【LIVE REPORT】そして僕らは、黒く鈍い光に手を伸ばしたくなる。糸奇はな、ライブレポート。

Share on facebook
Share on twitter
Share on google
Share on email
Share on facebook
Share
Share on twitter
Tweet
Share on google
Share
Share on email
Email

この日のライブでは、間に間にピアノの弾き語りによる歌も挟んでいた。序盤には「スリーマンス」を、後半では「灰色の幻影」や「かそう」を、感情的な歌声を活かす形のもと、伝えたい想いを際立たせるように糸奇はなは歌を届けてくれた。しかもピアノ弾き語りの演奏では、アニメ「スノーマン」の中より「ウォーキング・イン・ジ・エアー」や、「夢日記」。舞台/映画「CATS」より「メモリー」なども挟み込む形で、糸奇はな自身の影響を受けたカバー曲たちも披露していた。
オリジナルナンバーの中へカバー曲を差し挟むことで感じていたのが、カバー曲のどれもが澄み渡る美しさや汚れない純真さを感じるがゆえに、糸奇はなの感情を晒した曲たちが濁って見えたこと。むしろ、それが良かったことだと強く伝えたい。人が心洗われる純真な楽曲へ惹かれるのも、その対極を持っているから。むしろ僕らは、生きてゆく中、濁り、淀んだ感情の雨をたくさん身に受けている。その濁った感情の中から、糸奇はなはあるべき答えを探し続ければ、その都度彼女が導き出した答えへ、僕ら自身も強烈に惹かれてゆく。だからこそ、時に糸奇はなが示す汚れなき透明な歌声にも、心洗われる気持ちを抱くのかも知れない。でも、僕らは知っている。「COLD GHORT」や「PLAY」へ示した心の矛盾にこそ、人の心の真実があることを。いや、濁った心こそが人の心の真実であることを。だから僕らは、「PLAY」の歌詞の一節ではないが、「心ない、ひどいでたらめで だれか傷つけてみたかった」し、「きみがいた」のように「笑顔のまま、(心で)泣いている」のかも知れない。それこそ「PLAY」に描いた矛盾した世界や感情へ僕らは何時だってさいなまれているし、救いを求めていれば、矛盾を肯定することで自分自身も肯定していける。

この日の本編最後を飾ったのが、「偶像」だった。それまで、様々な事柄を通し自問自答しては、答えを出し続けてきたが。ここで糸奇はなは、「たったひとりが 救いで」「あなたを信じていた」と突きつけた。物語を逆説で捉えてきたからこそ、冒頭の「heartless」で示した「きみを信じた僕」としての一つの答えを、改めて示す形を取っていた。

アンコールで糸奇はなは、アルバム『VOID』の冒頭を飾った「悪魔とおどる」を歌唱。アルバムでは、不確かだった「ぼくは あなたのものだ」という言葉が、この日のライブの最後に「悪魔とおどる」を聞くことで、強い意思を持って心に染み渡っていた。

音楽は、その人の解釈によって答えは無限に広がってゆく。アルバムで示した答えも、表現の仕方によって捉え方や解釈に広がりが生まれてゆく。それを、糸奇はなはライブを通して示してくれた。いや、彼女自身の意図は他にあったのかも知れない。でも僕自身は、狭いワンルームの中で膝を抱え、頭を伏せていた彼女が、想像の世界の中、無限に広がる宇宙と同じように沢山の解釈を示す物語を描いてゆく姿へ強く惹かれていた。
ここに示したのも、一つの勝手な解釈だ。それが正解か間違いかはわからない。でも、答えはどちらでも良い。触れた音楽が無限の想像を掻き立てるのなら、それに何度も触れながら、その都度の気持ちへ重ねては、いろんな解釈と、そのときだからこその答えを楽しみたいじゃない。
糸奇はなもまた、今の時期に示す一つの答えの有り方を、一つの狙いを持ったライブの有り方を通して示していた。それを自由に受け止め、解釈を広げてゆくことが、とても楽しかった。想像を狭めるのではない、妄想をどんどん掻き立ててゆくライブを示す糸奇はなだからこそ、その姿へ毎回のように触れたくなる。それが、僕が彼女に求める一つの答えだ。

糸奇はなは、春に個展を開く。本人もギャラリーへ顔を出すそうなので、この機会に彼女と触れ合ってみるのも一計だ。もちろん自分は、、、足を運びますよ。

TEXT:長澤智典

5thワンマンライブ“Drowning In my Own Void”
日時:2020年2月8日(土)16:30open/17:30start
場所:LAPIN ET HALOT(表参道)

1. heartless
2. きみがいた
3. スリーマンス(ピアノ弾き語り)
4. Walking In The Air(ピアノ弾き語り)
5. 夢日記(ピアノ弾き語り)
6. shut down
7. COLD GHOST
8. PLAY
9. RESET
10. わすれられぬ歌
11. きみのいちばんになれないのなら
12. Memory(ピアノ弾き語り)
13. A Love Suicide(ピアノ弾き語り)
14. かそう(ピアノ弾き語り)
15. 偶像
16. 悪魔とおどる 
[en core]
17.灰色の幻影(ピアノ弾き語り)

INFORMATION

個展『タイトル未定』

開催日:2020年4月2日~5日
会場:ギャラリーVOID(東京都杉並区阿佐ヶ谷北1-28-8 芙蓉コーポ102)
http://void2014.jp/contact-2

 

PROFILE

Itoki Hana_VOID_Aphoto_small

糸奇はな

海外生活をおくっていた小学生の頃にロンドンで観た「オペラ座の怪人」に衝撃を受け、憧れ、声楽を学んだ後にオリジナル曲の制作を開始。2012年頃から作品を発表しはじめ、京都市立芸術大学声楽科卒業を期に2015年春から本格的に音楽活動をスタート。
歌唱、作詞、作曲、アレンジ、打ち込み、楽器演奏(ピアノ、フルート、メロディカ、、)といった音楽にまつわる全てのことをひとりでこなし、またそれだけでなくイラスト、動画、漫画、版画、刺繍、ゲーム作りからモールス信号まで、様々な手法で独自の世界を表現するマルチアーティストである。

<Official Website> https://110ki.com/

×

株式会社イノベーションクリエイティブ

ワールドコア株式会社

〒150‐0001 東京都渋谷区神宮前 2-33-8

原宿ビューパレー #1001

TEL:03-6721-1853 / FAX:03-6721-1854

WEB:http://www.innovation-tokyo.com/

©2017 INNOVATION CREATIVE INC, All Rights Reserved