Blog
「幸せになるために音楽を俺が選んでるんだから、やっぱり俺の方が偉い。」
タイラ:なるほど。じゃあ一番最後の話なんだけど。今後の、MOROHAとして、自分個人としても含めて、今後の夢とか目標を聞かせて貰ってもいいですか?
アフロ:あ~、夢かぁ…。まぁでもねぇ…UKをぎゃふんと言わせたい!
タイラ:やっぱり。ちなみに特にUK君がめちゃくちゃ辛口だっていうわけじゃないよね?
アフロ:じゃないけど、何かやっぱスタートが、俺はあいつに対しての負けん気で始めてるんですよね。あいつは高校の時からずっと音楽やっていて、やっぱギター弾かせればすごい上手いし。あとは…うーん…でも素直にちゃんと知ってもらいたいですね。国にとって良いと思うんですよ、MOROHA。いや、今流行ってる音楽っていうのがあっても全然良いと思うんですけど、そればっかりじゃなくてもいいでしょ?って思うのはある。
他人のやってる事に対し鋭い視点でツッコミを入れるもの、例えば岡崎体育さんの「MUSIC VIDEO」は本当に逸品だと思う。めっちゃ面白かった。あれはね、「視点のプロ」。他人の揚げ足とりで終わらないのは矢面に立ってるから。悔しいけど清々しい。だけど矢面に立ってない人間が同じ事をしようとすると、ただの捻くれ者で単純に不幸にしかならないと思うんですよね。そういう人間ってどっちかっていうと、MOROHAみたいに汗かいて泥にまみれていかないと、多分本当の達成感を得るっていうのは難しいと思う。と思えば、選択肢として俺たちもっと売れて良いんじゃないの?って。
<岡崎体育 『MUSIC VIDEO』>
タイラ:MOROHAはそこの一番だもんね。
アフロ:色んな一番があって…。すごいことやってるんだけどなぁと思う。
タイラ:すごいことをやってるよね。それはもう胸を張ってもらいたい。
アフロ:あとはまぁ、彼女に怒られないように音楽活動を、人生をやること。
タイラ:怒られないでしょ。誇りじゃない?彼女からしたら。
アフロ:でも彼女かわいいから言い寄ってくるやつとかいると思うんすよね。仮にバンドマンが言い寄ってきたときに、「私の彼氏MOROHAのアフロ」って言ったらそのバンドマンがしょんべんちびって逃げ出すような…そんなライブをしたいと思った。小さい世界だって思うでしょ?
タイラ:いやいや。
アフロ:でもそれが男らしくかっこよくありたいってことだと思う。
タイラ:それはもう何回も繰り返すけど、結局「人生すべてが音楽」だって話しになるよね。
アフロ:だからやっぱタイラさんとか「ドヤッ!」としてほしいですよね。「俺は最初からMOROHAやばいって言ってたんだぜ!」って。そう言ってくれる人ももう数少なくなってきちゃったんだけど。
タイラ:「MOROHAは俺が育てた!」みたいな?(笑)
アフロ:そうそうそう!ホントに!タイラさんに関してはやっぱ胸張って言ってほしい。
タイラ:いやいやいや!(笑) あとは言い残したことはないですか?
アフロ:言い残したことですか?うーん…結局自分が一番頑張れる方法をとるのがいいと思います。
タイラ:それは音楽をやるっていう意味で?
アフロ:俺みたいに、「自分の作った自信があるCDを広めるためには自分が頭下げたほうがいいに決まってる」って思う人もいれば、逆にその作品が(自分の中で)すごく大切すぎちゃって「それを(他者に)拒まれたら自分の心がもたない気がする」ってなったらそれはやめたほうがいいし。自分が一番いい音楽だと思うものを作れるような状況に自分を置くのが一番いいと思う。自分が幸せになれるような方法をとるのが一番いいから。ぶっちゃけ「音楽じゃなくてもいいや」って、辞める方が幸せになれる人もいると思うから。
タイラ:そこはやっぱり自分で自問自答しなきゃいけないってことだよね。「俺には音楽だ!」って思ったのが21、2歳ぐらいでしょ?それ以降「やっぱり音楽じゃないかも?」って思った事はある?
アフロ:やってることが音楽じゃないかもと思ったことはある。音楽って言われなくても別に構わねえなぁって。「かかってこい俺の表現に!」って思う、最近は。
タイラ:じゃあ「自分が一番幸せになれるんだったら音楽じゃなくてもいいじゃん」っていう意味で言うと、音楽とかラップをやめようとか思ったことはない?
アフロ:ない。
タイラ:一瞬も?
アフロ:ないなぁ。
タイラ:それはすごいね、素晴らしい。素晴らしいというかそれだけやっぱり決意が深かったんだね。
アフロ:俺の方がね、音楽より偉いと思っていたい。なんかロックとかHIP HOPよりも俺の方が偉いから俺の方が正しいんだよって言える自分でそこを保ってたりする。それがすごくこう…幸せになるために選んでるものであって音楽をやるためにやってるわけじゃないし、幸せになるために音楽を俺が選んでるんだから、やっぱり俺の方が偉い。偉いっていう言い方はちょっと変なんだけど。
タイラ:手段と目標とがぐちゃぐちゃになっちゃうとおかしなことなるよね。今言った幸せになるっていうことが、達成感だったりとかそういうことになるんだよね。
アフロ:どっちが先かっていう話なんだけど。立ち返るときに必要なのは、結局「音楽、音楽」ってなった時に立ち返るのは「いや幸せの方が大事だろ」っていうハンドルの切り方もあるかもなっていう。みんなに対しても。
タイラ:でも、アフロ君の場合は決意したタイミングから「幸せ」っていうところに続いていく道がずっと「音楽」と「音楽にまつわること」だったっていうことだよね。でも自分で自分の音楽を営業してってなるとやっぱりむちゃくちゃ大変だろうね。
アフロ:でもね、なんかわくわくしてるよ。自分のことめっちゃ好きだから。もうジャンプの紙面の中の話なんだよ全部。その瞬間はいなかっぺ大将の営業物語なの。(MOROHAは)それに音を乗せてっていうのをやってる。
タイラ:そうか。大変っていう感覚ではないんだね。それももう音楽ってことだね。
アフロ:自分が作ったCDを自分で渡しに行ってさ、それが自分の仕事につながって連絡来たらめっちゃ嬉しいよ?もう全部自分の手柄だし。
タイラ:確かにね!しかも自分が作ったもんだからね。
アフロ:しかもその相手のことめっちゃ好きになるよ。だから、こんなに素敵なことはないよ。
タイラ:逆に相手のこと嫌いになる場合もあるんじゃないの?(笑)
アフロ:嫌いにもなる!!
タイラ:あはは!(笑)
アフロ:でも嫌いもさ、ガーっといくと曲になるじゃん?だからいいの。
<MOROHA / 四文銭>
あとがき
MOROHAとの、アフロくんとの付き合いも長くなった。
でもこういう風な話をじっくりと聞いたのは初めてだと思う。
彼は「言葉の人」だから、一つ一つの言葉を本当に選んで答えてくれた様子が対峙した自分にはヒシヒシと伝わってきた。
それは長い付き合いの自分にも少しの「怖さ」みたいなものすら感じるほどの真剣さだった。
でもその「愚直なまでの真剣さ」こそが彼らの魅力なんだろう。
「生活」の全てを「音楽」に変換し、それによってまた新たな「生活」を紡ぐ。
アフロくんの生き方は本当にタフな生き方だけれど、ものすごく清々しい輝きを湛えている。
その言葉の全てが自分の背中も強く引っぱたいてくれたような気持ちになった。
この背中の赤いもみじが、また自分を前に進ませてくれるかもしれない。
これを読んでくださっている皆さんにとっても、彼の言葉がそういうものになりますように。
【関連記事】
タイラダイスケ(FREE THROW)【生活と音楽 Vol.4】×アフロ(MOROHA)[前編]「生活」を紡いで完成するリリック
『生活と音楽』記事一覧
PROFILE
MOROHA
アフロ[MC] | UK[Gt]
2008年結成。
舞台上に鎮座するアコースティックギターのUKと、汗に染まるTシャツを纏いマイクに喰らいつくMCのアフロからなる二人組。
互いの持ち味を最大限生かす為、楽曲、ライブ共にGt×MCという最小最強編成で臨む。
その音は矢の如く鋭く、鈍器のように重く、暮れる夕陽のように柔らかい。
相手を選ばず、選ぶ筈が無く、「対ジャンル」ではなく「対人間」を題目に活動。
ライブハウス、ホール、フェス、場所を問わず聴き手の人生へと踏み込む。
道徳や正しさとは程遠い、人間の弱さ醜さを含めた真実に迫る音楽をかき鳴らし、賛否両論を巻き起こしている。
雪国信州信濃から冷えた拳骨振り回す。
PROFILE
タイラダイスケ(FREE THROW)
DJ。
新進気鋭のバンドと創り上げるROCK DJ Partyの先駆け的な存在であるFREE THROWを主催。
DJ個人としても日本全国の小箱、大箱、野外フェスなど場所や環境を問わず、年間150本以上のペースで日本全国を飛び回る、日本で最も忙しいロックDJの一人。
レギュラーパーティー
毎月第二土曜日@新宿MARZ「FREE THROW」
毎月第四金曜日@渋谷OrganBar「Parade」
毎月第一&第三水曜日@赤羽Enab「Crab」
<Twitter> https://twitter.com/taira_daisuke
<FREE THROW> http://freethrowweb.com/
FEATURED
-
タイラダイスケ(FREE THROW)【生活と音楽 Vol.1】× 安孫子真哉(KiliKiliVilla)
「家族との生活」と「音楽の場所に戻る覚悟」(前編) - 現在はデジタルアーティストとして活動する元音楽プロデューサーの月光恵亮氏が無観客配信トークライブ
- タイラダイスケ(FREE THROW)【生活と音楽 Vol.7】×藤澤慎介(THISTIME RECORDS)[前編] 無敵感と憧れから生まれたインディーレーベル
- 平均年齢20.5歳。大阪寝屋川発スリーピースロックバンドthe paddlesが、初の全国流通盤となる『EVERGREEN』より「Alright」のMVを、そしてリリースに伴う全国ツアー日程も発表!
- 山崎まさよし、小沢健二などで知られるベーシスト・中村きたろー、プロアマ問わず楽曲のベース演奏を依頼出来る「WEB BASS FACTORY」をスタート