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タイラ:高校の吹奏楽部時代は、音楽というよりもベースっていう楽器自体が自分の心の拠り所だったって事だったよね?ジャズ研の場合は、音楽にもバチッとハマれたっていう感じ?
キイチ:そうですね。でもどっちかっていうと、なんとなくスポーツ的な楽しさがあって、色んな曲を覚えて、コード進行がどうなってるかとか覚えたりして、セッションの時も楽譜見ないで、ここはこうだな、とか、音だけで会話出来るようになるとか。そういうのが「知らない言葉を覚える」みたいな感じの楽しさがあって。それで結構ハマって、大学に行かないでずっと練習とかするようになったんですけど…大学3~4年生くらいになって、急に飽きたんですよ。
タイラ:(笑)。
キイチ:「こんなのただの筋トレじゃねーか」みたいな。
タイラ:その飽きたキッカケの「筋トレじゃねーか」っていうのはどういうこと?
キイチ:1回本当にプロになろうかなぁと思って、奨学金を頭金にしてウッドベースを買ったんですよ。結構高い買い物だったんですけど。その時はちゃんと(ベースの)師匠にも付いて、師事して、ベースを本気でやってたんですよ。師匠がくれたお仕事に行った時に、ジャズボーカルのおばさんみたいな人が結構いるんですけど、その人がいきなり「ハイ」って渡してきた楽譜を読んで、「この楽譜に書いてあるキーふたつ上ね」みたいな。いきなり言われて、「あーハイ、頑張ります」とか言って。で、なんかつまんない歌の後ろで演奏しながら「何だこれ!?」と思って。しかも全然それで金も入らないし。
タイラ:楽しくもなくて、仕事でもないのに何でこんな事やってんだ?っていう気持ちになった?
キイチ:しかも食えないだろうなと思ったし、1回やめようと思って。
本当に悩んで、「僕は働けないだろうな」という結論に達した
タイラ:ベースプレーヤーとしてプロになる、要はそれでメシ食いたいって当時のキイチくんは思ったんだと思うんだけど、「これは楽しくもないしメシも食えない」って、どこか思ったってこと?
キイチ:そうですね、なんかやっぱこう向き合った瞬間に「あ、俺はジャズあんま好きじゃないのかも」とか思っちゃって。最終的になんかまぁ、やっぱロックの方が好きだなぁみたいな。
タイラ:そうか。じゃあ子供の頃の自分を培ってきたものに結局戻ったっていうことね。
キイチ:そうですね。で、歌が好きだなぁ、歌うたってみよう、と思って。そのあたりでギターを買うんですよ。今までギターは僕は弾けなかったんですけど、とりあえず曲を作ってみようと思って。そしたら何かいい感じだったんで。
タイラ:それまで歌を歌ったことはなかった?
キイチ:ないっすね。
タイラ:じゃあバンドを組んだことっていうのもキイチビール&ホーリーティッツが初めて?
キイチ:一応高校の時にちょっとお遊びみたいのやってたんですけど、それはまぁ無かったことに。
タイラ:無かったことに(笑)。コピーバンドとかやった事はなかった?
キイチ:ピーズのコピーバンドをやってました。で、ギターの人が1個上だったんで、その人が受験でいなくなっちゃって2人だけになったから、2人で。一応俺オリジナルも作ったんですけど、でもそれは無かったことにしてます(笑)。
タイラ:(笑)。で、初めて歌ってみようと思って、まぁ歌うならギターだろ!と思った?
キイチ:そうですね。
タイラ:じゃあギターっていうよりは歌いたかったっていうところの方が強いのかな?
キイチ:そうですね。歌いたかったんですね。
タイラ:ジャズベースを弾いてたのは何歳くらいの時?
キイチ:二十歳とかですね。
タイラ:大学半ばくらい。ギターを買ったのはその直後?
キイチ:21とかですね。21か22くらい。
タイラ:全然学校行かなかったって言ってたけど、大学は卒業出来たんですか?
キイチ:大学は5年かけて卒業しました。で、5年目に就活があったんですけど、本当に悩んで、「俺は働けないだろうな」という結論に達して。
タイラ:「俺は働けないだろうな」っていうのは、今までのいろんな経験から?
キイチ:そうですね。
タイラ:バイトとかはしてたんですか?
キイチ:バイトはしてました。居酒屋、焼鳥屋のキッチンとか。あと鉄板焼き屋さんのホールとか。あとなんか変な電子機器をミシンで縫う仕事。
タイラ:工場勤務みたいな。で、いろんなバイトをやってきて考えた結果、俺は就職は出来ないと(笑)。
キイチ:そうですね。普通に決められた時間働いて、空いた時間でリフレッシュみたいなのは多分無理だなと思って。というかもう「嫌だ!」とはっきりと思ったんで。「俺はそんな生活したくなーい」という叫びが聞こえてきて。
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