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タイラダイスケ(FREE THROW)【生活と音楽 Vol.7】×藤澤慎介(THISTIME RECORDS)[前編] 無敵感と憧れから生まれたインディーレーベル
「音楽に携わっていれば何とかなる」
タイラ:じゃぁ、最初はレーベルをビジネスにするぞっていうよりは、みんなで一緒に理想の場所・遊び場作ろうと思ったっていう方が大きいですかね?
藤澤:それはみんなの地点にもよるんですけど、俺は音楽で食いたかったんですよ。
タイラ:なるほど。その気持ちになったのはバンド始めてからですか?大学生の頃?
藤澤:もちろん最初はバンドで食いたいって考え方だったんですけど、大学を卒業して内も外も状況が変わっていく中である種の「無敵感」みたいなものが終わっていったんですよね。その時期に自分はレーベルってものにすごく憧れがあるっていうことにも気が付き始めて。
タイラ:レーベルっていうもの自体に憧れがあったんですか?
藤澤:そう。高校生の時に長野の小さい個人の輸入レコード屋でKレコーズ(※10)の作品を聞いたりしていたところから始まって。決定的だったのは大学受験の時。受験パックみたいなので一か月西新宿のホテルに泊まっていて、レコ屋に行ったら長野にはないレコードが全部あるんですよ。Rough Trade (※11)の広告とか見て、ノートにぎっちりバンド名をメモってレコ屋に探しに行くみたいな“レーベル買い”を当時からしてたんですよね。その当時マクドナルドも長野では珍しかったから、マック行ってレコ屋いってまたマック行く、みたいな堕落した生活を送ってました(笑)。
※10 アメリカ合衆国ワシントン州オリンピアのインディーレーベル。主にインディー・ロックを扱っており、オリンピア周辺のアンダーグラウンド・パンクバンドを多く輩出している。
※11 イギリスのインディーレーベル。The Smithなどが在籍していた。
<The Smiths / This Charming Man>
タイラ:何しに東京行ってんだって感じですね(笑)。
藤澤:だからその受験の時が一番勉強してなかったっす。帰るときバックにCDを山のように持って帰ったもん。貯金がすっからかんになったのと、あと体重がその一か月くらいで10キロぐらい太った。毎日マックばっかり食べてたから(笑)。
タイラ:じゃぁ、その頃の経験がレーベルへの憧れの原点なんですね。
藤澤:そうそう。レーベルをやろうってなった時に、食えるか食えないかわかんないけど「音楽に携わっていれば何とかなる」っていう漠然とした感じがめちゃくちゃあって。「レーベルやって食えるっしょ?」みたいな。だから基本的に考え方で変わってないのは「音楽に関われるなら何でもいい」ってことで、バンドをやるのも自分のためになるし、レーベルも自分のためになるっていう考えは変わってないんですよ。
タイラ:じゃぁ、音楽への関わり方っていう意味で「プレーヤー」と「裏方」の線引きは、THISTIME RECORDSを始めるときはあまりなくて、同じくらいの熱量をもってやれることだったんですね。
藤澤:そうそう。だから同義だったんです。
(後編につづく)
PROFILE
藤澤 慎介(THISTIME RECORDS)
株式会社THISTIME代表取締役。
業界経験ゼロ、一介のバンドマンたちが勢いでレーベル始めて今年でもう15年。いまやフェスやライブの制作、マネジメント、ディストロ、はては民宿(!)と業務は多岐にわたってますが、基本は「これ音楽続ける上で必要だな」って思うことを一つずつ継ぎ足しながらやっております。
<THISTIME RECORDS> http://www.thistimerecords.com
PROFILE
タイラダイスケ(FREE THROW)
DJ。
新進気鋭のバンドと創り上げるROCK DJ Partyの先駆け的な存在であるFREE THROWを主催。
DJ個人としても日本全国の小箱、大箱、野外フェスなど場所や環境を問わず、年間150本以上のペースで日本全国を飛び回る、日本で最も忙しいロックDJの一人。
レギュラーパーティー
毎月第二土曜日@新宿MARZ「FREE THROW」
毎月第四金曜日@渋谷OrganBar「Parade」
毎月第一&第三水曜日@赤羽Enab「Crab」
<Twitter> https://twitter.com/taira_daisuke
<FREE THROW> http://freethrowweb.com/
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