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タイラダイスケ (FREE THROW)【生活と音楽 Vol.8】× nico (Sawagi / まぼねん) (後編)「夢を与えるための生活と存在意義としての音楽」

バンドを自分の「存在意義」として続ける
タイラ:じゃぁもうだいぶインタビューも後半に差し掛かってきたので、バンドとしての目標とまぼねんとしての目標みたいなものを聞けたらと思います。バンドとしても目標はどうですか?
nico:バンドとしての目標は…何か目標と言うよりも多分これもうめっちゃエモい話になるから載せれるかどうかわかんないですけど、メンバーと一回「Sawagiを辞めるか辞めないか」みたいな話になったんです。僕は(リーダー的な立場で)バンドのメンバーを引っ張ってきた立ち位置だったんで、もう俺が辞めるって言ったら終わるなっていうのもわかってて。その時は他のメンバーのやる気も感じられへんかったし、結構僕は「食べるために音楽をやる」っていう風にすごいストイックに思ってたんで。今はめっちゃ好きですけど、正直最初ATATA(※3)とかもみんなが働きながらやってるっていうの聞いて、正直
「そんな奴らに絶対負けるはずないやん」って思ってたんですよ。「色んなこと犠牲にしてやってるのがかっこいい」みたいなバンドマン象をめっちゃもってたんですよ。
※3 日本の6人組ロックバンド。メンバー全員が定職に就きながらバンド活動をしている事を公言している。http://atataweb.com/
<ATATA/The Next Page>
タイラ:その価値観もわかるよ。
nico:別の仕事をしながら音楽してるってのが認められなかったんですよね。
タイラ:でも今は全然違うでしょ?何かそれが許せるようになったきっかけとかはあるんですか?
nico:いやぁ何ですかね、もちろん今は自分もやってますし、時代のせいにはしたくないんですけど、それの可能性もありますよね。音楽で食っていくのって難しいって色んなとこから言われて、CD売れないだのなんだの。僕らからしたらすげぇ売れてんなって思ってる仲良いバンドが実は食えてなかったりとか内情も見えたりして。その中で音楽で食っていく方法を考える人もいると思うし、辞める人もいるだろうし。今は僕も全然どれも間違いではないと思うし、どれも尊重すべきだと思うんですけど。でも昔は認められなかったりして。で、あるタイミングで自分がバンド引っ張る立場として、バンドでこのメンバーを食べさせていくことって結構無理かも知れないって心の中で思った時期があって。「それでも他のメンバーはバンド続けたいのかな?」と思って、普通にメンバーに聞いた時があったんです。その時に「自分の存在意義としてやっていきたい」みたいな話をメンバーがして。「あなたは何の人ですか?」って言われた時に「あ、僕Sawagiで何々やってます」みたいな。生活の中の張り合いであったり、自分の存在価値みたいなものをバンドに置いてる人結構いると思うんですよ。辞めた瞬間に「俺すごいなにもない人やん!」って思ってすごい老けちゃったりね。
タイラ:そこで収入がいっぱいもらえるわけじゃなくても、自分が例えば「バンドマンなんだ」とか「ミュージシャンなんだ」っていうところで何かが保たれてるみたいなことだよね。
nico:いやーそれほんまにあると思ってて。メンバーがそう言ったときに、決定的な理由でもない限り辞めんくてもいいなと思ったんですよね。「Sawagiの人なんや」って分かりやすいじゃないですか。だからバンドとしては俺はもう売れたいとかじゃなくて。僕はメンバーのこと好きなんで、今で十何年 やってて、これからも続けていくっていうのを4人全員がバランス良く出来たらいいっす。それはほんとに難しいことだとも思いますけどね。
タイラ:メンバーみんなそれぞれに色んな生活の環境とかがあるしね。でもSawagiであり続けるっていうところがまずひとつ大事な事って事だよね。今のメンバーで全員がSawagiであり続ける事。
nico:そうっすね。まぁバンド名とかにはこだわりないんでSawagiじゃない名前に変えても別に良いんですけど(笑)。「バンドをやってる」っていう形があったらいいんちゃうかなー。
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