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Nozomi Nobody対談連載【Origin Vol.4】「自然とともに紡がれていく絵の旅」絵描き・近藤康平のこれまでとこれから
偶然生まれた模様に物語を乗せていく
Nozomi:近藤さんの絵は何かちょっと宇宙っぽい感じとか、具体的な景色ではないものが多いじゃないですか。それはやっぱり茨城に住んでいて、自然の中でずっと暮らしてることが大きいんですか?どういうところからモチーフとかイメージが来てるのかなと思って。
近藤:やっぱり取手の生活はすごい影響があって、その自然の中で育ってきてるから大学でもそういう勉強をしたし、自然が好きっていうのが僕の中のひとつの絵を描く背景なんだよね。あとはやっぱり絵本の業界に長くいたっていうのもすごく大きい影響のひとつで。やっぱり抽象画じゃなくて、(絵の中に)物語があるっていうのはかなり童話とか絵本の世界観を受けてる。
Nozomi:なるほど。
近藤:一枚の中に物語があって、ページをめくるような感じで見てもらえるような絵を描きたいなって思いはあるんだよね。
Nozomi:うん、近藤さんの絵はすごくストーリー性がありますよね。描くときには明確な物語があるんですか?それとも描きながら浮かんでいくんですか?
近藤:手法としてはなるべく人為的じゃなくて、雲とかみたいに自然の流れで生まれるのが奇麗だなと思ってて、コントロールして模様を描いてるんじゃなくて、絵の具を垂らして水かけて生まれた模様に僕が物語を乗っけてくっていう。
Nozomi:うんうん。
近藤:「見立て」ってあるじゃない。日本の文化の。庭の中に石を置いて山に見立てたり、ちょっとした雑草を森に見立てたり、雨の雫を川に見立てたりとか。そういう文化も無意識だけどかなり影響を受けてると思う。この模様が洞窟っぽいなーとか、このひび割れ方が崖っぽいなーとか、絵の中に物語を見立ててくっていうか。
Nozomi:なるほど、じゃぁ結構ひとり遊びっていうか、自分でやったものからまた自分でインスピレーションを受けて、ひとりキャッチボールみたいな。
近藤:そうそう。「あ、こんな模様が生まれたんだ」とか思って、「あ、山に見えるなー」とか「ここに立ってるのは女の子だなー」とか。
Nozomi:じゃぁもうそれでずっとやれちゃいますね(笑)。そっかぁ。何かすごい納得しました。
近藤:そう。本当奇麗だしね、生まれる模様が。やっぱり自分の力じゃ描けないなぁって。
Nozomi:こういう作品描いてみたいなーとかってありますか?
近藤:今?
Nozomi:うん。
近藤:あのさ…、青森の美術館に行ったら、体育館くらいの広さのところに三面シャガール(※1)の絵があるんだよね。多分10何メートルある絵。昔の舞台の美術として描いたらしいんだけど、その空間の真ん中に席があって、座って見れるんだよね。すっごいそれに感動して、これくらいの大きい絵描いてみたいと思った。いつか財力とかいろいろ備わってきたら(笑)、やりたいよね。
※1 マルク・シャガール。20世紀のロシア出身のユダヤ系フランス人画家。
Nozomi:確かに、近藤さんの作品って小さいのもいっぱい可愛いのありますけど、やっぱり大きいのすごくいいなと思った。
近藤:やっぱりさ、この中に入りたいって思うような絵描きたいから、大きいと効果が増すよね。あと美術館とかじゃないくて、海辺歩いてたらイーゼルが何本も立ってて絵が飾ってあるとか、森歩いてたら木に絵がかけられてるとか、そういう変則的な展示の仕方もやりたいなーとか。
Nozomi:うん、良さそう。瀬戸内芸術祭に行ったことがあるんですけど、そういう感じですよね。すごい良かったなぁ。
近藤:そうだよね、日本の自然はすごい良いからねー。
Nozomi:やっぱり自然の中で見てみたいっていうのはありますよね、近藤さんの絵は。
近藤:成山君(※2)とNozomiさんと知床の方とか行ってさ、雪原の中に絵があって…
※2 成山剛。北海道のバンドsleepy.abのボーカル。近藤さんとは定期的に一緒にライブを行っている。
Nozomi:うわぁ、それ最高ですね。
近藤:そういうライブとかやってみたいよね。
12年目、新しい旅に
Nozomi:今回の展示は全体のイメージというか、テーマはどういうところなんですか?
近藤:『絵の旅に』は、絵を描き始めてから何か旅みたいなものだったなぁと思って。今まで辿って来た旅っていうか、描いてきた絵をもう一回描くっていうのと、あと新しい手法を見せようっていうか、試そうっていうそのふたつ。だから『絵の旅に』っていう絵そのものはないんだよね。トータルで、そういうコンセプト。
Nozomi:新しい手法っていうのはどの辺のやつですか?
近藤:割とね、両極端な方向で新しいことやってて。ひとつはあぁいうちょっとぼこぼこしたような、盛り上げるような、素材感を出した描き方と、もうひとつの方向はあぁいうちょっとかなりイラストレーションに近い紙に描いた小作品。寅さんとかさ。
Nozomi:あ、あれ、新鮮だなと思って。寅さん可愛かった。
近藤:そうでしょ(笑)。あぁいうちょっと力を抜いたものとか。
Nozomi:小さいシリーズは水彩ですか?
近藤:あれもね、一応アクリルなんだよね。かなり水たっぷり描いて、かなり水彩に近い描き方してる。
Nozomi:12年経って、「新しい旅に」っていうことが書いてあるじゃないですか。それはどういうところですか?
近藤:絵の描き方もそうだし、活動そのものも来年は変化付けて、もうちょっと服を一生懸命やりたいんだよね。ACID GALLERYっていうブランドに提供はしてたんだけど、もうちょっと自分で服も作ってみたいなーとか。絵を届けられる範囲をもうちょっと探りたいなっていう感じ。
Nozomi:あぁじゃぁ色んなアウトプットの形を。
近藤:そうそう。本も作りたいし。まだ画集がないから、どっかのタイミングで作らなくちゃーと思ってるけど。届けられる範囲と方向をちょっと考えようかなーって。
Nozomi:あの、アウトプットの方法として近藤さんは今は絵を描いてるけど、そうやって流れ流れてまた違うものになることもあると思いますか?
近藤:うーん…絵が一番しっくりしてる……歌が歌えたら一番かっこいいだろうなーと思うけど。
Nozomi:え、本当ですか?
近藤:うん、楽器出来たりさ。
Nozomi:バンドやったことないんですか?
近藤:ないないない。一番羨ましいって感じ。やっぱり早いしさ。本当直接的に伝えられるじゃない。かなり原始的な表現だしさ、一番パワーあるなと思う。歌うたえるの本当羨ましい。
Nozomi:そうかぁ、やってみないんですか?(笑)
近藤:えー出来ないよ、絶対(笑)。
Nozomi:そっか(笑)。でもじゃぁたまたま絵のところに辿り付いて、ここから本当に『絵の旅に』っていうところなんですね。
近藤:そうだね。偶然だよね。色々ラッキーだなって、本当にありがたいなって思ってる。
ARTIST
近藤康平
ライブペインティングパフォーマー/絵描き
1975年生まれ 鳥取大学大学院連合農学研究科卒業 森林学を学ぶ。2006年 31歳で創作をはじめる。ライブペインティング、展示活動を中心に、CDジャケット、書籍装丁、舞台美術、服飾などの分野で活動をおこなっている。服飾においてはファッションブランド「ACID GALLERY」の2013年s/sコレクションより絵が採用されている。
また、様々なミュージシャンの演奏に反応・同期しながら、即興で絵を描いていくパフォーマンスを行っている。30分前後で、巨大なキャンバスに手の平をつかいものすごい速度で何度も景色を塗りかえていくパフォーマンスは 「このようなライブペインティングはみたことがない」 「映画をみているようだった」「いままで体験したライブペインティングとはまったく違う」 と好評を得ている。
主な共演アーティストは、schroeder-headz、おおはた雄一、白井良明(ムーンライダーズ)、坂本美雨、會田茂一、新居昭乃、坂田学、ASA-CHNAG、成山剛(sleepy.ab)、樽木栄一郎、nozomi・・・など様々なミュージシャンとライブペインティングセッションをおこなっている。2014年よりギタリスト木暮晋也とARTでROCKなユニットCANVAS BANDを結成。
WEB:http://kondokohei.net/
Twitter:https://twitter.com/kondo1975
EVENT INFO
近藤康平 個展「絵の旅に」
期間:9月27日(水)~11月6日(月)
※前半後半2部制(10月18日より展示の大規模な入れ替えあり)
場所:代田橋CHUBBY(http://www.chubby.bz/)
営業時間:12時-26時(火曜日定休)
問い合わせ:03-3324-6684
PROFILE
Nozomi Nobody
様々な情景が浮かぶ楽曲と透明な歌声、ループステーションを巧みに用いたコーラスワークで魅せるライブパフォーマンスで注目を集めるシンガー・ソングライター。
2016年6月、作詞作曲、アレンジ、録音、ミックスまでのすべてを手がけたセルフプロデュース・ミニアルバム”We Are Always a Bit Lonely”を発売。10月には原宿VACANTにてリリースツアーファイナル・ワンマンライブを行い、大盛況に終えた。
下北沢のダイニングバーと教会でのサーキットイベント”CIRCUS FES”や、生音のライブ等、様々なイベントも行っている。
2017年9月13日には、自身のルーツに立ち返り新境地となる“フォーク・ポップ”2nd mini album『Everything Goes Back to You』をリリースする。
WEB:http://nozomi-nobody.tumblr.com
Twitter:https://twitter.com/NOCCO__
Facebook:https://www.facebook.com/nocco.nocco
RELEASE INFO
Nozomi Nobody『Everything Goes Back to You』
2017.09.13 (Wed) on sale
PRICE : ¥1,667 +tax
PRODUCT NUMBER:SLTR-02
LABEL:Silent Room Records
TRACK LIST:
- Introduction
- Do You Know?
- Goes Back to You
- In a Silent Room
- Spring is on the Way
- December Wind
- Judee
- This Tiny Night
EVENT INFO
“Everything Goes Back to You” Release Tour
09/17(日)神奈川 TOWER ROCORDS川崎(ラチッタデッラ噴水広場)
09/19(火)大阪 FLAKE RECORDS インストアライブ *ゲスト:senoo ricky
09/23(土)神奈川 横浜マリンタワー “TOWER OF MUSIC vol.93”
09/29(金)埼玉 熊谷モルタルレコード
09/30(土)山形 酒田hope
10/01(日)新潟 上越ウィングマーケットPatio
10/24(火)東京 渋谷HOME
10/28(土)東京 下北沢”CIRCUS FES 2017”
11/03(金祝)東京 “多摩川キャンドルナイト灯と人”
11/11(土)大阪 南森町雲州堂
11/12(日)京都 二条nano
11/19(日)埼玉 “ HELLO INDIE”
11/23(祝木)香川 高松TOONICE
11/24(金)徳島 bar txalaparta
11/25(土)愛媛 松山 KEMI BLDG. Room 705
12/05(火)TOUR FINAL 東京 下北沢ハーフムーンホール *ゲスト:Ropes
*バンド編成 with / ガリバー鈴木(Ba.)、潮田雄一(Gt.)、飛田興一(N.Y&BICYCLES, all about paradise / Dr.)
FEATURED
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「家族との生活」と「音楽の場所に戻る覚悟」(前編) - タイラダイスケ (FREE THROW)【生活と音楽 Vol.9】× モリタナオヒコ (TENDOUJI) (前編)「何にもなかった生活に寄り添い続けた音楽」
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