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一緒にやりたいドラマーの条件は「地元で顔かっこよくて運動神経良さそうな奴」
タイラ:じゃあ最初は3人でやり始めて、とにかく「楽しい」っていうのが原動力になったんだね。ライブハウスでも沢山ライブしてた?
モリタ:やってましたよ。まだタイラさんとかには出会う前ですけど。
タイラ:で、バンドが3人組から4人組になって現体制になるんだよね。オオイくんが入るのはバンド結成から何年くらい経ってから?
モリタ:1年経ったくらいなのかな?2014年後半くらいに3人で始めて、で、デモテープを配りまくってたんすよ。英語のバンドも流行ってたこともあったかも知れないんすけど、割と反応はあって。で、とある事務所のイベントに呼ばれるんですよ。5バンド出るから、その中で3位以内に入ればCDデビュー出来るみたいな。「マジか!」みたいな。「これちゃんとしなきゃヤベーな」って思って、スタジオの人の紹介でサポートのドラマーを初めて入れたんですね。めちゃくちゃ上手いドラマーの人で。でも俺ら上手い人とやっても全然合わなかったんすよね。
結局そのオーディションも俺らには何の反応もなく、その事務所の人からも「何だこいつら」みたいな感じになって(笑)。でも、ちゃんとドラマー入れないとヤバイなーって思って。「上手いだけでもダメだったらどうするか」って考えたら「地元で顔かっこよくて運動神経良さそうな奴入れようぜ」って考えに行きつき、そうなると「オオイ(※1)しかいない!」ってなって。
※1 TENDOUJIのドラマー、オオイナオユキ。
タイラ:ドラムにはとにかく運動神経が必要だと思ったってことね(笑)。
モリタ:必要必要!必要っす。ぜーったい必要っす。で、地元のお祭り行って、首根っこ捕まえて「こっち来いや!!」みたいな。で、「お前、バンドやんねぇか?」って聞いたらオオイが「俺、YoutubeでTENDOUJI聴いたよ!かっこいいよね。やる!」みたいな。こっちも拍子抜けで。「早っ!」みたいな(笑)。
タイラ:ヨッシーもだけどみんな話早いね。
モリタ:やるって言ったんですぐに始めて、まぁでも未経験者なんで1からですけど。
<TENDOUJI/”Kids in the dark” at Shibuya WWW>
「社会人とバンドマンの両立」からの脱却とその裏側の決意
タイラ:じゃあバンドが始まって1年くらいで今の4人になったってことだね。バンドを初めて、もちろん順調に行く所もありつつ、まぁ上手く行かない所もありつつ、活動をしていって、いよいよ会社を辞めるわけだよね?その時点ではぶっちゃけTENDOUJIでメッチャクチャ稼げるってわけじゃないよね?
モリタ:稼げないす稼げないす。
タイラ:その状況でレコード会社の仕事を辞める時ってさ、相当覚悟が要るんじゃないかなと思うんだけど。
モリタ:うーん…まぁどうなんですかねぇ。確かに、不安がまったくないって言ったら嘘にはなりますけど。
タイラ:さっき言ってた、仕事がそもそも楽しくなかった、っていうところがありつつ。
モリタ:それはデカいです。
タイラ:あと、自分がプレイヤーになったから、そういう目で、特にバンドは見られなくなっちゃったっていうのもありつつ。
モリタ:迷惑掛けるっていうのはもちろんあって、で、バイトと仕事が圧倒的に違うのは、責任の差が違くて。ミュージシャンに関わる仕事だったんで、余計に責任を感じちゃうし。何て言ったらいいんだろうな…人生で1回でいいから、まぁ人生1回しかないんですけど、1回でいいから、音楽だけ考えるっていう期間が欲しかったんです。仕事をしながらバンドをやるっていうのが、自分のコンプレックスにもなってて。
正直俺の周りにはそういう奴がいなかったんで。俺が好きなバンドって、みんなやっぱ音楽1本で。生活は堕落してても、音楽好きだから、音楽だけやってるっていう。そういうのが理想にあって。だから俺も働きながら音楽やるのがすごい嫌だったんです。
タイラ:じゃあ、そもそもそこに嫌悪感みたいなものがあったんだね。
モリタ:ありましたね。でも今思えば、やっぱ仕事してて良かったなとも思います。
タイラ:というのはどういうところで?
モリタ:仕事してないでバンドやってる奴は、絶対俺の感覚はわからないから。その人たちには世の中で大きな企業とかに入って、歯車の1個として働く人間のドラマとか、辛さとかって、多分わかんないと思うんすよ。
タイラ:それは表舞台に立たない、例えば人の目に触れないものだとしても、そこには何かしらのストーリーがあって、そこにもそれ相応の感動とか達成感みたいなものがあるよっていうこと?
モリタ:そうだし、そういう人達が音楽を聴くから。
タイラ:なるほどね。そういう人達が音楽を聴くんだよね。
モリタ:働きながら音楽やるって事に関して結構俺は悩んでたんですけど、周りの人達とかミュージシャンとかからは「働いてるからわかることがあるじゃん」って言われたんですよね。「だからコンプレックスに思う必要はないよ」って言葉に救われた時はありましたね。ただ、俺は単純に音楽だけやりたいなと思ってたんで、仕事は辞めちゃったっていうだけなんですけど。だから、俺は仕事をしながらバンドをやってる人に対してのDISは1個もないです。
タイラ:逆にリスペクトはある?
モリタ:むしろリスペクトですね。今の時代はしょうがないっていうのもあると思います。
タイラ:バランス感覚を持って、ちゃんと自分達でモチベーションを保ちながら仕事も音楽もどっちもやれてるって人は、俺もすごいと思ってるんだよね。
モリタ:本当にすごいと思いますし、しょうがないとも思います。昔はCDが売れてたから。今ってホントすごい音楽的にも転換期にあるんだと思ってますね。
タイラ:話が戻っちゃうんだけど、レコード会社の仕事を辞めた時期っていうのは、逆に言うとバンドとしてのTENDOUJIはちょっと良い活動が出来る感じになった時期だったりするかな?
モリタ:うーん、そうですね…。確かに、徐々にお客さんも増えてるし、それこそフェスとか決まり始めて、大きいステージでもライブが出来るチャンスもあったりはしてきました。でもスケジュールが単純にメチャクチャきついと思ってたのもありますね。「もうこれ仕事続けられないな」くらいのスケジュール感で。その時期にはライブだけじゃなくて更にレコーディングもあって「やべえな」みたいな焦りもありましたし。
タイラ:じゃあ逆にそこにはもちろん、仕事への責任感の辛さとか、モチベーションがなかなか続かないな、とかはありつつ、もう単純にスケジュール的にバンドを優先していくっていうと、両立するのがちょっと難しいな、っていうのが大きかった?
モリタ:いやぁ、無理でしたね。サウス・バイ(※2)が決まったのが結構大きかったかもしれないすね。
※2 サウス・バイ・サウスウエスト。毎年3月にアメリカ合衆国テキサス州オースティンで行なわれる、音楽祭・映画祭・インタラクティブフェスティバルなどを組み合わせた大規模イベント。
タイラ:日本に2~3週間いない、っていうのはさすがにね。
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