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映像演出家・スミスの人生相談【きょうもスミスがかんがえた Vol.8】「演出家になる」についてかんがえた(その3)

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映像演出家・スミスの人生相談【きょうもスミスがかんがえた Vol.8】「演出家になる」についてかんがえた(その3)
こんにちは。映像演出家スミスです。
ちょっと時間ができたので、自宅の荷物を整理しているのだが自分の持っている漫画の傾向が「感動」であることに気がついた。どちらかというと寡黙で不器用な主人公が純粋な努力によって成功するような話。「何かに打ち込んで成し遂げたい!」希望というか夢というか、とても素直な気持ちが漫画に出ていいて恥ずかしくなった。では、前回の続きから。

制作会社でアシスタントをやっていると、どんどんと後輩が入ってくる。会社は人を育てなければならないし、よほど優秀でなければ(僕はもちろん優秀ではなかった)「じゃあちょっと小さい仕事でもやってみる?」といった感じで演出の仕事が与えられる。もろにコネクションである。アシスタント時代に築いた関係性から、最初のプレゼントは決まると言っても良い。お付き合いのあるクライアントから「今までにない感覚でやってみたい」という名目で、予算のない仕事が振られるわけである。もちろん先輩の絶対的なサポートの元で。
さて長年の夢が叶い、ついに演出家デビューできることになる。今までは演出家の企画に「僕だったらこうやるのに」なんて思いながら、アシスタント業務をこなしていたが、自分の思い通りに企画を考えられる。「やりたかったこと」がやれるのだ。

さて僕の「やりたかったこと」ってなんだろう?最初のミュージックビデオの仕事に向き合った時に何度曲を聞いても、まったく「やりたかったこと」は出てこなかった。今まで見た世界観や歌詞の内容を映像にするようなことは思いついても「やりたかった」映像はどこにもなかった。先輩のデビュー作を見ていると、そこはやりたいことの詰め込みだ。とんでもない熱量で作られていて、ミュージックビデオとしてはバランスを崩しているほど。だから面白いし、飛び抜けて見えた。

振り返って自分はどうだろう。ありきたりなまとまった企画しか思いつかなかった。アシスタント時代のコネで一流のスタッフがいるというのに、やりたいことはほとんど思いつかなかった。「演出家」になれなかった。
僕は演出家になった途端、挫折した。続きは、次回。

さて、今回の質問です。

思いついたアイデアを鮮度を保ったままストックするのが難しいのですが、スミスさんは何かを思いついたとして、それをどのように置いて起きますか。もしくは置いておかないですか。(匿名年齢性別不詳)

基本的にアイデアはメモしないです。第一の理由が面倒だってことと、あとからメモを見ても思いついた瞬間の興奮みたいなものが再現されないからです。
思いついたアイデアって、ドアを開ける鍵みたいなもので、それ自体はそんなに大したことじゃない(まあ誰でも思いつきそうなこと)なんだけど、被写体と結びついたときに生き生きとしてきて、思いついた瞬間の興奮がないとドミノ倒しのようにアイデアが湧いてくる感じが得られないんです。
過去に何度かメモをしたことがあるけど、書いてある意味は、ほとんどわかりませんでした。ちなみに直近のメモには「彼女が引っ越して取り残される」とのこと。まあ面白くはなりそうだけど。

人生、仕事、恋愛、くだらない質問まで、どんなことでも相談にのります。質問は、twitter:@smith0204へ、性別年齢ハンドルネームをそえて、お願いします。是非。

PROFILE

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スミス

武蔵野美術大学卒業後、竹内芸能企画にてミュージックビデオの第一人者である竹内鉄郎に師事。
2000年から演出家として活動し、映像に特化したアーティストを独自の表現で撮り続けてきた。
情熱的なパーティーチューンを得意としながらも、静謐で奇妙な作品も支持されており、動と静の作風を併せ持つ。
近年では、でんぱ組.incの夢眠ねむとの映像ユニット“スミネム”を結成し、活動の幅を広げている。 コレオグラファーとしても活動中。

Web:smith0204.com
Twitter:https://twitter.com/smith0204

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