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タイラダイスケ(FREE THROW)【生活と音楽 Vol.10】× OSAWA17(I HATE SMOKE RECORDS / THE SENSATIONS)(前編)『「名前をつければ大丈夫だ」から始まったI HATE SMOKE RECORDSのレーベル活動』
「自分達で何かやらないとまずい」に突き動かされ、手探りでスタートしたレーベル活動
OSAWA:で、UNITED SKATESが結成と同時に結構上手い具合にコロコロ転がっていって。結成して3ヶ月目でSKAViLLE JAPAN(※2))に出演させていただいたり。UNITED SKATES自体はその3年後には解散しちゃうんですけど。UNITED SKATESがアルバム出して、良い感じになっていった時に、周りにかっこいいバンドがいっぱいいたんで、オムニバスを作りたいっていうのが、多分レーベルの始まりですね。
相変わらず高校生の時からずっと続けてた、ひたすら全国のバンドを掘りまくるっていう探索癖が続いて。当時、全盛だったMy spaceやPure volumeなんかで調べたり、知らないバンドの無料音源とか、DISK UNIONのデモコーナーで買い漁るみたいな。で、かっこいいと思ったバンドをライブに誘ったりとか、連絡取ったりしてたんで、そのバンドを集めたオムニバスを作りたいなと思って。
※2 2018年に22年目を迎え、毎年日比谷野外音楽堂で開催される日本を代表するスカ・ミュージック・フェスティバル。
タイラ:UNITED SKATESのこの状況が徐々に出来上がってきてるっていうのも含めて、そういうのをやりたいと思ったんですか?
OSAWA:そうですね。状況も含めて。あとは多分当時、直の先輩っていなくて、いるのは音源を聴いたり、ライブを観に行ったりしているような憧れのバンドばかりだったので…自分達で何かやらないとまずいぞ、って。
タイラ:言い方語弊あるとアレですけど、あの頃の時期ってパンクバブルみたいなものがパンと弾けたという感じはありましたよね。もちろんやってる人達は変わらずにずっとしっかりやっているんだけど、やっぱり分母は減ったっていう印象はありました。若い人がどんどん出てくるっていう状況はあまりなかったような気がします。
OSAWA:地獄みたいな時期がありましたね(笑)。僕らより年下はホントいなかったと思います、でも同年代や1個2個上とかでかっこいいバンドがいっぱいいたんで。
タイラ:じゃあそれを集めて。
OSAWA:そうですね。その当時バリバリにスカパンクどっぷりだったんで、最初スカパンクだけのコンピレーション作りたいって。で、当時、僕らが見ていた範囲だけなのかわかんないんすけど、レーベルが流行ってた記憶があるんですよ。自分達のデモだけのリリースなのにひとまずレーベル名を付けて、みたいな。でも流通も何もしてないんすよ。物販にしか置かないんですけど、それでも一応レーベル名付けて、「俺らはレーベルやってる!」みたいなのが流行ってて。俺もレーベルやりたいなとは思ったんすけど、
もしやるんだったら、当時あんまり今くらい流通って身近じゃなかったんで、やるなら大型店に必ず置かれる、タワーレコード、HMVとかでも購入できるようなレーベルやりたいなって思って。
そこから初めてのコンピレーション作りが始まるんすよ。でも当時なんもわかんなくて、UNITED SKATESのアルバムリリースを担当してくれた、DIWPHALANX RECORDS(※3)の大塚さんに、「レーベルやりたいんですけど、どうすればいいんですか?」って色々聞きに行ったら、「名前付けろ。名前付けりゃ大丈夫だ」って言われて(笑)。デモだけ出しても名前をつけりゃ立派なレーベルなんだなと(笑)。
※3 設立20年を超えるディスクユニオンが主宰するインディー レーベル。
https://diskunion.net/diw/
タイラ:名前が付いたらもうレーベルなんだと(笑)。
OSAWA:「まず名前付るところからだな」って言われて、まぁそりゃ付けたんすけど。
タイラ:それもうI HATE SMOKEですか?
OSAWA:そうですI HATE SMOKEです。で名前を付けたんですけど、その先がわからない。
タイラ:そうっすよね(笑)。名前は誰でも付けられるけど。
OSAWA:最初、ホント物作りとしてのCDとかブックレットとかもよくわかってなかったし・・・今でこそ一般的っすけど、CD-RとプレスしたCDってよくわかんなくなかったっすか?
タイラ:あー、わかんなかったっすね。
OSAWA:僕なんか普通にCD-Rにプリントすればオッケーだと思ったんすよ。で、「大塚さんそのCD-Rをプリントするのどうするんすか?」「あ、プレスしないと」みたいな。でもプレスがわかんないんすよ(笑)。「何すかそれ?」みたいな。「だからプレス出しゃいいんだよ」みたいになって。
タイラ:そのプレスを教えて下さいよっていう(笑)。
OSAWA:そうそう、「プレスから教えて下さい!」。で、まぁプレス業者があって、CD-Rとは違うと。あ、そうなんだ。いくらかかるんだろう?値段見たら、結構高かったんすよ。「じゃあ、次はブックレットとケースどうしたらいいっすか?ケースどこで買えばいいっすか?」「パックみたいのあんだろ」みたいな。ブックレットも印刷業者に出すっていう概念がなくて、コンビニのコピー機の紙を画用紙とかに替えて、コピーで出して、自分で折って製本してやるもんだと思ったんすよ。で、「これって、どこのコピー機でやればこんなテッカテカのこういう風になるんすか?とか(笑)。
タイラ:「この紙何ていう紙っすか?」みたいな(笑)。マジ手探りっすね。
OSAWA:一個一個ユニオンの本社行きながらずーっとメモって。デザインとかもそうで、「まずイラストレーターとフォトショップを買わないと話にならない。」って。イラストレーターとフォトショップって何?ってとこから始まって。パソコンもメチャメチャしょぼいスペックの使っていて、電気屋さんで「それだとちょっと厳しいですね。」って言われてPC全買い替えしみたり(笑)。
タイラ:長い道のりっすねぇ(笑)。
OSAWA:それで、全部見積もり取ってもらったんすよ。こういうのをパソコンでやりたいんですって。それで最初、全部で30何万とか出て、「マジか…」って。
タイラ:大学生っすもんね。
OSAWA:仕送りで暮らして…バイトもしてたっすけど。
タイラ:でも月15本ライブやってるんすからバイトする暇もないですもんね。
OSAWA:そうですね。で、とりあえず家にある売れる物を売っていって。
タイラ:良い話。
OSAWA:音源はなるべく売らないようにしつつも。で、バイト代貯金してたの全部使って、一式揃えたんすよね。しばらく毎食がパスタ続きになるみたいな…。
タイラ:いやー、それわかりますよ(笑)。
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