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Nozomi Nobody対談連載【Origin Vol.4】「自然とともに紡がれていく絵の旅」絵描き・近藤康平のこれまでとこれから
物書きになりたかった
Nozomi:元々森林の勉強をされてたのは、そういうお仕事をされたいと思ってたんですか?
近藤:途中までは森林の研究者になりたいって思ってたんだけど、森に行って「気持ち良いな」とか「楽しいな」って思う気持ちと、研究は割と別だなって後から気付いて。森の研究するのは楽しいんだろうけど、この「楽しい」とか「気持ち良い」とかっていう感じを表すのは研究じゃないなぁと思って。だから最初、大学院卒業した時は物書きになりたかったの。森だけじゃなくて、海とか空とか見た時に「気持ち良い」とか感じるあの感じを表現したいなと思ったんだよね。
Nozomi:それは小説?
近藤:そう。だから短編小説とか書いてたんだよ、昔。
Nozomi:そうなんですか!それは発表されてるんですか?
近藤:発表されて、小っちゃい賞とかもらってるんだよね、実は。
Nozomi:え、本当に!?
近藤:うん、ほとんど誰にも言ってないけど。
Nozomi:すごい。見てみたいな…。ちなみに論文は何について書いたんですか?
近藤:論文はね…、森林学科ってすごい面白い学科で、世の中の全部のジャンルが含まれてて、生態学はもちろんあるし、樹木そのものの成分の研究もあるし、そこから化粧品作ったりとか、建築材もあるし、あと計画学っていう、どういう風に植えて伐採したら効率良いのかとかもあるし、全部あるんだよね。
鳥取にかぎらず日本には「農村」って言葉と「山村」って言葉があるんだよね。林業を中心とした村があって、その村の人達はやっぱり独自の考え方とか生活習慣があって、「森林文化」って呼んでたんだけど、そのおじいちゃん達の森林に対する想いとか、日頃の習慣とか、そういうフィールドワークをやったんだよね。だからどっちかって言うと文系寄りで。村が過疎化して、もう(その文化が)廃れて無くなっちゃうなと思ったから、それを残しておきたいなーと思って。
Nozomi:自然と人との営み。
近藤:そうそう。本当に単純に毎日の暮らしとか、森林のことどういう風に思ってるのかとか。研究方法をすごい迷って、アンケート調査とか五段階評価とかして統計取って数量化するのが一番分かりやすいんだけど、それがあのおじいちゃん達の気持ちを表現する方法には思えなくて。だから毎日くっついてって、メモとかとって…ちょっと文章っぽい感じ。「こういうこと考えてますよ」とか。だからあんまりいい論文じゃないんだよね(笑)。
Nozomi:そっか、論文としては(笑)。茨城で生まれ育った中で自然に興味を持ったんですか?
近藤:うん、本当そうで、毎日遊ぶ場所が山の中だった。茨城だから高い山じゃなくて森とか林っていう感じの山。毎日そこで遊んでたんだよね。
きっかけはmixi
Nozomi:子供のときから絵描くの好きでした?
近藤:絵はね、もう本当に普通。美術の時間に描くくらい。小さい頃から歌ってた?
Nozomi:私はすごい歌ってましたね、好きでした。
近藤:歌ってたんだ。まぁそうだよね。だから僕が絵描きになるなんて誰も思ってなくて。
Nozomi:でもそうですよね、近藤さんだって思ってなかったわけだし(笑)。何か具体的なきっかけがあったんですか?
近藤:絵を描き始めるきっかけはmixiなんだよね。職場の後輩に誘われて始めたんだけど…それまでSNSって知らなかったからさ、ただ日記を書いてみんな発表して、これって不思議な行為だなと思って。
Nozomi:うん、確かに。
近藤:それで絵でも付けてみるかと思って、絵を描いてみたんだよね。それが意外と自分でも上手く描けてびっくりして、見た人もいいねって言ってくれてすごい嬉しくて、調子に乗ったっていうかね。
Nozomi:へー!そうなんだ。
近藤:そうしたらすぐカフェギャラリーみたいなところの人が「うちで展示やりませんか」って言ってくれて、それで「やっぱり俺上手いんだ」みたいな感じになって(笑)。
Nozomi:あはは
近藤:それからどんどん。
Nozomi:最初はどういう絵を描いてたんですか?
近藤:最初はね、Windowsにペイントっていうソフトあるでしょ。あれで描いてたんだよね。
Nozomi:マウスで??
近藤:そうそう、カチ、カチって(笑)。
Nozomi:えー本当ですか(笑)。
近藤:だから初個展はデジタル作品をプリントアウトして貼り付けるっていう。
Nozomi:へ~……それが29のとき?
近藤:29のとき描き始めて、(個展は)その次の年くらいじゃないかな。今思うと本当下手くそで、でもやっぱり褒められたから調子に乗ったんだよね。
Nozomi:じゃぁその辺りから徐々に「絵が良いかもしれない」って思い始めたんですか?
近藤:でも絵描きになるとはその時も思ってなかったかなぁ。そんなに決断しないまま絵描きになっちゃったから。
一回目のライブペインティング
Nozomi:絵を描き始めた最初の頃はどういう活動してたんですか?
近藤:活動はね、今と一緒だよ。個展やってライブペインティングするって感じかな。
Nozomi:じゃぁライブペインティングも結構早い段階からやってたんですね。
近藤:うん。ライブペインティングはじめたのが、34歳のとき。TREMOLOIDっていうバンドに誘われてさ。でもボーカルの陽介君(小林陽介)に「世の中いっぱいライブペインティングあるけど俺あんまり好きじゃないんだよね」って言われて、「えっ」と思って。よくあるのがさ、ステージにバンドマンがいて、会場の後ろの方で全バンドに時間費やして一枚描き上げるみたいな。あれが陽介君は嫌いだったみたいで。こっち(絵描き)に対するリスペクトもあって、「一緒にやるなら俺たちの音楽と一緒にやる意味を作って欲しい」って言われて、それであのスタイルになったんだよね。曲ごとに絵が展開していって40分間くらいで描き上げる。だから陽介君に最初にそう言われたのすごい良かったなと思って。
<青谷明日香と近藤康平 ひきこもごも>
Nozomi:てっきりやっていく中であぁいう風になっていったのかと思ってたんですけど、最初からあのスタイルだったっていうことですか?
近藤:そうそう。でも一回目はやっぱりやり方わかんないから色鉛筆使ったりとか。
Nozomi:あぁそうなんだ。
近藤:でも大まかなスタイルは一緒かな。曲ごとに何を描くのか決めるわけじゃなく展開していくみたいな。でもそのうち筆使うよりは手の方が速度が増すし、反応が早いからいいなとか、パフォーマンスとしても手の方が見ごたえがあるものになるなぁとか。それで今のスタイルになったんだよね。
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