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Nozomi Nobody【Origin Vol.6】× Kaz Skellington(Playatuner / umber session tribe)[前編] ユーザーの「人生を変える」決意と使命。日本一のヒップホップWEBマガジンが出来るまで【前後編】
ヒップホップの初舞台は横浜アリーナ
Nozomi:高校3年間はずっとメタル?ヒップホップもやってた?
Kaz:ヒップホップもやってましたね。高1〜2でメタルバンドやってて、2年の途中くらいで解散したんですよ。しばらくバンド組む気になんないし、一人で作るならやっぱりヒップホップ作りたいな、ラップしたいなっていうのがありました。あとアメリカにいた時からラップはちょいちょいやってたんで「俺はギターよりラップの方が上手いんじゃないかな」って思いはじめたんですよね。それでちゃんとやってみようと思って、録ってみたら「結構いいんじゃね?」ってなったんですよ(笑)。それでYHMF(Yokohama High School Music Festival)に出たんです。決勝行くと横浜アリーナで演奏できる大会があったんですよ。
Nozomi:えーすごいね。
Kaz:やばいですよね。当時、軽音部の中で溢れてた俺ともう1人で、「俺ラップ出来るから、DJの機材買いに行こうぜ」って応募の締め切り2日前くらいに買いに行ったんですよ(笑)。それで20分くらいでトラック作って、6トラックMTR(レコーダー)みたいので録って、応募して通ったんですよ。
Nozomi:すごい(笑)。
Kaz:当時、俺の同学年のバンドで応募した奴らは全員最後まで通ってて、他校からだと河西くん(Suchmosのボーカル)とかも当時OLD JOEってバンドで出てたんですよね。
Nozomi:へ~じゃぁ同期なんだね。
Kaz:そうなんですよ。あの時の同期は今めっちゃ活躍してる人達多いですね。あの時の小さな成功体験があったからこそ、今その悔しさをバネに続けているみたいなのもあるかもしれないっすね。
Nozomi:あぁ~、「俺も横浜アリーナ立ったんだぞ」っていう。
Kaz:あとやっぱデカい舞台に立った時のアドレナリンみたいなのとか。
Nozomi:うん。それがヒップホップでちゃんとやった初めての舞台?
Kaz:多分そうっすね。
Nozomi:初舞台が横浜アリーナはすごいね(笑)。
「ただの音楽じゃねぇな」ヒップホップの“想い”
Nozomi:じゃあその辺りから「ヒップホップ楽しいな」って思うようになった?
Kaz:まぁ1人でも出来るし、本当は1人でやるべきじゃないのかもしれないですけど。後は、何か「コミュ力ある」とか言われるんですけど、結構引きこもり体質なんですよ。だから1人でしこしこ作ってるみたいなのが…。
Nozomi:性に合ってる?
Kaz:だし、ヒップホップだと自分が考えてることちゃんと書けるんです。言葉を書くっていうのが俺の中ですごく重要で、元々小学校の頃からポエトリーの授業で韻踏むのとかすげー好きだったんですよ。ラップ好きになって「これポエトリーじゃん」みたいな。
Nozomi:あぁなるほどね。
Kaz:「俺でも書けるわ」っていう感じになって。
Nozomi:じゃあ元々詩を書くのが好きっていうのが先だったの?
Kaz:そうっすね。学校のポエトリーの授業で韻を踏むのが好きで、その気持ち良さは最初から感じてましたね。韻を踏んで、自分が言いたいことがばっちりハマった時の「おぉ、作品だ」みたいな(笑)。
Nozomi:うんうん。
Kaz:元々小学校の時から自分の中で「ラップ」と「ヒップホップ」って自然と分けてたんですけど、高3くらいからもっと深く意識するようになったんですよね。ラップとヒップホップの違いとか、ヒップホップの文化がどうやって出来てきたのとか。ヒップホップの「想い」みたいなところにハマったというか、インスパイアされて、「俺も頑張ろう」みたいな気持ちになったんですよ。俺も多分そうだったと思うんですけど、特に学校や社会に居場所がない子供たちとかが、ヒップホップを武器にして、自分の居場所を見つける。そういうことを深く感じ始めてたんだろうなっていうのが高3とか、大学1年くらいから。
Nozomi:何か覚えてるエピソードみたいなのありますか?
Kaz:そうっすね、その辺りから歌詞の作品性で泣くことが増えましたね…後は、文献とかでもアーティストがどうやって出て来たとか、エピソードとかストーリーをすげーディグるようになって、「ただの音楽じゃねぇな」って思うようになりましたね。俺色んなジャンルの音楽が好きなんですけど、その中でもやっぱりヒップホップの深さは凄いなと思います。自分がスケートボードカルチャーに感じてたことに近いもの、むしろそれよりもっと深いものを感じて、「やっぱり俺が子供の頃に無意識に感じてたことは間違いじゃなかったな」みたいな、そういうインスピレーションの塊みたいな…俺よく言うんですけど、本当居場所みたいな感じですよね。
(ヒップホップについては後半で詳しく掘り下げています)
「音楽にコミットさせるには人生を変えるしかない」
Nozomi:じゃあちょっとPlayatunerの話もしていいですか?
Kaz:はい。
Nozomi:メディアにインタビュー載せますっていう時に、アーティストのファンがインタビューを読みたいからサイトを見るっていうケースが多いっていうことを記事に書いてたでしょ?それで、Playatunerは全然違う軸というか、サイト自体にファンを増やそうっていう逆の視点でやってるじゃない。その辺りは自分のバンド活動とか音楽でやってきたことがすごい反映されてるのかなと。
Kaz:それは確実にあります。前にインタビューをお金払ってやってもらった時に全然効果がなくて、そもそもうちのバンドのファンしか見てくれないという状況があったんですよね。結局アーティストの名前でアクセス数稼いで、自分達がコンテンツ作ってるんじゃなくてアーティストにコンテンツ作ってもらってるみたいなメディアも多いですよね。それでレーベルとかから予算をもらってプロモーションしてるのとか変な話だなっていう。
(『【代表Blog】なぜPlayatuner Tシャツを作ったのか?今までのPlayatunerと今後の方針に込められた想い 』)
Kaz:それは自分が肌でめっちゃ感じたことではあったんで、自分でメディア作るとしたら絶対そういうものは作りたくないと感じていましたね。あとは俺、2014年くらいに無料配信でソロ・アルバム出してるんですよ。
Nozomi:そうなんだ。
Kaz:でもどこのメディアも取り上げてくれなくて、全然聴かれてなくて、その時の恨みみたいなのもちょっとありますね(笑)。「じゃあ自分で作ればいい話じゃん」みたいな。「他のところよりいいもの作るぜ」みたいなのはあるんですよね。
Nozomi:Playatunerのはじまりの動機としてはそこら辺が大きいの?
Kaz:Playatunerのはじまりは色んな動機が入り混じってるんですけど、メディアの問題点みたいなのを感じてたのがひとつ。あとは自分が考えてた音楽業界の問題点みたいなのもあります。これはPlayatunerの媒体資料にも書いてることなんですけど、アーティストとしてレーベルと話したりする時に、「今の人達は音楽にお金使わないから」みたいなところからまず始まるんですよ。「音楽にお金使わないマスを狙うのか、音楽にお金使うコアなマイノリティーを狙うのか、君はどっちを狙っていくんだい?」みたいなことよく言われるんですけど、それって自分的には全く納得いかない話で、そもそもその状況になってしまったのが変だと思ってるんですよ。それって多分マスの人達をコアな方に少しでも流入させるようなシステムがないっていうか、業界としてそこの教育に投資できていなく、目先の目標を見て土台を作ってこなかった結果なのかもしれないと俺は思ってて。メディアは自分が出来るレベルで何か出来ることがないかって考えた結果ですね。SNSで「音」を発見させるだけじゃなくて、もっと深くいかないといけないって俺が感じてたのも、それと同じ構図ですね。
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