facebook.com/laylalanemusic