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西槇さんにとっての音楽とカメラ
タイラ:ではいよいよ最後の話になってきたんですが、西槇さんの音楽に接する状況ってその都度変わってきましたよね?元々はバンドマン、裏方としてバンドのマネジメント、それで今はカメラマンっていう。音楽との距離感が変わってきた中で、今のカメラマン西槇さんにとって音楽ってどういうものなんですか?
西槇:音楽はめっちゃ好きですね。未だにめっちゃ聴きますし、ライブもたくさん見ますし。撮った人はやっぱり好きになりますし。
タイラ:逆に音楽を抜いて、カメラや写真って西槇さんにとってどういうものですか?
西槇:何なんすかね、写真…うーん…でも何か、写真を撮るっていうこと自体は、あんまり「仕事」っていう感覚が僕なくて。
タイラ:元々趣味としても好きだったんですもんね。
西槇:そうっすね。好きなことを突き詰めているって感じがあって、あんまり自分の中では「仕事として撮っています」っていう感覚はないんですよね。昔から趣味で撮っている感じと今って本当に変わってなくて。究極の趣味だなとは思ってますけど。
タイラ:話が遡っちゃうんですけど、音楽は仕事に出来ないなと最初から何となく思っていたって仰ってたじゃないですか。で、カメラももちろん最初は趣味で、でもそれは仕事に出来るなって思ったわけですよね?まぁ、家族も含め(仕事に)しなきゃいけないっていう状況もありつつだとは思うのですが、そこの差って何かあったんですか?
西槇:そうっすねぇ…言い方がすごく難しいんですけど、色んな人の写真を沢山見ていて、「こう撮ったらかっこよくなるな」とか、撮り方を研究するのが昔からすごく好きで。マネージャー時代に撮ったライブ写真一つとっても、自分の写真と媒体に出ている写真を見比べてどこがどう違うかとか、そこで気が付いたことを実践して撮ったらこうなった、とかっていうのを本当に阿保みたいにやっていて。「こう撮ったらこうかっこよく撮れる」っていうのが何となく感覚として既にあったんです。
2016.06.08 池袋Adm「梅雨将軍〜半径30cmの中でウンザウンザを踊る 5cm目〜」 #アルカラ
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タイラ:じゃあカメラマンになる前のマネージャーの段階で、感覚や経験の蓄積みたいなものがあったから少し自信があったっていうことですかね。
西槇:そうですね。それで、生業としてお金を稼いでいく上で可能性が一番高いのは何かなって色々考えたらやっぱり写真だな、っていう所に行きついたんです。
タイラ:なるほど。それはやっぱりその裏付けが生きていますよね。じゃあ最後の質問です。今後の目標だったりとか、カメラマンとしての夢だったりとか、そういうのがあれば教えて頂けますか?
西槇:今後の目標だと、やっぱり色んな人と一緒に現場を作るということですね。僕には常に誰かアシスタントがいるわけでもないですし、基本的には一人でやっていることが多いんですけど、現場によってはデザイナーさんと一緒にやらせてもらったりすることも少しずつ増えて来て、やっぱり誰かと一緒に作業する時の、足し算なのか掛け算なのか、思いもよらないところで数字が跳ね上がるというか写真が跳ね上がる瞬間がやっぱりあるんで。自分一人の限界値っていうのはここ最近すごい感じているので、色んな人と面白いことやりたいなっていうのが当面の目標ですかね。
タイラ:良い化学反応が起こる現場を増やすというか。
西槇:そうですね。そしたらまた面白い写真が撮れたり、面白い出会いがあったりすると思うんで。僕なかなか人見知りなんですけど(笑)。でもやっぱり、そういうのを一個ずつちゃんとやっていきたいなとは。
タイラ:人見知りだと知ると、3~4カ月毎日人に会ったっていうエピソードは尚更すごいっすね(笑)。
西槇:あははは(笑)。
タイラ:まぁ好きな人達でしょうけど(笑)。でもドキドキはしますもんね。
西槇:しちゃうんすよねぇ(笑)。
あとがき
西槇さんと自分は同い年。そういう部分も含めて以前からどこか親近感があった。
バンドマンからマネージャーになるという流れは他にも何人か思いつくけれど、
そこからさらにカメラマンになった、という話は西槇さん以外に聞いたことが無い。
だからこそ、その決断と行動に関する話を聞きたいなと思った今回の対談。
話を聞いた後に思うのは、彼も今までのインタビューで聴いてきた人たち同様、最大の動機は「好き」という気持ちだという事。
ギターが好きだからバンドを組み、大好きなバンドだから彼らをサポートするマネージャーとなり、
今は昔からずっと好きだったカメラを持ち全国を飛び回る生活を送る西槇さん。
その「好き」を何かしらの形にする歩みを止めなかった努力(とは西槇さんは思っていないような気もするけれど)も見逃すことは出来ない。
一見バラバラに見える彼のキャリアは、ある種の必然的な連続性と親和性をもって彼の血肉になっている。それぞれが一つも無駄になっていないという事実はこれを読んでいる自分達の勇気にもなるだろう。
この連載では基本はバンドを続けている人に話を聞こうと思っているのだけれど、西槇さんはバンドを辞めた人。
だけれど、辞めたからこそ彼は彼にしかできない輝き方を見つけた。
「人前で目立つのが苦手」で「人見知り」と自らを語ってくれた西槇さんだからこそ、被写体の輝きに敏感になれるのかもしれない。
これも「生活」と「音楽」の形の一つ。
選択肢は一つだけじゃない、という事を西槇さんの話の端々から感じることが出来たし、
この連載では引き続き色々な形で提示が出来たら、と思っている。
タイラダイスケ(FREE THROW)【生活と音楽 Vol.6】×西槇太一 [前編] 音楽に関わり続け、バンドマンからマネージャー、そしてまさかのカメラマンに
PROFILE
西槇 太一(TAICHI NISHIMAKI)
1980年生まれ。東京都足立区出身。
フォトグラファーとして、音楽を中心とした写真を撮影。
Official Website:http://taichinishimaki.com/
PROFILE
タイラダイスケ(FREE THROW)
DJ。
新進気鋭のバンドと創り上げるROCK DJ Partyの先駆け的な存在であるFREE THROWを主催。
DJ個人としても日本全国の小箱、大箱、野外フェスなど場所や環境を問わず、年間150本以上のペースで日本全国を飛び回る、日本で最も忙しいロックDJの一人。
レギュラーパーティー
毎月第二土曜日@新宿MARZ「FREE THROW」
毎月第四金曜日@渋谷OrganBar「Parade」
毎月第一&第三水曜日@赤羽Enab「Crab」
<Twitter> https://twitter.com/taira_daisuke
<FREE THROW> http://freethrowweb.com/
FEATURED
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- 現在はデジタルアーティストとして活動する元音楽プロデューサーの月光恵亮氏が無観客配信トークライブ
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タイラダイスケ(FREE THROW)【生活と音楽 Vol.1】× 安孫子真哉(KiliKiliVilla)
「家族との生活」と「音楽の場所に戻る覚悟」(前編) - 平均年齢20.5歳。大阪寝屋川発スリーピースロックバンドthe paddlesが、初の全国流通盤となる『EVERGREEN』より「Alright」のMVを、そしてリリースに伴う全国ツアー日程も発表!
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