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これからのキイチビールの「生活」と「音楽」について
タイラ:じゃあ一番最後の話になってきたんですけど、音楽的な部分と生活的な部分で、今後こういう風になっていきたいってことを聴かせてください。まず音楽的なところは?
キイチ:やっぱ音楽やってる身としては、素晴らしい作品を世に残したいなっていうのと、あと自分が聴きたい音楽を作りたいとかも思います。曲も本当に僕はポップなものも好きだし、ロックなのも好きだし、サイケなのも好きだし、結構いろんな好きなものがあるんですけど、それをかき集めて自分にしかない音楽を作りたいなっていうのを目標にやってて。超名曲を残していきたいっていう気持ちと、まぁでも良い曲を書いたら自然とこう、お金が入ってくるものだと信じてるんですけど。だから変に媚びたりしないとか、音楽自体を仕事っぽくしない、ってスタンスを守って行きつつ、メチャメチャ良い曲を書く。それで売れなかったら、日本を呪いながら死ぬぞっていう感じなんですけど。それを書いたからには、せっかくだからいろんな人に聴いてもらいたいし、やっぱ親とかも安心させたいから、紅白とか出たいっす(笑)。
タイラ:(笑)。音楽好きなお父さんお母さんだと、キイチくんの活動にも理解はあるでしょう?。
キイチ:理解はあるんですけど、結構貧乏なんですよ。だから結構生活的には、本当は絶対働かないといけない。仕送りとかも出来てないんで。本当仕送りしなきゃいけないと思いつつも、でも今はやりたい事やれば、みたいな。
タイラ:応援はしてくれる?
キイチ:応援してくれてるんで、とりあえずちょっと甘えて音楽やってますねぇ。だから早いとこ売れたいっすけど、でも売れるってもうわかんないっすね。
タイラ:何をもって売れるというのかっていうこと?
キイチ:話題作りっぽい曲の作り方とかは絶対したくないしなぁ、みたいな。
タイラ:こういう曲展開が流行ってるよね、とか?
キイチ:そう。まぁそこらへんはもうギャンブルっすねぇ。
タイラ:もう自分の信じた曲しか書けない、っていうか。
キイチ:そうっすね。
タイラ:生活的な面では?やっぱりもう音楽が半分ガチッと仕事になってるってところでリンクしている部分は大きいかもしれないけれど。働かず、働かずというか音楽だけをやりたいっていうところが一番大きいのかな。
キイチ:そうですね。贅沢したいとか良い家に住みたいとか気持ちはあんま今のところなくて。金本当に持ったらすげぇ使うかもしれないですけど。豪邸とか建てたり。でも今のところそういう気持ちは全くなくて、今の古いアパートに住んでる感じもすごい自分に合ってるから。ただ何か好きなレコード買ったりとか、ポッと思い立って京都に宿取って2ヶ月いたりとか、そういうのは夢見てるんで、それが思い立った時にすぐできるくらいには稼ぎたいっすね。
タイラ:きっと稼ぐ方法論も大事なわけだからね。モナレコードで週5働く、じゃない方法論でそれが出来たらいいなっていう。でもやっぱりキイチくんと同い年くらいの人とは良い意味で違う価値観かもしれないね。
キイチ:でもGateballersは同い年だけど多分あいつらもう人生捨てて、投げうってる感じあるから。
タイラ:彼らも才能ものすごくあるからね。この前のアルバムめちゃくちゃかっこよかったね。
キイチ:いやかっこいいすよねぇ!素晴らしいアルバムでした。刺激的ですよ。
あとがき
ずっとじっくり話してみたいと思っていたキイチくん。その価値観はやはりとても独特で個性的だった。
(個人的には共感できる部分はものすごく多かったのだけれど。)
そのためのリスクも許容をしつつ、自分が何を大切にして生きるか、という事にものすごく真摯に向き合っている印象があった彼。その話し口はとても自然体で、飄々としているからこそ、逆説的に決意の強固さを感じることも出来た。
以前のあとがきにも書いたことがあり、繰り返しになる部分もあるが、この連載で一番やりたいことはこれを読んでくれた人が「様々な価値観に触れる事」だ。絶対的な正解なんて人生にはない。0と1の間にもグレーゾーンがある事を考えると無限の選択肢があるとも言える。その中で自分が後悔しない選択をするためには、力強い他者の価値観に触れる事も大きな刺激になるだろう。キイチビールくんの「生活と音楽」が今悩んでいる誰かの「生活と音楽」に良い影響を与えてくれたら嬉しいし、またある誰かにとっては、それが「違う何か」へ置き換えて見てくれたりしたら本当に嬉しい。自分と向き合い、真に自分らしい生き方をしているキイチくんの姿は清々しい説得力を持っていた。俺も、彼に出会えて良かった。
(タイラダイスケ)
PROFILE
タイラダイスケ(FREE THROW)
DJ。
新進気鋭のバンドと創り上げるROCK DJ Partyの先駆け的な存在であるFREE THROWを主催。
DJ個人としても日本全国の小箱、大箱、野外フェスなど場所や環境を問わず、年間150本以上のペースで日本全国を飛び回る、日本で最も忙しいロックDJの一人。
レギュラーパーティー
毎月第二土曜日@新宿MARZ「FREE THROW」
毎月第四金曜日@渋谷OrganBar「Parade」
毎月第一&第三水曜日@赤羽Enab「Crab」
<Twitter> https://twitter.com/taira_daisuke
<FREE THROW> http://freethrowweb.com/
PROFILE
キイチビール&ザ・ホーリーティッツ
2016年4月にライブ活動をスタートとさせた、東京の5人組ロックバンド。ライブ会場といくつかの店舗/通販サイトにて枚数限定で販売された1stEP「俺もハイライト」/1stミニアルバム「世の中のことわからない」がいつしか全国的に評判になり、完売し、各地のライブハウスを賑わす存在に。
2017年の夏には二つのフェス系コンテストを勝ち抜き、ROCK IN JAPANとSUMMER SONICにいきなり出演。注目度が加速度的に上がる。
2018年2月7日に初の全国流通盤にして初のフルアルバム「トランシーバ・デート」リリース。翌日渋谷WWWにて、ホフディラン/台風クラブ/MONO NO AWAREを招いて開催したリリースパーティー、続いて3月24日に渋谷Starloungeにて行った初のワンマンライブもソールドアウトし、幸先良いスタートを切る。全国規模のライブ活動もほどなくスタート。各地のサーキットライブにて入場規制が続出する。2018年9月に渋谷WWWにて行われた秋の3マンツアー東京編(ゲストに盟友TENDOUJI/Tempalay)は、2月の1stフルアルバムリリースパーティー@渋谷WWW、3月の1stフルアルバムリリース初ワンマン@渋谷Starloungeに続いてソールドアウトし、様々な世代の素敵なポップミュージックラヴァーたちのハートをしっかりと掴み始めてる模様。
極めてオーソドックスなバンドスタイルで奏でる、極めて同時代的でリアルな日々の歌。悲しさも虚しさも、時に訪れる悦びも高揚も、その先に見え隠れする一筋の光も全てないまぜになった類い稀なるメロディーとリリック。熱い胸騒ぎをあなたに。
Brand New Single「今夜浮かれたい c/wこーかい」<限定7inchアナログシングル(KBHT-0005¥1,300+税) / 「今夜浮かれたい」配信>
2019.1.23.wed release
【リリースツアー】
7inchアナログシングル「今夜浮かれたい」発売記念
キイチビール&ザ・ホーリーティッツ冬の東名阪2マンツアー『今夜浮かれたい』
■2019年2月7日(木)名古屋APOLLO BASE
ゲスト:リーガルリリー
open18:30/start19:00 adv.¥3,000(+1D)
■2019年2月8日(金)大阪Music Club JANUS
ゲスト:SUNNY CAR WASH
open18:30/start19:00 adv.¥3,000(+1D)
■2019年2月16日(土)新宿ロフト
ゲスト:曽我部恵一
open17:15/start18:00 adv.¥3,000(+1D)
<Official Website> kiichibeer.com
FEATURED
- 現在はデジタルアーティストとして活動する元音楽プロデューサーの月光恵亮氏が無観客配信トークライブ
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タイラダイスケ(FREE THROW)【生活と音楽 Vol.1】× 安孫子真哉(KiliKiliVilla)
「家族との生活」と「音楽の場所に戻る覚悟」(前編) - タイラダイスケ (FREE THROW)【生活と音楽 Vol.9】× モリタナオヒコ (TENDOUJI) (前編)「何にもなかった生活に寄り添い続けた音楽」
- 山崎まさよし、小沢健二などで知られるベーシスト・中村きたろー、プロアマ問わず楽曲のベース演奏を依頼出来る「WEB BASS FACTORY」をスタート
- タイラダイスケ(FREE THROW)【生活と音楽 Vol.15】×マツザカタクミ(Awesome City Club)(前編)「普通」からの逸脱願望から始まったマツザカタクミの「生活」と「音楽」