Blog
Nozomi Nobody【Origin Vol.6】× Kaz Skellington(Playatuner / umber session tribe)[後編] ヒップホップは「自分で居場所を作ること」
「ヒップホップに恩恵を感じてる」
Kaz:でもこの感覚を持ってる人って逆に日本ではあまり多くのないのかな、とは思ってて。
Nozomi:うん、そう思う。私もあんまり馴染みがない。
Kaz:そもそも社会に居場所があった人達が割と多いんじゃないかなと思うんですよね。友達いて楽しく過ごして、みたいな人が多いんだろうなって考えると…
Nozomi:それもそうだし、そうじゃない人達がヒップホップに出会う入り口が日本は少ない感じがするよね。
Kaz:なんか「どこで救われるか」かなと思ってて。俺はヒップホップとかスケートカルチャーに関してはすごく恩恵を感じてるんですよ。それがなかったらマジで人生やばかったなと思ってて、多分アメリカ生活もスケートしてなかったら大して友達もできなかっただろうし、クソつまんなかったと思うんですよね。皆でパークとか行くようになって初めて色んなタイプの友達が出来て、その時の友達って未だにやっぱり貴重だし、日本帰ってきてからも音楽がなかったらマジグレてただろうし(笑)。
Nozomi:そうか。それはでもなんか、すごく納得したな。
Kaz:音楽やってる人はみんなそういう気持ちを持っていると思うんですよ。どういう気持ちで音楽やってるかにもよると思うんですけど。
Nozomi:そうだね。
Kaz:例えば、ヒップホップに憧れてると言って、とりあえずそれっぽい格好して、何も伝える気がないからか喋れない言語で「Yo Yo!マザーファッカー」とかだけの適当なラップをしてみたりする人もいるし、
Nozomi:ファッション的なね。
Kaz:そういうのはファッションに近いと思うんですよ。口悪いかもしれないですけど、それってただの真似ごとなんだと思ってしまいます。
Nozomi:うん。
Kaz:それって自分の人生を伝えるとかじゃないんで、そういうのはヒップホップに憧れてるだけのヒップホップじゃないものだと俺は思っちゃいますね…。でもちゃんと長い間音楽をやって、どんな環境でも諦めずに、前に進むために活動してきた人達には、少なからず「ヒップホップ」っぽいところはあると思ってて。他の人達からすると、それってヒップホップじゃない何かの強い想いかもしれないけど、俺からすると「ヒップホップっぽいな」と思うんですよね。だから多分ノゾミさんもそういう想いは絶対あると思うし、中野さん(Emeraldのボーカル)とかもそうだし。
Nozomi:あぁじゃあ私からしたら「それめっちゃパンクだね」みたいなことか。
Kaz:あぁそれに近いかもですね。ヒップホップって時代によってめちゃくちゃイメージが変わってるんですけど、その中でも「自分の人生が悪い方向にいってたかもしれないのを、ヒップホップを居場所として使って正しい方向に導く」っていう姿勢は本質的には一貫してるんじゃないかなって。少なくとも俺はそれを信じて記事を書いてますね。
そういうことを言葉じゃなくて肌感覚で感じてもらえるように。俺がヒップホップを聴いて、自分の人生が変わって「あぁこれだ!」って思ったその感情を抽出して、その感情を読者にも感じてもらうためにはどうしたらいいか?ってことを考えて記事を書いてるんですよね。
Nozomi:それは本当に感じる。私は普段ヒップホップ全然聴かないしわからないけど、でもやっぱりPlayatunerは面白いんだよね。ヒップホップのこと全然わからないけどずーっと読んでる。ずーっと読める。
Kaz:ありがとうございます(笑)。
Nozomi:それは、自分が音楽やってるから色んなアーティストの生き方を見て「あぁ頑張ろう」と思うっていうのももちろんあるし、「こういうやり方がある」「こういう生き方がある」っていうサンプルとしても、音楽をやってない人とか音楽にあんまり興味がない人とか、ヒップホップわからない人でも“もらえるもの”がすごいいっぱいあるんじゃないかなって。
Kaz:そういう人達に影響を与える音楽として、一番濃いものがヒップホップだと俺は思ってるんですよ。
Nozomi:なるほど。
Kaz:多分音楽によって感情のレーンっていうのがあって、ヒップホップはかなり広いレーンをカバーしてると感じます。本来はいろんな人達がそうやって深く共感出来るものを押し出すのがメディアの責任だと俺は思うんですけど、その薄い部分しかマスメディアでは取り上げられないんで。CMでイケメン芸能人がよくわかんないラップするとか。だからこそ逆にヒップホップ界隈は、同時に深い部分も伝え続ける責任があるというか。
Nozomi:そうだね…それに今はプレイリストとかが増えて、何となくこれ聴いとけば何となくイケてるっぽいとか、与えられるものでみんな満足して、「自分から掘っていこう」とか「探していこう」っていう意識はすごく希薄になのかなと思うからね。
Kaz:そうですね。こういう世の中の早い流れだから「これに乗って旨い汁を吸うぜ」みたいな人が多いと思うんですけど、どっちかっていうと「その流れを俺が修正してやるよ」みたいな(笑)、それくらいの勢いを持ちたいなっていうのはありますね。
Nozomi:かっこいいね。すごいなぁ…。
Kaz:いやまぁ今こんなこと言ってますけど、普段家では鼻くそほじりながら「あー全部だりー」みたいな感じですよ(笑)。
FEATURED
- 現在はデジタルアーティストとして活動する元音楽プロデューサーの月光恵亮氏が無観客配信トークライブ
-
タイラダイスケ(FREE THROW)【生活と音楽 Vol.1】× 安孫子真哉(KiliKiliVilla)
「家族との生活」と「音楽の場所に戻る覚悟」(前編) - タイラダイスケ (FREE THROW)【生活と音楽 Vol.9】× モリタナオヒコ (TENDOUJI) (前編)「何にもなかった生活に寄り添い続けた音楽」
- Rei、日本人ミュージシャン初となるTED NYCでのパフォーマンス映像公開「my mama」「BLACK BANANA」を披露
- 今年のフジロック出演も決定している俳優Finn Wolfhard(フィン・ヴォルフハルト)率いるCalpurnia(カルプルニア)が新曲をリリース!