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タイラ:ちょっと話が前後しちゃうんだけど、22歳とかの時はラーメン屋と漫画喫茶でしょ?その後はどういうバイト遍歴?
アフロ:あぁもうずっと同じっすよ。24歳くらいからやったのかな。ラーメン屋はね、さすがに体力的にキツかったりとか、ちょっとずつだけど音楽の収入が上がって来たので、先に辞めました。
タイラ:で、漫喫が潰れてってことだね。それはもうテレビも出れて、何か神の思し召し的なものだと思ったというか?
アフロ:そうそう、間違いない。
タイラ:で、バイト辞めて。そこからは結構順風満帆ていう感じ?
アフロ:そう…ですね。
タイラ:完全に音楽で稼ぐぞっていう感じになったのかな?
アフロ:でもね、完全に稼ぐぞって気持ちは結構前からあって…ずっとあったっすね。
タイラ:バイト辞めたことで音楽に専念出来る気持ちとか時間とかは増えたって感じ?
アフロ:うん。あの、それこそ、実は「しゃべくり007」の2015年の6月に、もう一回働かないとやばいかな?ってギリギリの経済状況だったんですよね。正直バイトの収入がなくなったらギリギリ足りないみたいな。じゃぁどうする?働こうか?って迷ったは迷ったんですけど、サラリーマンやってた時の記憶がぱって戻ってきて…結局、自分が本当にいいと思ったものを売っているならまだしも、人から売らされてるものを売っているってなってくると、どうしても俺の中で矛盾が生まれちゃうというか。
だったら自分が力いっぱい作って、心血注いだものを一生懸命売るための時間にした方が良いんじゃないかっていう風に思ったタイミングでもあったんです。で、その日から俺は音楽で食い始めたとは言うものの、「MOROHAっていうチームの営業マンになった」っていう日でもあるんですよね。で、俺はそこからどこで誰に会うかわからないから、本当にずっと…コンビニに行く時とかもポケットにCD入れて。それはもうずっと前からやってたことなんですけど。新しいCDが出来たらすぐメッセージ付きで送って、関係者見つけたら「あのフェスいつ出してくれるんですか!?」とか。
そういうことをやるっていうのは、アーティストによっては良しとしない人もいるかもしれないけど、ことMOROHAの音楽に関しては(その経験が)全然歌詞の種にもなるし。ピンポン営業でADSLを断られた時よりも、自分達の音楽が届かなかった時の方が心が落ち込むじゃないですか。でもそれって自分たちが受けるべき傷だっていう風に思えるんです。仮に、こういう営業を俺の代わりに事務所の誰かがやるとしても、やっぱりそれって俺が受けるべき傷なのに、人にやってもらってるってことでしょ?って。だったらやっぱり現状のこの状況を見ても「全部俺がやった方が良いだろ」っていう結論に達したんです。
<MOROHA『それいけ!フライヤーマン』>
タイラ:じゃあ感覚的には、音楽だけをやって収入を得るぞっていう感覚よりも、「MOROHAに就職した」みたいな感覚なのかな。自分がやっているMOROHAっていう商品を自らの手で売るぞっていう感じ?
アフロ:うん。でもそれも俺にとっては作詞作業のひとつだから。CD渡しに行って無下にされるのも俺の作詞作業だし。
タイラ:そういう経験がどっちにもフィードバックされるってことだよね。それは最初からわかってやってたの?それとも途中で気付いたの?
アフロ:最初からわかってたっすね。幸いにして俺には「リリックっていうのは人生のことだから」っていう風に教えてくれる先輩のラッパーもいたし、だからすごく有難いことだなと思います。
(後編に続く)
『生活と音楽』記事一覧
PROFILE
MOROHA
アフロ[MC] | UK[Gt]
2008年結成。
舞台上に鎮座するアコースティックギターのUKと、汗に染まるTシャツを纏いマイクに喰らいつくMCのアフロからなる二人組。
互いの持ち味を最大限生かす為、楽曲、ライブ共にGt×MCという最小最強編成で臨む。
その音は矢の如く鋭く、鈍器のように重く、暮れる夕陽のように柔らかい。
相手を選ばず、選ぶ筈が無く、「対ジャンル」ではなく「対人間」を題目に活動。
ライブハウス、ホール、フェス、場所を問わず聴き手の人生へと踏み込む。
道徳や正しさとは程遠い、人間の弱さ醜さを含めた真実に迫る音楽をかき鳴らし、賛否両論を巻き起こしている。
雪国信州信濃から冷えた拳骨振り回す。
PROFILE
タイラダイスケ(FREE THROW)
DJ。
新進気鋭のバンドと創り上げるROCK DJ Partyの先駆け的な存在であるFREE THROWを主催。
DJ個人としても日本全国の小箱、大箱、野外フェスなど場所や環境を問わず、年間150本以上のペースで日本全国を飛び回る、日本で最も忙しいロックDJの一人。
レギュラーパーティー
毎月第二土曜日@新宿MARZ「FREE THROW」
毎月第四金曜日@渋谷OrganBar「Parade」
毎月第一&第三水曜日@赤羽Enab「Crab」
<Twitter> https://twitter.com/taira_daisuke
<FREE THROW> http://freethrowweb.com/
FEATURED
- 現在はデジタルアーティストとして活動する元音楽プロデューサーの月光恵亮氏が無観客配信トークライブ
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タイラダイスケ(FREE THROW)【生活と音楽 Vol.1】× 安孫子真哉(KiliKiliVilla)
「家族との生活」と「音楽の場所に戻る覚悟」(前編) - タイラダイスケ (FREE THROW)【生活と音楽 Vol.9】× モリタナオヒコ (TENDOUJI) (前編)「何にもなかった生活に寄り添い続けた音楽」
- ヴィジュアル系バンドらしさを持ってアニソンをカバーすることで、国内はもちろん、海外の人たちもより深くZeke Deuxに慣れ親しんでもらえるかなと思ってる。
- タイラダイスケ(FREE THROW)【生活と音楽 Vol.15】×マツザカタクミ(Awesome City Club)(前編)「普通」からの逸脱願望から始まったマツザカタクミの「生活」と「音楽」